[Zuka] 2015年月組『1789』役替わりソレーヌ編ー感想(3)

2日に『1789』の2回目観劇をして、歌劇を買い(まだ定期購読にしていないのがバレるの巻)、その夜にスカイステージで、ファーストラン NOW ON STAGE#452 月組宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演『1789 -バスティーユの恋人たち-』を見て、あ、良かった、あの受けとめ方で合ってたと思いました。

大作の新作だから、難易度の高い歌とダンスを覚えつつ、お芝居を創り、と全力で走りながら創っていると思われる。

フランス版の『1789 les amants de la bastille』の映像も、YouTubeで検索すると見ることが出来ます。→【Live(舞台)】と【音源】. 面白いのは、ロベスピエールがボディパーカッションをする”A quoi tu danses (intégrale) – Sébastien Agius” で、観客から「きゃーっ!!」という歓声が入る映像があったこと。やはり日本人はマジメなのか、文化の違いだなぁ。

~Joie de vivre~ フランス語&フレンチ・ミュージカル+α」で、プロデューサー Dove Attia氏 インタビューの紹介(2015/5/5)があります。Attia氏の回答がとても興味深い。キャスティングの考えや、アーティスト達の変化などに言及しています。とても良いインタビューです。オススメ。

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さて、タカラヅカ版『1789』の役替わり感想。

役替わり日程を確認してみたら、Aバージョン2回、Bバージョンを2回という観劇日程になっていて、CDをどうするか、思案中。オランプにしろ、ソレーヌにしろ、対照的な役作りで、それで舞台の印象がかなり変わっていたので、CDだとどうなるんだろうという、好奇心がむくむくと沸いている。

ひとまず役替わりは、A:オランプ/海乃美月、ソレーヌ/晴音アキ、B:オランプ/早乙女わかば、ソレーヌ/花陽ミラを1回ずつ見た事になるので、その時の印象を書き留めておく。

デムーラン(凪七 瑠海)の紹介でマラー(綾月 せり)の印刷所で働き出したロナン(龍真咲)は、大家に部屋を追い出される。理由は不明で、周囲はさらっと流していたが、この出来事はロナンの心に傷をつけていることは間違いないと思う。そしてロナンは、ダントン(沙央 くらま)に娼婦となっていた妹ソレーヌを紹介される。

ソレーヌは役替わりで、晴音アキ花陽みら。この二人の演じたソレーヌが全く対照的だった。

晴音アキのソレーヌは、精神的にか弱そうだった。パリに出て娼婦になるのも生きるためで、仕方がない。ダントンは優しいけれど、商売女相手の恋愛なんか、遊びに決まっている。いつ捨てられても不思議じゃない。怯えながら毎日をしのいでる所に、いきなり現れた兄さん。自分をおいていった兄さん。

ソレーヌが、パリに出てきて娼婦になっていたことに衝撃を受けるロナンに対し、ソレーヌは抗う。「私が悪いんじゃないわ。これで食べていけるんだもの」。ソレーヌの必死さに、ロナンは何もしてやれない己の無力さを噛みしめる。

花陽みらのソレーヌは、たくましい。売れるものを売るのが商売よ。ダントンは優しいし、お金も持っているし、仕事も考えてくれると言っていた。離さないわ。私はパリで生き抜くと決めたの。兄さんとはもう会えないかもしれないけれど、娼婦仲間もいて、ここでは一人で飢えることもない。

ソレーヌが、パリに出てきて娼婦になっていたことに衝撃を受けるロナンに対し、花陽ソレーヌは、豪然と顔を上げる。「私は悪いことをしていると思っていないわ。これで食べていけるんだもの」。たった数ヶ月離れただけで、妹が理解できないパリの娼婦という存在に変貌し、ロナンは貧困という現実に恐怖を感じる。

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役替わりを両パターン見て、気付いたのは、ソレーヌとの出会いも、ロナンにかなりの衝撃を与えているということ。このソレーヌとの出会いの後に、王妃マリー(愛希 れいか)とフェルゼン伯爵(暁 千星)の密会に遭遇し、二人を逃がそうとしたオランプ(海乃/早乙女)に濡れ衣を着せられて、問答無用でバスティーユに連行され、バスティーユで拷問を受けて、オランプとピュジェ中尉(飛鳥裕)に助け出され、オランプにキスをして、印刷所に帰ってくる。

ロナンは、帰ってきた印刷所で、デムーラン(凪七 瑠海)とロベスピエール(珠城りょう)が、ふざけ合っているのを見て、頭に血が上って、怒鳴り出す。

ここは急展開で、ロナンの気持ちがどのように変化したが、初見の時はついて行けてなかったのだが、2回目に観た時は、ロナンの気持ちの変化には、ソレーヌの存在も、かなり大きかったのが判った。ただ、これは役替わりの効果なのか、2回目でストーリーを把握していたからなのか自分でも判らないところがあるのだけれど。

2回目に観た時、ロナンに怒鳴られたデムーランは、「へ?」とかマジ言って、若者のライトさを出していて、とても良かった。デムーランは、ロナンから、思いもかけない怒りを受け、狼狽えるが、彼の言っていることを理解すると、今度は悔しさを隠しきれない。自分が助けた若者、無邪気に懐いてきて弟のように可愛い。気持ちが本当にわかると言えば嘘になるが、しかし、育ってきた環境の違いはどうしようもない。ロナンだけではない。ジャック(宇月 颯)、ミシェル(煌月 爽矢)、ジュリアン(千海 華蘭)、イブ(貴千 碧)、どうしたら僕たちは手を取り合えるのか。

胸が詰まるようだった。

晴音ソレーヌも花陽ソレーヌも、ダントンにカフェの女給の仕事を紹介して貰ってから、表情が柔らかくなり、革命家達の本気を信じ始める。個人の力に限界はあるけれど、現状を変えたいと思う気持ちは真剣なのだと。

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長くなったので、オランプの役替わり感想は次に。