[diary] COVID-19パンデミック雑記(42)台湾の感染拡大と日本の水際対策

台湾 Kaohsiung City, Xinxing District (高雄市の六合夜市)

新型コロナ・ウイルス感染症(COVID-19 )対策に成功してきた台湾で感染が拡大しており、台湾ニュースをチェックしています。シンガポールやベトナムでも小規模ですが、感染拡大が起きています。


台湾やシンガポールでも変異株の感染拡大

台湾で感染拡大しているのは、イギリス型変異株(B.1.1.7)です。油断していたら飛躍的に増加する。新型コロナ・ウイルスおそるべき。

5月7日5人
5月8日5人
5月10日11人
5月12日21人
5月14日34人
5月15日185人
5月16日207人
5月17日441人(修正)
5月18日243人
5月19日391人(修正)
5月21日309人
5月22日323人
5月23日287人
ロイターCOVID-19 TRACKER

台湾の発表では、5/23付で累計4322人、死者23人。遡って漏れていた分の追加修正が行われています。

蔡英文総統率いる台湾政府は有能で、新型コロナ・ウイルス感染症を完全に封じ込めていると思っていたのですが、今年の1月には桃園医院で院内集団感染(クラスター)も起きています。


ゆるめられた航空パイロットの隔離ルール

今回は、国際線航空パイロットの隔離ルールを見直したところから感染が広がり始めたようです。入国者は14日間の隔離義務ですが、パイロットの要員が不足し、5日間に短縮。さらに4月に3日間に短縮したところ、パイロット達の宿泊ホテルでクラスターが発生。それから接待を伴う飲食店などを通じてさらに広がったとのこと。

シンガポールやベトナムでも出入国制限の間隙をついて、ウイルスが入り込み、隔離施設や空港、その後はナイトクラブなどでの感染が広がる、といういずこも類似パターンで広がっています。

 ワクチン未接種の航空機パイロットの隔離ルールだ。当初は14日間の隔離を義務付けたが、その後5日間に短縮され、さらに3日間に縮められた。
それからまもなく、中華航空のパイロット数人が絡んだ感染クラスターが発生した。(略)このウイルスが地域で拡大し、やがて台湾の「茶芸館」(風俗店)にも広まった。

「屋内で、人々が酒を飲んで歌い、接触を繰り返した。1カ所の茶芸館だけでなく、通りに並ぶ多くの店で同じ状況だった。ものすごい規模のスーパースプレッダー・イベント(感染を急拡大させた事案)だった」と、林副教授は話した。
“You had people singing, drinking, coming into frequent contact in an indoor setting. It was not just one teahouse but many on the same street – it was a very large super spreader event,” said Dr Lin.

台湾とシンガポールで感染急増 何がまずかったのか】(英語版)BBCニュース2021年5月20日


厳格だった台湾の新型コロナ対策

ニュージーランドや台湾は島国(日本も島国ですよ)なので、国内で一旦、終息させたら、ウイルスが入り込むのは海外からの持ち込みです。

  • 流行地域からの持ち込みを防ぐために入国制限を厳格に行う。
  • 感染リスクを国内に入れないための2週間の隔離による水際対策
  • 感染者が発生したら疫学調査と濃厚接触者の隔離によって感染拡大を封じる。
  • 行動履歴を隠せば最大110万円の罰金

入国後の2週間の隔離という水際対策ルールを崩し、隔離期間を短縮してしまったら、潜伏期間が長く、症状がほとんど出ない無症状者や無症候期に感染性があり、PCR検査でもなかなか補足できないという新型コロナ・ウイルスが国内に入り込むのは容易です。

防疫方針が明確で厳格だった台湾の新型コロナ対策に何があったのか。


台湾の現状

台湾では5月15日から28日までの間、人の流動を抑えるために全国の娯楽施設を閉鎖。飲食店は実名登録制とし感染対策の徹底とテイクアウト化を要請。24日からは店内飲食禁止でテイクアウトかデリバリーのみ。市場や夜市での飲食は全面禁止され、一律テイクアウトのみの提供となったようです。企業はリモートワークなどの対応が求められています。

