[Zuka] 2013年月組『THE MERRY WIDOW』(3)

 『THE MERRY WIDOW』のストーリーは一言で言うと、「ダニロとハンナが寄りを戻す」話である。←我ながら身も蓋もないな(^^;)

以下、ネタバレを含みます。

ポンテヴェドロ王国の武官ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵(北翔 海莉)は国王の信頼も厚く、宮廷でも人気者だった。独身で言い寄る女性は後を絶たなかったが、彼は過去に真剣に愛した女性と破局し、もう誰とも結婚しないと心に決めていた。彼女は貧しい農園の娘で、ダニロは身分違いを理由に家中の反対を受け、駆け落ちすら考えていたが、彼女は老大富豪と結婚してしまったのだ。

ダニロは、パリのポンテヴェドロ王国大使館で、大金持の未亡人となった昔の恋人ハンナ(咲妃 みゆ)に再会する。彼は、ハンナが金目当てで大金持ちの老人と結婚したと思っていたが、実は家の借金がかさみ、どうしようもなくなって嫁いだのだった。ハンナはダニロに会えてときめくが、ダニロは、ハンナに群がっている金目当ての男達と一緒にされたくないと意固地になる。ハンナは、そんなダニロを「女心の判らない、間抜けな兵隊さん♪」【→You tube】とからかうが、ダニロは「あなたを愛しているなんて、絶対に、死んでも、言いません!」と宣言する。

あーあ。Σ( ̄Д ̄;)

他方で、ヴァランシエンヌ@琴音 和葉の心を取り戻そうとカミーユ@凪七 瑠海はモーションをかけまくっている。ヴァランシエンヌの夫のツェータ男爵@星条 海斗はそのことを知らないばかりか、カミーユにヴァランシエンヌの話相手を頼んでしまうので、カミーユを避けようとしているヴァランシエンヌの逃げ道はふさがれてしまう。

あーあ。 Σ(|||▽||| )

(原作はツェータ男爵夫妻は仲直りするのですが……)。

そんな恋の鞘当てに、ポンテヴェドロ王国パリ大使館の武官やその妻達、ベルギー大使のラウール・ド・サン=ブリオッシュ@紫門 ゆりや、スペイン大使のカスカーダ子爵@煌月 爽矢が絡んで大騒動。周囲も変な連中ばっかりだw

ジゴロな外交官のサン=ブリオッシュ@紫門ゆりやとカスカーダ子爵@煌月 爽矢は、「金はないけど貴族♫」と歌って、ハンナの後を追い回す。この歌がまた凄くて、「♪金はなーいけれーど貴ぞくぅ♫(サン=ブリオッシュ)七光りだけで生き抜く ゴキブリなみの貴ぞくぅ♫ (カスカーダ子爵)女にたかって生き抜く ハイエナ並の貴ぞくぅ♪」。

いまだにフレーズが脳内で再生される(笑)。紫門ゆりやと煌月 爽矢は、舞台ではちょーっと大人しめかなぁと思っていたのだが、弾けることが出来て、めでたい。配役の妙ですな。

第2幕の中程で、上の2人に加え、ダニロやツェータ男爵、プリチッチ(輝城)、クロモウ(輝月)達で、「女・女・女のマーチ(女を射止める手だては)」【→YouTube】を歌うのだが、これも見事!北翔 海莉と星条 海斗の息の合いっぷりが素晴らしい。歌詞は一部だけメモってみた↓。

女を射止める手立ては

♪教えろ

何ひとつないさ 神様でもな

無視すりゃ 噛みつく
♪あの手この手を
怒ると 泣き出す
♪あの手この手を
褒めるとつけあがるし
♪あの手この手を

笑顔からの冷たい顔
いくら考えても謎

どれほど考えても
計り知れない心
♪おんな・おんな・おんな

いつも女は男を惑わす
♪おんな・おんな・おんな

♪やれやれやれやれ

なんかね、『THE MERRY WIDOW』の中でのハンナやヴァランシエンヌは、非常にストレートで、ハンナは明らかにダニロに振り向いてもらいたそうだし、ヴァランシエンヌは私は人妻よ!とカミーユから逃げ回っている。参事官クロモウ(輝月 ゆうま)の妻オルガ(夏月都)や領事ボグダノビッチ(朝霧 真)の妻シルヴィアーヌ(白雪 さち花)、退役軍人プリチッチ(輝城 みつる)の妻プラシコヴィア(真愛 涼歌)は浮気心があるように描かれているが、男性と話しているだけで、「浮気するなー」と怒鳴り散らす旦那のほうがアブナイと思うな。男どもが勝手に右往左往しているようにしか見えないのだが、それもこのオペレッタのウィットの利いたところなのかもしれない。

ツェータ男爵@星条が、プリチッチ(輝城)、クロモウ(輝月)、ボグダノビッチ(朝霧)に「グラヴァリ夫人にサン=ブリオッシュとカスカーダ子爵を近づけるな!」と命令すると、男達3人は「国家のために!国家のために!」と叫んで走って行くのだが、男性はそういう大義名分があったほうが動きやすいのかも、とか思ったりした。

なんにせよ楽しい公演だった。 みっさま(北翔)、月組生、スタッフの皆様ありがとう!東京公演は11日まで。

 


■主演・・・北翔 海莉(専科)
■月組・・星条 海斗、凪七 瑠海、咲妃 みゆ

MUSICAL 『THE MERRY WIDOW』~オペレッタ「メリー・ウィドウ」より~

原作/フランツ・レハール
脚本・演出/谷 正純