[diary] COVID-19パンデミック雑記(47)北京冬季オリンピック2022についての私見

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北京での冬季オリンピック2022についての私見

北京での冬季オリンピック2022(2022年2月4日~20日開催予定)について、どうよと聞かれたので、現時点での私見をまとめました。来年2月に世界のどこまでワクチンが普及しているか。オープンな世界は、ワクチンの普及にかかっています。

前回の韓国ピョンチャン(平昌)での冬季オリンピック2018は、参加国数 92ヵ国、競技数は7、種目数は102、参加選手数は2,922人。夏季オリンピックとは規模が異なります。

また中国は、現在の日本とは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染対策や感染拡大状況、ワクチン接種割合が異なります。中国のワクチン接種状況は、年内に新型コロナウイルスワクチン2回接種を国民の70%完了ペース。来年2月にはもう少し進んでいるでしょう。

安全寄りの策は、変異ウイルスの感染拡大予防のために海外からの観光客を入れずに開催する。

  • 海外からの観光客を入れず、国内のみとする。
  • 観客は、ワクチン2回接種済み+接種後14日以上経過の者に限る。
  • 海外からは、IOC関係者、招待客、マスコミ等に限る。
  • 全ての選手団及び関係者、マスコミは入国までにワクチン2回接種済み+接種後14日以上経過の状態にしておく。
  • マスクの着用、手洗い・手指衛生、換気設備の強化などの基本的な感染対策を徹底する。
  • 競技会場入場時にPCR検査の陰性結果の提示または競技会場入場前に迅速抗原検査を行う。

下記はオプションです。海外からの観光客を入れる場合には必ず検討する。

  • 海外からの観客も全て、ワクチン2回接種済み+2週間経過の者に限る。
  • 最も安全なのは延期かもしれない。

【北京共同】中国メディアは21日、東京五輪の観客数上限が最大1万人に決まったことを速報した。国営中央テレビは新型コロナウイルスの感染拡大リスクを挙げ、観客を入れての開催は「もろ刃の剣」と指摘。習近平指導部は東京五輪開催を支持する立場だが、冷静な分析も示した。

有観客五輪「もろ刃の剣」と指摘 中国メディア、上限1万人に | 2021/6/21 – 共同通信


中国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する感染対策

中国の感染対策(防疫措置)は強大な国家権力と私権制限を前提としていますが、COVID-19に対しては有効な措置です。輸入症例もあり、感染拡大も起きていますが、迅速に拡大を抑えに動いています。

人口14億人を管理するのは並大抵のことではないでしょうが、国内を守るという姿勢は強固です。

  1. 厳格な入国制限(水際対策)
  2. 大規模検査と大規模隔離
  3. 治療体制の整備
  4. ワクチンの普及

※新型コロナウイルスの武漢研究所流出説には、ここでは触れません。

COVID-19防疫のための入国制限(水際対策)について

在中国日本国大使館のウェブサイトより

入国前の検査

まず中国政府は、航空機搭乗時に2日以内のPCR検査と抗体検査の陰性結果を必須とします。到着時にもPCR検査が行われます。

日本から中国に渡航する場合、搭乗前2日以内(検体採取日から起算)の新型コロナウイルスPCR検査陰性証明及び血清IgM抗体検査陰性証明が搭乗手続に必要となる。

【中国政府の対応】新型コロナウイルス感染症(駐日中国大使館発表:搭乗に「PCR検査及び抗体検査」の陰性証明が必要)(2020/11/3)

北京市に入る際の隔離措置

北京市に入る際のCOVID-19防疫の隔離措置は非常に厳格です。冬季オリンピックでは入国時の隔離措置をどこまで緩和できるのか。重大な課題ですね。

「14日間の集中隔離+7日間の自宅隔離または集中隔離+7日間の健康モニタリング」の合計28日間の検疫期間が求められています。集中隔離とは指定施設における強制隔離を指し、レポート記事によると集中隔離中は、部屋から一歩も出れず、定期的にPCR検査を受けるようです。

香港の強制検疫期間は21日間(※ワクチン接種済みの方は14日分以上)なので北京は特段に厳しいようです。(6月30日から香港の入境規制措置は緩和されます)。

海外から北京首都国際空港に到着した人々は、最初の14日間の集中隔離期間が終了した後、7日間、自宅隔離または集中隔離を継続して実施し、その期間が終了した後、さらに7日間の健康モニタリングを行う。

