[Zuka]2013年星組『ロミオとジュリエット』【A】
[Zuka]2013年星組『ロミオとジュリエット』【B】(1)の続き。紅ゆずるのベンヴォーリオその他役替わりキャストの感想です。
◆役替わりする配役
【A】 5月31日~6月7日、6月25日~7月8日
ティボルト = 紅ゆずる ベンヴォーリオ = 礼 真琴
マーキューシオ = 壱城あずさ パリス = 天寿光希
死 = 真風涼帆 愛 = 鶴美舞夕
【B】 6月8日~6月24日
ティボルト = 真風涼帆 ベンヴォーリオ = 紅ゆずる
マーキューシオ = 天寿光希 パリス = 壱城あずさ
死 = 麻央侑希 愛 = 礼 真琴
『ロミオとジュリエット』でマーキューシオとベンヴォーリオは、モンタギューのリーダーであり、ロミオの親友である。
【A】パターンの壱城あずさのマーキューシオは、金と黒の髪でちょっとチャラい感じのするマーキューシオで、礼 真琴のベンヴォーリオはきれいな金髪に、一番下の末っ子という感じの大人しさと真面目さがあった。
【B】パターンのマーキューシオ@天寿光希は赤い髪、ベンヴォーリオ@紅ゆずるは緑のお衣装と緑のアイメイクだったので、それぞれ髪の色やお衣裳の色が違うように、打ち合わせして、調整したのだろう。
壱城あずさのマーキューシオと礼 真琴のベンヴォーリオのコンビも良かったのだが、 天寿光希のマーキューシオと紅ゆずるのベンヴォーリオが、個人的にツボだったので、書いてみてみたい。
天寿光希のマーキューシオは、赤い髪の熱血漢。悪ぶっているけれど、一途で不器用なロミオが大好きで、守護者を任じている。その大事なロミオ@柚希礼音が目の敵にしているキュピレット家のジュリエット@夢咲ねねと極秘に結婚したと知って、裏切られた思いで、怒り狂う。モンタギューのアイコンの存亡にかかわる事であり、親友ロミオの危機である。マーキューシオ@天寿光希からは、その悪ぶった態度とは裏腹にロミオを心配する心情が伝わってきた。不良なんだけれども、弱い者いじめはしないんじゃないかと思わせる天寿マーキューシオであった。
物語上のロミオとマーキューシオ、ベンヴォーリオの関係は、ロミオはアイドル的存在で、マーキューシオが親衛隊長、ベンヴォーリオがその弟分という印象を受ける。壱城あずさのマーキューシオと礼真琴のベンヴォーリオは、壱城マーキューシオ(兄貴分)の後をついて歩く礼ベンヴォーリオ(弟分)という感じで、ぴったりだった。
紅ゆずるのベンヴォーリオは、マーキューシオ@天寿光希が死んで以降の追い上げが激しかった。
【B】パターンを観る前までは、紅ゆずるは、押し出しのあるクセのある役(ティボルトや『オーシャンズ11』のベネディクトなど)が似合うという先入観があった。そして、ふたを開けてみると、紅ゆずるのベンヴォーリオは、マーキューシオ@天寿光希に大人しく後からついて行くタイプで、ティボルト@真風涼帆が現れると怯むのである。これには、びっくりした。
ところが、マーキューシオ@天寿光希が死に、ロミオ@柚希礼音はティボルト@真風涼帆を殺した罪で、ヴェローナの街を追放される。一人残されたベンヴォーリオ@紅ゆずるは、途方に暮れる。そして今度は、ジュリエットの悲報が届く。ベンヴォーリオ@紅ゆずるは激しい衝撃を受け、無力感とともに「どうやって伝えよう」と歌う。
俺には分かる 君の痛みが
昨日までの俺たちは
世界を治める王だった
今日の俺たちは
誰も生き返らせることは出来ない
誰一人 ジュリエットさえどうやって
伝えよう
もう俺と君しか 残っていないことを
ベンヴォーリオ@紅ゆずるは、己の無力を嘆きながらも必死で「どうやって伝えよう」と、あがき、もがく。出だしは自信なげに、そして最後に「それを伝えるのは、この俺しかいない。ロミオに伝えるのは俺だ」と覚悟を決める。それとともに歌声も力強く変化をしていく。(べにーは歌唱力が飛躍的に向上しているね。)
そして、「ジュリエットの死」という情報を渡すために、追放されたロミオを探しにいく。
ベンヴォーリオ@紅ゆずるは、自分の果たさなければならない役割を自覚し、それまでの自信なげな態度を一変させる。瞳に輝きが加わり、表情に決意が浮かぶ。この変化が見事で、ロミオ@柚希礼音、マーキューシオ@天寿光希、ティボルト@真風涼帆とそれまでの主要人物達が去った舞台をベンヴォーリオ@紅ゆずるは1人で支配した。
見事だった。
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麻央侑希の「死」は、「ひそかに忍び寄る死」であり、礼 真琴の「愛」は、「優美な見守る愛」であった。 愛と死の表現もいろいろだなぁと感慨が深かった。
フィナーレのショーは、紅ゆずるを中央にして、十輝 いりす、真風涼帆の3人がメインとなる男役群舞、柚希礼音と夢咲ねねのデュエットダンスに見ほれました。特に柚希礼音と夢咲ねねのデュエットダンスは、黒を基調としたお衣装が素敵で、夢咲ねねは、挑戦的であり、上品でありながら、適度にエロチックという、女の目から見ても魅力的なダンスを披露していました。
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- 宙組公演『風と共に去りぬ』の主な配役と役替わりが公表された【→公式】。
- 劇団側にも考えがあるのだろうけど、役替わり公演が増えてきていて、観る側としては期待とともに、懸念もある。役替わりは、観客と販促の面から言えばメリットがあるが、キャストの負担は大きい。そのあたりの配慮は当然なされているものと思うが、どうかよろしくお願いします。>歌劇団様
- (生徒達は、振られた配役を受けるだけのようなので、仕方がないと言えば仕方がないのだけど、その辺りがファンからすると微妙ではあるんだよね。)