雪組『私立探偵ケイレブ・ハント』『Greatest HITS!』。初日は10月7日(金)で、開幕3日目の10月9日(日)に観劇しました。
雪組とっては、日本物ではなく、原作つきでもなく、2.5次元でもない、久々の座付作家のオリジナル物とショーです。作・演出は、大劇場登板が『アルセーヌ・ルパン』以来の正塚晴彦氏。
さすが、日常着を着ると、そのスタイルの良さとスマートさ、整えられたビジュアルは抜群。このポスターはさわやかで、連帯感というか、雪組の「絆」を感じるので、非常に好感度が高いです。
座付き作家の作品、それも初演の醍醐味のひとつは、その組に合わせた役柄と構成だと思っているのですが、正塚先生もそのあたりを配慮する方だから、と思って観劇してきたところ、メインキャストは、まさしく宛書というか、宛書すぎて、演技巧者ぞろいの雪組トリデンテ(トップコンビ+2番手)が、やや戸惑ってますか?という印象でした。
注:以下、褒めてません。
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地に近い役なだけに、テンション高めの落ち着かなさがメインキャストを取り囲んでドタバタ芝居になっている気がした・・・。
典型的なのが、2番手だいもん(望海風斗)演じるジムで、正塚先生曰く「私が以前より望海から受けているイメージを強く反映」したということで、これまでの作品では憎まれ役やボスキャラ、ギャングに女たらしとダーティ色の強い役柄をこなしてきた望海風斗が、誠実で真面目な私立探偵ジムとして、若くてきれいな彼女(星南 のぞみ)に駄々をこねられて、おたおたしてますよ!3日目の観劇時では、本人もその設定に慣れていないようでした。観ている側としては、だいもんの、慣れないおたおた感が新鮮だったけれど!!
私立探偵を営むケイレブ・ハント(早霧 せいな)とケイレブの恋人のイヴォンヌ(咲妃 みゆ)という、トップコンビが最初から恋人同士という設定の物語も珍しい。ケイレブは、上流階級や富裕層などのアッパーを対象とした私立探偵。イヴォンヌは、スタイリストで企画を自分で持ち込み、イベントを取り仕切る仕事人。
レストランでラストオーダーまで連絡もなく遅れるケイレブを律儀に待つイヴォンヌ。ケイレブは自分を裏切らないと思っているイヴォンヌの信頼感満載。そして「知り合って初めての誕生日」とイヴォンヌに言って、「2回目よ」と訂正されて、ぎゃふんとなってしまうケイレブ。意外に初心です。
CS等での通常の顔では中学生男子のように、みゆちゃんを突っついて楽しんでいる早霧さんですが、めっさ正直に「好き好き」とみゆちゃんに言っています。3日目の観劇時ではまだ双方がそういう役どころに慣れていない感じがして、そういう辺りは可愛くて楽しめました。→
→が、『私立探偵ケイレブ・ハント』は、ラブコメディではなくて、ハードボイルドな私立探偵もの。ミュージカル・ロマンなんですよね~。コメディ担当は私立探偵事務所で事務を担当するコートニー(早花 まこ)や経理のダドリー(真那 春人)、雑用係のトレバー(縣 千)に任せておけば良いんじゃないのかなぁ。きゃびい(早花)とまなはる(真那)のコンビは最高でしたよ。
マサツカ先生は、雪組を鍛えようとしているのか、と思わされたケイレブ・ハント。変に”芝居”をしない!!取っつきやすい笑いに飛びつかない!!台詞回しと間合いを鍛えよ!!っな感じでした。
マサツカ芝居は台詞回しがものすっごい重要。同じセリフでも言い方ひとつで印象がかわる。
上手いなと思ったのは、アパートの管理人を演じるヒメ、舞咲りん様(もはや様づけ)でした。管理人のセリフだけで大劇場の客席が沸いたよ!!
香綾 しずるが、ケイレブを秘かに支援するナイジェルというミステリアスな役で要所を締めていた。がおりさん(香綾)だけがハードボイルドだったよ…。