『月雲の皇子』を観た時から、上田久美子氏が役者の個性に合わせてあて書きすると、どうなるのだろうと思ってましたが、『翼ある人々-ブラームスとクララ・シューマン-』は絶妙の配役で、珠玉の作品でした。
ドイツ・ハンブルク生まれのヨハネス・ブラームスは、独身のままウィーンで亡くなった(1833-1897)。ブラームスが物心ついたとき、ヨーロッパの音楽界にベートーベンはすでになく(1770-1827)、ショパンもブラームスが長じる前に没していた(1810-1849)。”楽聖”ベートーベンが音楽界に残した足跡はあまりにも大きく、音楽家達はベートーベン亡き後の道を探しあぐねていた。ブラームスは音楽を父親から手ほどきを受けたが、音楽家の家系でも貴族でもなく、彼は居酒屋でピアノ演奏をして生活費を稼いでいた。