[ZUKA] 2015年月組『1789』役替わりオランプ編ー感想(4)

オランプの役替わりは、海乃美月早乙女わかば

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海乃美月のオランプは、良い意味で、真面目な平民の娘であった。王太子の養育係という名誉で大事なお役目を頂いた事を父ピュジェ中尉(飛鳥裕)と一緒に喜び、王太子ルイ・ジョゼフ(舞雛かのん)に真心を込めて尽くしている。バスティーユ牢獄の爆薬庫の管理をする父から様々な事を学び、それが役立っていることも嬉しい。パリでは王家に反発する人達がいるのも知っているが、目の前にいる王や王妃は優しくて、王妃はただ寂しそうな高貴な女性で、お慰めしてあげたくなる。フェルゼン伯爵と会うことで王妃が喜ばれるなら、私に出来ることはしよう。

早乙女わかばのオランプは、養育係に収まらない品があり、貴族出身という設定でも納得が出来る。王太子の養育係という役目を名誉と思い、誇りにしている。父ピュジェ中尉(飛鳥裕)から学んだ様々な事を王太子ルイ・ジョゼフ(舞雛かのん)のお世話に役立てられる事も嬉しい。パリでは王家に反発する人達がいるのも知っているが、高貴な身分の人達は、平民の感覚と異なっていて当たり前。目の前にいる王や王妃は優しくて、きちんとお仕えしていれば眼をかけてくださる。王妃とフェルゼン伯爵との密会を手引きするのも大事なお役目だし、しっかり努めなければ。

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1幕でロナン(龍真咲)が革命家達に不信を現すのには、やはりオランプとの間に芽生えた恋が大きく影響するのだと思う。バスティーユ牢獄で、再会したペイロール伯(星条 海斗)は父を殺した男で、平民を同じ人間扱いしていないことをロナンは理解しているはずで、拷問での洗脳もあったとは思うが、ロナンに絶望を与えたのは、オランプへの恋の先行きではないのか(あくまで仮説)。

あとオランプの重要な役割として、小池修一郎氏の言葉で「革命側と王族・王党派を繋ぐ人物」(歌劇5月号座談会)というのがあると思う。民衆側に、王族の実体を伝える役目を受け持つのが、オランプ。秘密警察トリオ(紫門 ゆりや、朝美 絢、輝月 ゆうま)もそうなのかもしれない。この3人は平時だとロナンと変に意気投合しそう。オランプも、紫門ラマールと冗談を交わすくらいのゆとりを持てればいいな(←こんな場面はないけれど、潤いをもたらすと思うww)。

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海乃美月は、素直で感性が豊か。自分が大事に思う人を大切したいというオランプ。そんなオランプが恋の情熱に捕らわれると、どうなるか。まだ緊張しているけれど、回を重ねて恋する表情をもっと表現できれば良いなと思う。

早乙女わかばは、歌も上達しているし、演技力は十二分にあるし、努力しているのがよく判る。第2幕で、ロナンに抱きしめられて「世界の終わりが来ても」を歌う表情は、真摯で切なかった。

ただ、うーん、私が早乙女わかばが良い表情しているなぁと思ったのは、アルトワ伯(美弥るりか)に銃を向ける所とか、『Bandito』ではサルヴァトーレ・ジュリアーノ(珠城 りょう)のために憲兵のマントをはぎ取る場面とか、『CRYSTAL TAKARAZUKA』で凪七瑠海と一緒に演じていた魔法使いとか。どれも一瞬だが、生気が溢れていた。組替えの緊張がまだあるのかもしれないけれど、自分だけを見つめてガチガチになるのではなく、オランプとして、ロナンを見てあげて欲しい。真咲さんにぶつかって欲しい。深呼吸して、もう少し周りを見た方がいいんじゃないかな。その方が楽になるんじゃないだろうか。そんな感じ。

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実を言うと、オランプは両方とも、いつロナンを好きになったのか判らなかった。ロナンを父ピュジェ中尉(飛鳥裕)と助け、バスティーユ牢獄から二人で抜け出して、ロナンにお礼だと言われて熱い熱いキスをされ、逃げるように去る。その直後に、ロナンは「恋に燃え上がる炎は、二度と消せない」と熱烈に歌うのだが、オランプはその熱情に押されたという感じなのだろうか。ここでは、オランプとロナンの間に温度差があるように感じて、まだロナンの片思いかな?と思ったが、2幕に入ってパレ・ロワイヤルの落とし子シャルロット(紫乃 小雪)が、オランプの恋心を伝えにくるので、両思いではあるらしい。役替わりでは若干差があるが、オランプの気持ちが確実に上がってると感じられたのは、2幕に入ってから。

2人ともトップスター相手に緊張していたからな。感情があんまり乗っていないのに表情だけ作ると、どこか強張った静止画のようになるんだよね。タカラジェンヌはいずれも、美貌の持ち主だから、眼福つっちゃ眼福なんだけど。^^;

連休明けなので間は空くかもしれませんが、1789の感想はまだ続く。