[Zuka] 月組『1789-バスティーユの恋人たち-』感想(2)

月組公演の観劇日程を調整して、娘役の役替わりを全部見ることが出来そうです。

主役級の役替わりは、負担が多すぎて(主役級の歌とセリフとダンスと芝居が2乗っていう)、あまり賛成ではないのですが、娘役に出番が増える、こういう役替わりは喜ばしいと思います。気持ちの切り換えなどは大変だろうと思いますが、経験を積むことが出来る滅多にないチャンスなので、是非モノにして欲しいです。

『1789』感想その(1)

龍真咲のロナンが、変化していく鍵を握るのは、革命家達とオランプなのだろう。

日曜日に観劇したときは、デムーラン(凪七 瑠海)やロベスピエール(珠城 りょう)、ダントン(沙央 くらま)が、まだ自分達の役をものに仕切れていないという印象を受けた。

ロナン(龍)は、オランプ(役替:早乙女 わかば海乃 美月)に濡れ衣を着せられバスティーユで拷問を受ける。後悔したオランプに助けられて、パレ・ロワイヤルに帰ってくると、革命家達と袂を分かつ。革命家達は学があり、裕福だから、理想論を唱えられる。いま、食べる物に事欠いている貧しい者達の気持ちがわかるのか、と。

これは妹のソレーヌ(役替:晴音アキ花陽ミラ)のこと、オランプとの出会い、そしてバスティーユの経験が積み重なっただけではなく、革命家達にもロナンがそう感じる何かがあったということではないか。後に、革命家達と合流したロナン(龍)は、「あんた達の本気に感じた」(うろ覚え)と言う。つまり、袂を分かったときは、「本気で革命を起こそうとは思っていない、本気で貧乏人を助けようと思っていない」と考えていたということだろう。

最初にロナンを助けるデムーラン(凪七)がキーマンなのかもしれない。ロナンが反応して激高したのも、デムーラン(凪七)とロベスピエール(珠城)がルイ=ル=グラン学院の同級生だったという会話だった。

ロナンを最初に友人と呼んだ凪七が演じるデムーランは、明るく爽やかな若者である。史実では公務員の父を持ち、親戚には代官がいたらしいので、不自由なく育ったのだと思われる。同じ平民ではあるけれど、汚れた服を着て、飢えて倒れた農民ロナンを見て助け、食べ物を与え、仕事を紹介する。それは、全くの義侠心で?それとも憐れみ?それとも同情心?

強きをくじき弱きを助けるという使命感に嘘偽りはないものの、ロナン(龍)に壁を感じさせたものは、デムーランの「何」だったのだろうか。

ダントン(沙央)は、真剣に愛した女性が、ロナンの妹のソレーヌだったという関係だが、ソレーヌは娼婦で生計を立てており、ロナンに革命家達は所詮、プチブルジョワだという。ダントンとソレーヌの間にも壁がある。沙央くらまが演じるやや気怠げなダントンは、「遊び人」という印象を若干受けたので、そこは理解できる(笑)。

ロベスピエール(珠城 りょう)は、ダントンに演説を振られたり、指導者を任されたり、ロナン(龍)と強く関わってる印象がないので、革命家の中ではやはりデムーラン(凪七)がキーではないのかと、勝手に思ったりする。違うかもしれないけどね。