専科・北翔 海莉主演 月組公演『THE MERRY WIDOW』。北翔 海莉と星条 海斗と凪七 瑠海の3人で、月組の若手を引っ張っていて、組子たちも楽しげだった。咲妃みゆは感情表現が豊かで、顔や手だけではなく、全身を使って喜怒哀楽を表現していた。キラキラしていた。彡☆
『メリー・ウィドウ』は、フランツ・レハール作のオペレッタである。オペレッタは日本語では喜歌劇と訳されていて、コミカルで楽しい音楽劇が基本のようだ。『メリー・ウィドウ』は、ウィーンでは年末恒例の演目で、「陽気な未亡人」を指す(原題はドイツ語『Die lustige Witwe』)。
本公演は北翔 海莉の歌唱力・演技力・ダンス力(←というのか?)で勝負!の演目で、とにかく北翔 海莉が大活躍。舞台に立つことを思う存分楽しんでいた。公演中の音楽は原作のものをアレンジして使っていて録音のようだったが良い演奏だった。聴き応えがあった。Maxim’sの踊り子に扮した月組生達がカンカンを踊りまくるのも華やかで楽しい。ストーリーはですね、ちょっと突っ込みどころはあったけれど………いいのだ!楽しいは正義!←(^^;)
白いドレスを着た淑女と黒燕尾の紳士達が踊る宮廷の舞踏会で幕開け。白い軍服を着込んだ北翔海莉が登場し朗々と歌い、黒燕尾の男達と群舞を披露する。弾むような滑舌の良さときびきびダンス。白い軍服は生地が厚みがあって、飾りもどっちゃり付いていて、動きにくそうなんだけれど、それでも踊る踊る。ああ、みっさまだなぁ、と思う(笑)。
ポンテヴェドロ王国軽騎兵隊中尉である主人公ダニロ@北翔の従者ニエグシュ役の暁 千星は、まだ研2での大抜擢である。ちょっと舌足らずなんだけれど、そこが立派な従者になろうとして背伸びしている青年という個性になっている。黒縁丸めがねもなかなか似合い、「眼鏡を外したら美形」という一昔前(?)少女漫画にあったパターンを実演してくれている。そして何より踊りが見事!ピルエット!グラン・ジュテ!研2でこれくらい舞台度胸があれば、すくすく育っていきそうな気がする。
このお芝居は台詞や唄でのテンポの良いやりとりが楽しくて、いくつかお気に入り場面ができた。1幕でパリ行きを命じられたダニロとエニグシュの登場場面。
ダニロ@北翔は召使いのニエグシュ(暁 千星)に問いかける。
「わが国は、地図にも載らない小さな貧しい国だ。その国がこれまで他国に侵略されずにこれたのはなぜだと思う?」怪訝な顔をするニエグシュにダニロは言う。
「わが国を奪い取ってもジャガイモしかないからだ!」「ジャガイモがわが国の平和を守ってくれているのですね!」
大きくうなずくニエグシュ。
ジャガイモはいつの世も貴重な食料なんですよ!でもね、なんだろうか、この会話の面白さは。逆転の発想なんだろうか…。
で、続きます。
【あらすじ】
時代は1905年、ポンテヴェドロ王国の軽騎兵隊中尉のダニロ・ダニロヴィッチ伯爵(北翔 海莉)は明けても暮れてもジャガイモ泥棒の征伐に追われていた。ジャガイモはポンテヴェドロ王国で最も生産量の多い農産物である。ジャガイモのポタージュ、ジャガイモのコロッケ!ジャガイモは、ポンテヴェドロ人の主食であり副食(おかず)であった。
そんなポンテヴェドロ王国であったが実は国家の危機に瀕していた。国王からダニロに、国家の存亡を救うためにパリへ行けとの王命が下る。パリに到着したダニロは早速、馴染みのキャバレー・マキシムに遊びに行く。そこで旧知の吟遊詩人カミーユ(凪七 瑠海)に出会う。カミーユ@凪七は、恋人だったヴァランシエンヌ(琴音 和葉)がパリに駐在しているポンテヴェドロ王国大使ツェータ男爵(星条 海斗)と結婚してしまったことを嘆いていた。ダニロは、おまえの唄でヴァランシエンヌ@琴音を取り戻すんだ!とカミーユを焚きつける。
ポンテヴェドロ王国大使館でツェータ男爵とヴァランシエンヌの結婚お披露目パーティが開催されているところに、国王からの暗号文書が届く。ツェータ男爵は新妻の相手をカミーユに任せ、ダニロに命を下す。「ハンナ・グラヴァリ未亡人(咲妃 みゆ)と結婚してくれ!」
ハンナは、家の借金のカタにポンテヴェドロ王国の大富豪であるグラヴァリ氏と結婚したが、高齢のグラヴァリ氏はすぐに亡くなり、グラヴァリ家の莫大な財産はハンナが相続していた。遺産はポンテヴェドロ国立銀行が管理しているが、ハンナがもし外国人と再婚し、遺産が海外へ流出するようなことになれば国庫が破綻する。ツェータ男爵は、ハンナがダニロの昔の恋人だったことを知っており、ハンナが外国人と結婚することを阻止するように頼むのだった。
■主演・・・北翔 海莉(専科)
■月組・・星条 海斗、凪七 瑠海、咲妃 みゆ
MUSICAL『THE MERRY WIDOW』~オペレッタ「メリー・ウィドウ」より~
原作/フランツ・レハール
脚本・演出/谷 正純