[Zuka] 2014年星組『The Lost Glory―美しき幻影―』

宙組全国ツアー『ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―』の配役が出ました。七海ひろきオスカル、蒼羽りくアンドレです。お目々ぱっちりオスカルとアンドレ。オスカルは女役分類です。「男役を追求する」と宣言していた七海さんに、またもや女役、しかもオスカル様です。マドモアゼル・オスカルですよ!!

ということで、えーっと、ガンバレ七海さん負けるな七海さん!

JETLAG OFFICIAL WEBSITE蓮水ゆうやの名前があったりとか、ヅカファンは毎日大騒ぎです。

ちー様でした。女役だそうです!→【主演は蓮水ゆうやさんです!

__

星組公演『The Lost Glory―美しき幻影―』『パッショネイト宝塚!』を、初日と1週間後に観劇しました。『The Lost Glory』は植田景子氏が、シェイクスピアの「オセロ」をモチーフに、愛憎悲喜こもごもの人間模様を描き出すもの。

星組公演
星組公演『The Lost Glory―美しき幻影―』

宝塚歌劇団で初めての女性演出家※である植田景子氏への期待は高いです。だからこそ、より高いレベルを求めてしまうのかも、と2回の観劇の後に思いました。

※現在、宝塚歌劇団に在籍している女性演出家は、植田景子氏、小柳奈穂子氏、上田久美子氏の3人のみ。(2013年5月に退職した児玉明子氏を入れても4人)。

黄金の20年代とも狂騒の20年とも呼ばれるアメリカ合衆国の1920年代。

オットー・ゴールドスタイン(轟 悠)は、幼い頃に母と別れてギリシャからのアメリカに移民としてやってきた。彼は、第一次大戦中にライマン財閥のウォルター・P・ライマンを救ったことにより、ライマン財閥の後ろ盾を得て、建築会社ゴールドスタイン社の社長として、建築業界に君臨していた。

オットーが絶大な信頼が寄せているのが、ゴールドスタイン社の財務を一手に引き受けるイヴァーノ・リッチ(柚希 礼音)。イヴァーノもイタリア系移民であり、偏見と差別をバネに才覚を磨いてきた男である。

波に乗るオットーが新しく手がける事業を任されたのは、上院議員の息子であり、ディアナの遠縁にあたるカーティス・ダンフォード(真風 涼帆)。そしてオットーは、カーティスの遠縁であり、名門キャンベル家の令嬢であるディアナ・キャンベル(夢咲 ねね)と結婚したことを公表する。

オットーとディアナの華々しい結婚報告を暗い表情で見つめていたイヴァーノは、ディアナの昔の恋人であるロナルド・マーティン(紅 ゆずる)とコンタクトを取る。ロナルドは、ディアナを忘れられずに故郷のボストンからニューヨークに来ていたのだ。

__

ストーリーは、登場人物達のエピソードが終局に向かって、きっちりと回収され、すっきりとまとまっている。演出も柱状の枠組みに無数のペットボトルを並べたペットボトルタワーをフル活用し、ニューヨークの摩天楼に見立てたり、バーの照明に仕立てたりと、おしゃれで心憎い。

ニューヨーク証券取引所があるウォール街では、人々が株の投機熱に浮かれていた。アメリカン・ドリームを実現しようとゴールデン・エイジに踊る人々を冷ややかに見つめるイヴァーノ・リッチ(柚希)。

エンパイア・ステート・ビルを超える高さになるという超高層ビル・ディアナ・ゴールドスタイン・ビルの建設を発表し、美しい伴侶ディアナ(夢咲)を得て、栄達の絶頂にあるオットー・ゴールドスタイン轟)を、含みのある面持ちで見つめるイヴァーノ・リッチ。

イヴァーノがオットーをターゲットにして何かを画策しているのはすぐに明らかになる。だが彼の目的は何なのか、最後の最後に明かされる。観る側は、モチーフが「オセロー」なので良い方向には行かないことを知っており、何が起きるのかハラハラしながら見守る。

初日は、終焉を迎えた後にも、イヴァーノが何をしたかったのか曖昧な部分があり、フラストレーションがあった。この終わり方で良いのか、だれも何も得ていない、宝塚歌劇なのに!

だが、2回目の観劇時に判った。

イヴァーノは、ディアナの腕の中で死ぬ。「あなたのような人に愛されて、オットーは幸せだ」と呟いて。そう、ディアナ・ゴールドスタイン・ビルの建設発表の時、イヴァーノは、オットーの横に立つ、ひときわ美しいディアナを見つめていたのだ。欲しても決して手に入れられない美しい幻影を。

Musical
『The Lost Glory ―美しき幻影― 』
written and directed by Keiko Ueda, choreographed by Gustavo Zajac
作・演出/植田 景子

[解 説]
■主演・・・(専科・特別出演)轟 悠、(星組)柚希 礼音、夢咲 ねね

“栄光の20年代”と謳われた、第一次世界大戦後の好景気に沸くニューヨークを舞台に、シェイクスピアの「オセロー」をイメージモチーフとして、男女の愛憎のドラマを描いたミュージカル。不屈の精神でアメリカンドリームを体現させた主人公に専科より特別出演の轟悠、執拗に復讐心を燃やす敵役に柚希礼音、そして、魅惑的なヒロインに夢咲ねねという、最高のキャスティングでお届けします。振付に、グスタヴォ・ザジャック氏を迎え、狂乱のジャズエイジを描き出す極上のエンターテイメント作品。