[Stage] [773] 科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』(6)【終】インヘルノの王

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科白劇かはくげき 舞台『刀剣乱舞/灯』ともしび
綺伝きでん いくさ徒花あだばな
改変 いくさ世の徒花の記憶

(脚本・演出:末満健一)【公式サイト

感想です。いつまでやってるのか終われるのか自分でも不安だった。


【お知らせ】10月22日(木)、「刀剣乱舞/灯」で刀装・講談師として活躍された講談師・神田山緑さんの独演会「生配信 細川ガラシャ」があるそうです。生配信に15日間アーカイブ(11月6日(金)23:55まで)が付くとのこと。チケットは下記から購入できます。

神田山緑独演会「生配信追加バージョン!!」 講談DE細川忠興・ガラシャの世界へ誘う! <@PeatixJPより

『刀剣乱舞/灯』が殺陣は映像の時間遡行軍と戦うものでしたが、刀剣男士の剣舞のような立ち回りとともに、講談師の滑舌の良いスピーディーな台詞回しと素晴らしい激が迫力を与えておりました。


宝塚の男役といえば

高山右近(黒川恭佑)が細川忠興(早乙女じょうじ)を斬り、ガラシャ(七海ひろき)は「忠興に討たれる」という願いを絶たれて、変容してしまう。

変容した、その姿。フードのある長いマントから現れたその姿は銀色の長い巻き髪、肩章と胸元に金色の蛇文様が施された白い戦闘服の男装の麗人。

自分の姿を「まるで蛇のよう」というガラシャ。

蛇というか。

オスカル様?

トート閣下?

宝塚の男役といえば、やはりそのふたりがメジャーなんだ、と思った観劇時。

  • 『ベルサイユのばら』のオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ
  • 『エリザベート -愛と死の輪舞-』の黄泉の帝王トート

どっちだ。

ガラシャは行平に「参りましょう、インヘルノ(地獄)へ」と告げ、その姿でさえ「姉上」と呼ぶ地蔵行平(星元裕月)に、自分を殺しなさいという。そんなガラシャを見ていると、黄泉の帝王のほうに変容したんじゃないかと勝手に思った。


神の国での聖戦

ガラシャは高山右近に詫びを言う。

右近様、あなた達を巻き込んでしまった、ごめんなさい。

右近(ドン・ジュスト)達を何に巻き込んだというのか。忠興と玉様、あの2人が好きだったという高山右近は、結局は盟主細川ガラシャを選んだ。それゆえにガラシャの心に従って戦わねばならぬ。嘆く右近を痛々しげに見守る小西行長(ドン・アウグスティヌス/堀田勝)。キリシタン大名たちは白装束に身を固め、戦いに突入する。

忠興を失い、ガラシャはキリシタンの神の国を作るのは自分の真意ではなかったことに気づく。

もう逃げることはできません。私が皆を巻き込んでしまった。

だから私が終わらせなければなりません。この放棄された世界から皆を解放しなくては。

声も以前のガラシャとは異なり、低く硬い。

ガラシャは熊本城に戻り、改変世界を終わらせることを決意する。時を超えし者たち、時間遡行軍がそれを許すかわからないというガラシャを、地蔵行平は守り抜く決意を固める。

  • 長い十字架にも見える薙刀を振るうガラシャを見て、そういえば2年前、ここ(日本青年館)で、この人(七海ひろき)は須彌天幻・劫荒剣を振るってたと思い出す。その役名は殤不患。これだ。円盤はこっち

時間遡行軍を斬り伏せ、熊本城に乗り込んだガラシャと地蔵行平は、歌仙兼定と古今伝授の太刀に出会う。キリシタン大名たちはすでに滅んでいた。


対極の姿を与えられてなおすべてを救おうと彼はもがく

ガラシャは地蔵との姉と弟の縁を断ち切り、歌仙兼定と切り結ぶ。歌仙兼定こそが、忠興の愛刀であり、ガラシャを斬れる唯一の鬼であった。

行平、私はやはり花ではなく蛇です。
だって鬼の妻には蛇のような女が似合いなのですから。

この歴史改変はいくさ世に咲いても実を結ばぬ徒花でした。散りゆく時には散りましょう。
行平、あなたの花が実を結ぶよう祈っています。

ガラシャの「この、どこにもたどり着けぬ改変の因果」、「幾何百年の長い間、ずっとあなたを待っていたように思う」という言葉からすると、放棄された世界というのは、黒田孝高(山浦 徹)の言っていたように、行きつ戻りつする終わりのない世界だったのだろう。

歌仙兼定はガラシャと行平を放棄された世界から解放した。

地蔵菩薩の加護を受ける地蔵行平。ガラシャを花と呼び、生きていてほしいと願った行平は彼女の救いだった。行平はガラシャがインヘルノの王となるのを押し留めた。私はそう思い込んでいるのです。

地獄の主である閻魔王は、地蔵菩薩の化身でもあるという。地蔵菩薩は地獄と浄土を行き来することができ、地獄にあっては子どもや亡者を救済する慈悲の菩薩でもあるとされる。対極の姿を与えられてなおすべてを救おうと彼はもがく。(Twitter公式の紹介


僕たちの特命調査 綺伝いくさ世の徒花

歌仙兼定の終わりの言葉が成就することを願ってやまない。

僕たちの特命調査、細川忠興とガラシャの物語を必ず話して聞かせるさ。


全ての人々が満ち足りて、生きて死んでいけるよう、どうか加護を✞

細川ガラシャ(七海ひろき)

掘り始めると深くて結構、大変でした。