ショー・オルケスタ『Mr. Swing!』。真紅のスーツのMr.Swing蘭寿とむを中心に、ずらりと黒スーツの男役達が銀橋に並ぶイントロダクション。青と金のドレスに身を包んだ蘭乃はなを娘役達が取り囲んで舞い踊るプロローグ。何が出てくるか判らない楽しい楽しいびっくり箱のようなショーだった。演出は、稲葉太地。
第3場は、蘭乃はなと柚香光が演じる幻に翻弄されるターバン姿の明日海りお。美しい女性(蘭乃)の手を取って、じゃれ合っていたら、いつの間にか、男(柚香)に変わっていて、びっくりするみりお(明日海)。蘭ちゃんと柚香くんが、お耽美に笑いながら、みりおをもてあそんでいる。いじられる役が似合う、みりお。
ここは、周囲で踊る男役達が鳥という設定なので、月央和沙を筆頭に、冴月瑠那らがバンバン跳躍して、花の設定の娘役達ー梅咲衣舞、遼かぐら達が乱舞していた。
第4場、蘭寿とむのスウィングスチームと蘭乃はなのフラワーズチームの恋の駆け引き対決。こういうノリは、かなり好き。楽しい。野球帽をかぶりバットを持った蘭とむが、「俺はいま絶好調♪♪」と歌いながらご機嫌で銀橋で歌う。蘭はなちゃんに、スウィングスチームから引っ張り出されて、お色気にノックアウトされる春風弥里のみーちゃん。フラワーズ娘達のお色気に翻弄されるスウィングスの男ども。女の子達は、「まったく男ってー」とかワイワイ言いながらやっているらしい(笑)。
最終的には、蘭とむが逆転満塁ホームランを打って、スウィングスチームの勝利。ふくれている蘭はなちゃんに、あの子の悔しがる顔には弱いんだとか歌いながら、肩を引き寄せる蘭とむ。この辺りは、ツボを良く押さえている稲葉太地氏の勝利。
第5場は、11期生にして新入りセイラーの明日海りおが豪華客船花組号に乗って船出というようなイメージ。セイラー服のみりおが登場し、船長・悠真倫、副船長・天真みちるに、「新入り、遅いぞ」と呼ばれる。船上ショーの設定で、蘭寿とむ、明日海りお、望海風斗、華形ひかる、春風弥里の5人がそろって踊るのも嬉しかった。しかし最後のセイラーさんと、赤いスーツの男役、赤いドレスの娘役が入り交じった群舞って、賑やかだが、ちょっとカオスである。音楽は、In the Mood【→YouTube】。生演奏が盛り上げてくれる。
第6場は、役替わりで話題のデュエットダンス。葡萄が実る秘密の花園で、蘭寿とむと瀬戸かずやが、望海風斗の歌うマスカレード(This Masquerade)【→歌詞】をバックに、愛を求め合って踊る。だいもん(望海)の声が、スローテンポなリズムにばっちり合って、艶っぽすぎる。そして、あきら(瀬戸かずや)が回を重ねるごとに、動きがしなやかに、妖艶になっていく。最初に観た時は、まだ男役がドレス着ている感ありありだったのが、3回目観劇時には、美しい女性ダンサーに変身していた。表現力の勝利。あきら子ちゃんの千秋楽を祝って
マスカレードの相手役は、30日からは芹香斗亜、13日からは柚香光の役替わりです。
本公演で退団する春風弥里のみーちゃんのための場面が多くて、春風が出てくる度に注視していた。特に、ダンスの相手役(華耀 きらり)をリフトする場面と、高翔組長や同期の月央和沙、夕霧らいに背中を押されて銀橋を渡り、華形ひかると対話するところは、あったかい場面で、惜しみない拍手がわき起こっていた。こういうのが、宝塚歌劇団の良いところである。しんみりしみじみ。
トップコンビによる大階段でのデュエットダンスはしっとりした愛あふれるダンスでした。お芝居でどんな配役でも、このフィナーレでのデュエットダンスは、トップコンビのもの。トップコンビのデュエットダンスがあれば、私的には配役は許容範囲なのだった。