(略)

健康モニタリングとは、期間中は各種の集団活動に参加せず、会食もせず、集まりもせず、かつ要求に応じて職場や社区などに健康状況を報告すること。通常の外出、仕事・生活は可能。

【中国政府の対応】新型コロナウイルス感染症 / 北京市に入る者に対する「14+7+7」の健康管理措置(1月20日)

大規模検査と大規模隔離

中国は感染者が出ると速攻で大規模PCR検査を行います。その対象範囲は地区まるごとや都市まるごとになります。5月に広州市で新型コロナウイルスの変異ウイルス(デルタ株)の感染者が発見されると、「住民220万人余りに緊急のPCR検査を実施」。医療従事者には定期的な検査が義務付けられている都市もあるようです。

ロックダウン(都市封鎖)を行う場合は、都市全体を対象とし、自宅から外出禁止になります。

中国の例を見てみると、感染拡大防止のために検査を行う場合は、「検査と強制隔離をワンセットにし、強制隔離中に検査を定期的に行う」ことが必要でしょう。陽性者は速やかに入院措置を取ります。

最近ロックダウンに踏み切った河北省石家荘市では、武漢で講じられた措置を想起させる厳格な対策が採用された。感染症例が500件を超える中、北京の南西290キロにある同市は約1100万人の住民全員を対象として2回目の集団検査に着手、その間7日間の在宅を市民に義務づけた。飛行機や電車など公共交通機関をほぼ全面的に停止した。

世界に衝撃与えた中国武漢の都市封鎖から1年、各国で不可欠の手段に/ Bloomberg News(2021年1月19日)

ワクチンについて

治療体制は省略します。

中国では3種類のワクチンが緊急承認されており、主に使用されているのは、シノバック・バイオテック(科興控股生物技術)製の不活化ワクチンとシノファーム(医薬集団総公司)製の不活化ワクチンです。いずれも2回接種。

不活化ワクチンとは、「病原体となるウイルスや細菌の感染する能力を失わせた(不活化、殺菌)ものを原材料として作られます」(ワクチン.net

この2種類のワクチンの従来株に対する有効性は72.8%~78.1%と発表されています。変異ウイルスに対する有効性は50%程度のようです。

中国国内では、新型コロナウイルスワクチン接種は順調に進んでいるようです。人口14億人への2回接種は長い道のりですが、年内には2回接種の割合が、人口比で70%に達する見通しだそうです。集団免疫に近くなるんでしょうか。

【北京共同】中国の国家衛生健康委員会は20日、国内の新型コロナウイルスワクチン接種回数が19日時点で10億1048万9千回に達したと発表した。

中国紙、環球時報(電子版)によると、2回接種した人の割合は約36%で、6月中に40%、年内には少なくとも70%に達する見通し。

中国、ワクチン10億回超 2回接種が36% | 2021/6/20 – 共同通信 


おまけ

北京冬季オリンピックには、アメリカ議会において、香港や新疆ウイグル自治区の人権問題を発端にした外交的ボイコットの呼びかけが行われています。

個人的にはこちらのほうが大問題と思います。

中国は香港や台湾、新疆ウイグルの自治区の独自性を認め、抑圧を止めることが五輪への道でしょう。

ペロシ米下院議長は18日、2022年の北京冬季五輪について、中国政府による新疆(しんきょう)ウイグル自治区などでの人権弾圧に抗議して、米国など各国が選手団は参加させつつ、首脳や政府使節団の派遣を見送る「外交的ボイコット」を行うべきだと提唱した。議会の超党派でつくる人権委員会の会合で表明した。

米下院議長「北京五輪の外交的ボイコットを」 政府施設派遣中止呼びかけ / 産経新聞/ (2021.5.19)

【ワシントン共同】バイデン米政権は23日、新疆ウイグル自治区での人権侵害に関係した制裁措置として、太陽電池の部材メーカーなど中国5社・団体を新たに輸出規制措置の対象にすると発表した。

米、中国の太陽電池5社を制裁 | 2021/6/24 – 共同通信