月城かなと(95期生)・星乃あんり(95期生)主演 雪組新人公演『Shall we ダンス?』。終演後で舞台に一列に並んだ94期生以下の下級生たちが揃ってやりきったという晴れ晴れとした顔をしていて、良い新人公演だった。
そして本公演あっての新人公演だということを再認識した。本公演で演じている本役の役作りを土台にして、自分の個性をどう活かすか研鑽していけるのが新人公演なのだね。『Shall we ダンス?』は現代劇で入りこみやすいのか、雪組下級生はみんな楽しそうで演技も本役よりオーバーで、アドリブも多かった。楽しかった。
壮一帆のヘイリーは、自分の意思でボールルームダンスをやると決めてダンス教室に入会した”自主自立型”で、最初から最後まで自覚的に見えるのだが、月城 かなとのヘイリーはわけわからず入っちゃいましたなんで自分はこんなところに(しかもドニーと!!)いるのかという”巻き込まれ型”感があった。おかしかった。帆風 成海(93期)のドニー・カーティスが本役を見習ってか、強烈な個性を発揮して、受け身の月城ヘイリーとマッチしていた。月城ヘイリーは、第16場の”CHANGE”で目が覚めた!という顔をして走り出すのである。初々しかったである。
星乃あんりのエラは、しっとり感のある可愛らしさで、夜空をバックに踊る姿は妖精ティンカー・ベルみたいだった。全般的に手堅い演技で落ち着いていた。新人公演ヒロインを複数回経験しているのだから、もう少し娘役としての華やかさを出すとか冒険してもいいのかなとも思ったが、全体のバランス崩れてしまうかもしれない。娘役の立ち位置は難しいね。夢華あみ(96期)のジョセリンは落ち着きのある奥様で、娘のエミリア@有沙 瞳(98期)とともに、ヘイリーの日常生活にしっくりと溶け込んでいた。
シーラの舞園 るり(93期)、探偵クリストファーの亜聖 樹(93期)も目をひいた。あと、ペアで踊りながらエラ@星乃のおしりを触ったりするダンス教室の生徒(セクハラ男性)を、本役の大澄 れいもだが、新公で演じた和城 るな(95期)もがんばって役作りしていた。星乃あんりのエラは小柄で可愛らしいので、下手にセクハラすると(演技ね)本気で気持ち悪く見えてしまうのだが、和城るなは、コミカルに演じて切り抜けていた(褒め方が難しいぞ ^^; )。
全体的に手堅い、安定した舞台だった。新公長の彩風 咲奈(93期)の挨拶は気配りがあり、笑顔が素敵だった。下級生にとっては大事な機会である新人公演。雪組93期生は、これで卒業となる。おめでとう!