[book] 宝塚イズム37のお知らせ

『宝塚イズム37 』(著, 編集/ 薮下 哲司鶴岡 英理子, 青弓社, ¥1,728)が発売になりました(ホントは6/1予定なんだけれど)。一般の書店様で購入できるはずですが、日比谷とか宝塚駅付近の書店様には置いていただいていると思います。

今回はちゃぴ(愛希れいか)様の特集に1本、公演評2本(雪組、星組)を寄稿しました。私は中でも薮下さんと鶴岡さんの対談が好きなんですよね。あとOGロングインタビューと。今回は早霧せいなさん登場です。

文字主体の批評誌ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

ちぎたさんのお召し物は、↓産経新聞に掲載インタビューと同じなので、同じ日にインタビューだったのでしょうか。

【歌劇な人々】伝説のトップ・早霧せいな「“男役の早霧”だけで終わるのはファンに失礼」退団後初主演公演に意欲 – 産経ニュース @SankeiNews_WESTさんから

BUTAKOMEのコラム【早霧せいなのビタミン“S”!

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[stage] 『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』(1)

前雪組トップスター早霧せいな主演の『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』。大阪公演初日とe+貸切公演(5/23)観劇しました。社会性のある、ユーモアに富んだアメリカンな大人のコメディで、思いっきり楽しめました。

早霧さま、卒業後主演第1作目おめでとうございます!!←女優デビューおめでとうと書こうとしたのだけれど、御本人は「女優」は違和感があって「表現者」と名乗りたいらしい。でもタカラジェンヌだったときも表現者だったし、役者だったから、今回は、「女一匹」復活って感じでしょうか。※男一匹は辞書に載っているのに、「女一匹」という言葉は載ってないw

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[Zuka] 星組新人公演『ANOTHER WORLD』

星組新人公演『ANOTHER WORLD』
作・演出 谷正純
新人公演担当 指田珠子

星組新人公演

指田先生の演出は下級生のパワーを生かしていました。キャストもハードルの高い、難しい演目だと思うのですが、作者ではない人が演出するのも難易度が高い作品だろうと思います。

演出上の改変がいくつか。

  • 冥土で康次郎(天華えま)に出会った喜六(極美慎)が「瀬を早み、岩にせかるる」と叫びながら、上手幕に走り去って、くるっと回って、に戻ってくるとか、艶冶(桜庭舞)の場面で閻魔大王様(遥斗勇帆)に「鬼どもを集めぃ」と命じられた青鬼青次郎(颯香凜)と青鬼達がダッシュで上手幕にはけて呼び戻されるとか、数か所の改変があり、その勢いが、「余ってなんとやら」感が新人公演っぽくて、面白かった。
  • 冥土では四谷怪談のお岩さんや番町皿屋敷のお菊さんが登場し、何でもあり感に拍車をかける。
  • 冥土歌劇団の演目は、「ベルサイユのはす」から「ANOTHER WORLD」に変更。谷先生の師匠が植田紳爾先生なら、指田先生の師匠は谷先生。貧ちゃん(夕陽 真輝)がポスターの「近日来園」を読み上げ、徳三郎(天飛 華音)が、あの先生まだまだお元気だぜ」、喜六が「本人はなあんも知らんと、新人公演を観てはるんやろうなぁ」といれて、大笑い。本公演も新公も「近日来園」はキャンセル、演出家不在で上演をお願いしたい。
  • (ショーで使われている楽曲「情熱の嵐」「炎」を歌っていた西城秀樹さんの死去はびっくりしました。ご冥福をお祈り申し上げます。)

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[Zuka] 星組『ANOTHER WORLD』(2)存在が罪

落語の宝塚化を、RAKUGO MUSICALと銘打ちますが、『ANOTHER WORLD』は落語だけではなくて和物ショーに歌舞伎、人形浄瑠璃、吉本新喜劇エッセンス、初音ミク、歌劇、日本昔話まで入った何でもあり。何という難易度の高い世界。華やかさや楽しさで隠しきれない、どう見ても難しい演目なんだけれど、考えると負けだ!という気になるほど、何でもあり。