閉鎖の対象となるのは展示場、映画館、体育館、コミュニティーセンター、劇場、美術館、文物館、スケート場、プール、コミュニティーカレッジ、有料自習室、図書館、科学・教育施設、高齢者施設など。このほか、大人数での宗教活動も禁止となる。

台湾、全国の娯楽施設を一時閉鎖 強まる警戒感、買いだめ客も 】 中央社フォーカス台湾 (2021/05/15)

国内で感染が沈静化している国のワクチン供給は遅れていましたが、韓国やニュージーランド、オーストラリアはワクチン接種を拡大させています。

台湾は国内での新型コロナ・ワクチン開発も見込んでいるようですが、供給遅延が著しいようです。日本は東日本大震災やパンデミック初期に寄付や物資の支援を受けており、恩返しできないのでしょうか。韓国もCOVAXからファイザー製やアストラゼネカ製のワクチンの供給を受けているようですし、COVAXを通すか直接か。。。書くだけ書いておきます。


僕は怖い。隠さず言おう死ぬのが怖い

僕は怖い。隠さず言おう死ぬのが怖い。
「僕は怖い」(ミュージカル『ロミオとジュリエット』第1幕/第6場 ヴェローナ市街)

日本の水際対策では入国後の待機(自主隔離)中の違反が頻発しており、海外からの流入による感染拡大が潜在化している気がしています。

政府は毎日、健康状態や位置情報を報告することを条件に、帰国者らに自宅やホテルでの14日間の自主隔離を認めている。厚生労働省によると、1日平均約2万4000人の帰国者らが自主隔離中で、保健所への報告を怠るなどの違反者は5月に入っても1日50~100人程度いるという。

入国後の待機で違反、1日最大300人…自主隔離場所から離れる・位置情報報告せず 】読売新聞オンライン(2021/05/13)

善意や道徳に頼る水際対策ではなく、システムを強化してほしいんですが、インド変異株向けに対策強化されたのが5月10日インド変異株が成田空港の検疫で初めて検出されたのは、3月28日です。2か月放置??

インド変異株はイギリス変異株より感染性が高いとされ、現在の日本ではイギリス変異株が主流ですが、「インド変異株、日本でも2カ月足らずで置き換わり得る」(新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード令和3年5月19日)と言われています。

これで7月に東京オリンピック・パラリンピックを開催すると海外からの来日は、206の国・地域から選手団が約1万5千人。加えてスポンサーやメディアなどの関係者が当初の18万人から削減されて約7万8千人

来日関係者は、”行動制限を条件に「入国後の2週間待機」の短縮や免除もあり得る”ようです。ですが、それで感染拡大したらどうするのか。ルール違反者の資格認定証を剥奪しても、拡大した感染状況を個人で止めることは不可能です。

一方、競技団体や報道関係者らが日本に入国する際には2週間の待機を原則とする。大会の運営上必要な場合は、行動制限などを条件に待機期間の短縮や待機の免除も認める。違反行為があれば、選手らと同じく資格認定証の剝奪といった措置をとる。

外国人選手ら「2週間待機」免除へ 五輪めぐり政府方針】:朝日新聞デジタル (2021年4月26日)

国内のワクチン接種は、7月末に高齢者の接種が終わると仮定しても一般向けはその先。変異株が跋扈する日本も夢じゃない。

IOCがオリンピック期間中に医療スタッフを派遣してくれても、オリンピック終了後の日本の医療体制までは考えてくれないでしょう。

現状では東京オリンピック・パラリンピックは、中止か再延期が望ましいです。

検疫も人員体制が整わず、忙殺されているんだろうと下記記事を読んでいて感じますが、どうするんだ、これ。僕は怖い