[diary] COVID-19パンデミック雑記(50)2021年の夏は総力を挙げてワクチン接種に注力すべき

東京都 現在患者数 / 対策病床数 138%

COVID-19 Japan / 新型コロナウイルス対策ダッシュボード】より
現在患者数 更新日: 2021-07-24 (速報 2021-07-25T19:00)

日の丸と見紛うがごとく

東京都における新型コロナウイルス感染症対策病床数: 9,114床に対し、7月25日現在患者は12,635人。対策病床数に対する現在患者数は138.6%となりました。宿泊待機や自宅待機の人数も加味されていますので、東京都の最新感染動向にある入院患者数とは異なります。


首都圏の医療ひっ迫は目の前

埼玉県、神奈川県、千葉県も100%を超えています。

COVID-19 Japan
新型コロナウイルス対策ダッシュボード

東京都は重症者数も独自定義でのカウントなので、厚生労働省基準ではもっと多くなります。

NHKの病床使用率 全都道府県グラフにある「重症者数」と「重症者対応のベッド数」によれば、国の基準に沿った都の重症者数(7/21時点)は、637床使用/1207床 となり、都の示す重症者数74人の約9倍に昇っています。

首都圏の医療ひっ迫は目の前に迫っています。

新型コロナ: コロナ「重症者」定義、国と東京都にズレ 分析に支障も: 日本経済新聞/ 2020年8月19日

ワクチン効果・60歳以上の新規感染者が大幅減少

新規感染者の年代別割合 (7/25)は、冬の頃と様相が変わっており、新型コロナワクチン接種が進んでいる60歳以上(優先接種の対象は65歳以上)が減り、20~30代が54%と半数以上を占めています。この図を見るだけで、ワクチンが感染予防・発症予防に効果を発揮しているのがわかります。

7月25日時点で、ワクチン接種率は1回目接種済み31.30%、2回目接種済み20.34%。医療従事者への優先接種が始まったのが2月17日。医療従事者や関係諸機関の多大な尽力によって、7月前半までは順調に接種数が伸びていたのですが、供給量が不安定になって減速しています。

新規感染者の年代別割合 / 重症患者数

パンデミックの世界における平和とは

公衆衛生( public health ) は、上下水道や屎尿(しにょう)処理の整備から始まり、伝染病の防疫などの分野で発展しました。現在は国民や地域住民の健康への脅威への予防に取り組み、健康の保持・増進を扱う活動であり、学問です。

多くの国民の健康を害する脅威とは、歴史的には伝染病(疫病)や戦争を起因とする傷病、飢饉などの食糧不足による栄養障害などであり、運動不足が健康に対する脅威になったのは現代です。

2020年3月11日、WHOのテドロス・アダノム事務局長が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック( pandemic , 世界的大流行)と表明し、世界は一変しました。2021年7月26日現在、まだ世界はパンデミックの真っ只中にあります。

伝染病を予防し、またその侵入を防ぐ、防疫とはすなわち国防です。パンデミック ( pandemic ) の世界においては、感染拡大 ( outbreak ) を抑えることが世界の平和に繋がるのです。


英仏における感染拡大

関連

Daily new confirmed COVID-19 cases per million people

Daily new confirmed COVID-19 cases per million people / Our World in Data

Our World in Data

イギリスでは7月11日に、ロンドンのウェンブリー・スタジアムで、 6万人を越える観客を集めて、EURO2020の決勝戦(イタリア vs.イングランド)が行われました。イングランドが、サッカーの国際主要大会のファイナルに進んだのは、優勝した1966年ワールドカップ以来、55年ぶりということで、ジョンソン首相やエリザベス女王も応援メッセージでエールを送ったそうです。決勝戦ではロンドンで熱狂的な大騒ぎが繰り広げられたのをニュースで見ました。

テニスのウィンブルドン選手権も、ロンドンで6月28日から7月11日に開催されました。

イギリスは、7月17日に新規感染者5万人を超えましたが、それをピークに、減少に転じており、その感染拡大は明らかに大規模スポーツイベントの影響を感じさせます。

イギリスは高いワクチン接種率を背景に、7月19日に新型コロナウイルスの感染拡大防止のための制限をすべて解除しました。現在進行系で、その国家を上げた社会実験を世界の公衆衛生研究者や医療関係者がモニタリングしています。

フランスはツール・ド・フランス2021の開催(2021年6月21日から7月18日)と並行して感染拡大しました。ツール・ド・フランス2021では、沿道の観客が整列して応援しているニュースを見ました。またレース中にワクチンバスを運行し、誰でもワクチンが打てるなどの取り組みもなされていたようです。

それでも新規感染者数は増加を始め、フランスのマクロン大統領は、7月12日に新型コロナ対策の方向転換を行い、各種規制を強化すると発表しました。


総力を挙げてワクチン接種に注力すべき、2021年の夏

COVID-19のメイン感染ルートは、だ液などに含まれるウイルスを吸引して成立する飛沫感染です。密閉・密集・密接した空間では、極小の飛まつ(エアロゾル)が空気中を漂い、1mを越えた距離まで伝播するとされます。

人が集まり長時間一緒に過ごす間に、飲み食いをします。飲食時に当然、マスクは外します。スポーツ観戦では応援の歓声を上げ、唾液を飛ばします。東京オリンピック2020は無観客開催となり、観客や動員されるスタッフやボランティアによる集団感染のリスクは低減しました。

しかしながら、国内の感染状況は日々悪化し、オリンピック関係では、26日も選手を含む大会関係者16人の陽性が確認され、 1日以降の累計感染者数は148人と報告されています。

それでも感染状況が改善すれば、パラリンピックでは有観客開催を検討しているそうです。どこの世界の話ですか?異次元?新型コロナ・ウイルス感染症の流行動態について学習効果ないのですか?

菅首相は新規感染者の激増に対して、ワクチン接種に力を入れたいそうですが、私の住んでいる自治体は供給量の減少を理由に、64歳以下の予約の受付を停止しています。

そして首都圏の医療ひっ迫は目前です。1年半続くパンデミックで医療従事者達は疲弊しています。緊急事態宣言とまん延防止措置が繰り返され、社会経済活動はダメージを受けています。

どちらかというと東京オリンピック2020の中止が刻々と近づいているように思えるのです。

パンデミックにおける希望は、新型コロナウイルスに対する有効性の高いワクチンです。デルタ株による感染爆発を防ぎ、社会経済活動を復旧させ動かしていくためには、政府は、総力を挙げてワクチンの供給量を確保し、ワクチン接種に注力する。それが、この2021年の夏という時期だと考えています。