物語を作るのも運ぶのも、紅ゆずるの康次郎。徳三郎(礼 真琴)や喜六(七海ひろき)は一緒にいると心強い仲間だが、冥土道中の方向性を決めるのはあくまで康次郎。これはあくまでも星組トップスター紅ゆずるの道行きなのだった。

(パンフレットの康次郎は全然、紅さんの素じゃんと思って見ていたら、役柄や性格が判ってないうちに撮影した模様。これはお澄さんのあーちゃんも徳三郎の琴ちゃんも同様です)。

というわけで初っぱなから紅さんが立て板に水と饒舌に船場言葉で話しまくる。一人で何人分かの語りをする落語を複数名の芝居に仕立てると、ボケと突っ込みの掛け合いが分担された吉本新喜劇的な雰囲気を醸し出す。喜六のかいちゃん(七海ひろき)も合わせて怒濤の早口で、「コロッっと逝ってなはった」と歯切れ良く言ってはるけれど、テンション上げまくりやな、がんばりなはれ、と手に汗握るw

私はですね、喜六さんを偏愛していて、初見(4/28)では「なんだ、こやつは。ワケ判らん」とか思ったりしたのですが、情深い喜六はんが日々愛おしくなっていく。居方が難しい役で、愛すべき阿呆と言っても、人間、何も気にせずにただひたすら明るく笑顔で居続けるというのはあり得ない。康次郎はんや徳三郎はんは仲間扱いしてくれるけれど、大店の旦那方と手伝やさかい、本来の立ち位置は違うはずなんですよ。それに本当のアホは、貧乏神(華形ひかる)の貧ちゃんに「あんたは自分だけ良かったらええんか」って言えないと思うし、「人間は罪深い」という思考は出てこない気がする。

極楽行きか地獄行きかで、自分の罪を思い出そうとする一行。徳三郎が女は何人も殺したぜ的な発言をした後に、喜六ちゃんの背中をツンツン突いているんですが、これは「お前さんはどっちだ?」的なツンツンなんですかね。ツンツンされて言いたくない言えない的な素振りを見せる喜六ちゃん。可愛いっす。わては閻魔大王様怒られるようなことはしてまへん、とハッタリかまして、康次郎と徳三郎に「お前は存在が罪や」って言ってもらえるけれど、「存在が罪な」阿呆ってどんな人なんだろうか。喜六の過去はいかに、と思うけれど、浄土真宗的な悪人、自分自身では煩悩を断ずる事ができない「罪悪深重の凡夫」を自覚する者なのかもしれないとか深読みする自分でした。可愛いすぎる罪か。おもろいキャラですよ、喜六はん。超がんがれ。

喜六はんのことだけで1回分が終わってしまった。えろうすんまへん。

[Zuka] 月組『カンパニー』(3)終

月組『カンパニー/BADDY 』は5月6日(日)に大千秋楽を迎えました。おめでとうございます。

何を書こうかなぁって思ったんですが、『カンパニー/BADDY 』のことを考えながら、人って(私って)自己承認欲求と自己防衛本能と自尊心と見栄との戦いで毎日を生きているのねと、しみじみしました。ヅカファンは、絶えることなく、自己の価値観を認識する機会(舞台)を供給されるという、ほんと良い環境ですね。しみじみ。

『カンパニー』と『BADDY 』、私にとっては両方ともノイズの多い日常のような、雑然とした、でもとても大切な事を描いている2本立てでした。ノイズだらけだと逆に

見たいものしか見ない

っていう気分になりますよね(私だけかい)。

Le CINQにカンパニーの脚本を入れて欲しかったなぁ。完全に公演写真集と化している。仕方が無いのでブルーレイを流して確認をしたりしているわけです。

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