緊急事態宣言下、各方面たいへんおつかれさまです。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)においてゲームチェンジャーになると期待されているのが、ワクチン(予防接種)です。
人類が唯一、打ち勝ったと言えるヒトに有害な感染症が、天然痘ウイルスによる天然痘です。天然痘は種痘(ワクチン)接種によりその発生数が減少し、WHO は1980年5月天然痘の世界根絶宣言を行っています。
ワクチンは感染症予防には極めて重要な医薬品です。ワクチンの種類やその詳細については専門性が非常に高いため、このブログでは厚生労働省等で公表されている情報や解説記事の紹介に留めたいと思います。
新型コロナウイルスのワクチンは特例の接種
新型コロナウイルスのワクチンについては、12月2日に参院本会議で全会一致で可決、成立した「予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案」において、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種に関する特例」として取り扱われています。どのように特例かという要点を下記にまとめました。
- 厚生労働大臣の指示のもと、都道府県の協力により、市町村において予防接種を実施する。
- 市町村が支弁する費用は、国が負担する。自己負担なし(無料)です。
- 対象者には接種勧奨が行われ、対象者は接種を受ける努力義務が生じる。義務ではないですが任意でもなく、受ける努力をしろということです(曖昧ですが、これが日本の感染対策です)。
健康被害や副反応への対応は以下です。ここはまた別途。
- 予防接種により健康被害が生じた場合の救済措置や副反応疑い報告等については、予防接種法の現行の規定を適用する。
- 予防接種(製品)の有効性及び安全性に疑義がある場合は、政令によって接種の勧奨及び接種の努力義務を適用しない。
厚生労働省の【新型コロナワクチンに関する自治体向け通知・事務連絡等)】の資料を見ると厚生労働省は昨年10月からワクチン接種体制の構築に本腰を入れていることがわかります。
ただワクチン頼みでも感染対策はうまくいかない。ワクチンのみで流行を抑えるのは難しいので、マスク着用、手洗い/手指消毒、ソーシャル・ディスタンス、ノーマスクでの会話(会食等)による飛沫の回避、三密の回避を徹底しつつ、ワクチンを積極的に受けることになるでしょう。
新型コロナウイルスワクチン接種担当大臣
ワクチン接種体制の構築に関して、1月18日に新型コロナウイルスワクチン接種担当大臣が新設され、河野太郎行政改革担当大臣が任命されました。ワクチン接種に関する総合調整を担当するそうです。
コロナのワクチンのロジを担当します。ワクチンや注射する医師は厚労省、冷蔵庫は経産省、物流は国交省、使った針などは環境省、学校を使えば文科省、自治体の関係は総務省、予算は財務省等々と調整して進めます。私はロジを担当し、政策については引き続き、田村大臣、西村大臣が担当します。
— 河野太郎 (@konotarogomame) January 19, 2021
早速1月22日、首相官邸ホームページに新型コロナウイルスワクチンの特設サイトが設けられ、Twitterに専用アカウント(@kantei_vaccine)もできました。
- 首相官邸 新型コロナウイルスワクチンの特設サイト
- 厚生労働省 新型コロナワクチンについて
河野大臣は、緊急事態宣言発出の頃、テレワーク始めますと呟いていて、そんな気配なかったけど、きっといきなり任命されたんだろうなとか思いつつニュースを見ておりました。豪腕が期待されます。おやすみも取りつつ。
ワクチンの対象者
ワクチンの対象者は、厚生労働大臣が指定することになっています。
- 対象者は、原則、居住地において接種を受ける。
- 接種を受ける日に、住民基本台帳に記録されている者を対象として行う
- [例外規定]やむを得ない事情による場合には、住民票所在地以外で接種を受けることができる。
- 薬事承認において接種の適応とならない者は接種の対象から除外される。
ワクチンの接種順位
ワクチンの接種順位が国によって決められています。まず医療従事者、それから感染や重症化のハイリスク層(高齢者や基礎疾患を有する者)です。
ワクチンの接種順位については、医療提供体制の確保等のため、まずは医療従事者等への接種、次に重症化リスクの大きさ等を踏まえ、高齢者、その次に高齢者以外で基礎疾患を有する者、高齢者施設等の従事者に接種することを検討中で、今後速やかに決定します。(1/2)
— 首相官邸(新型コロナワクチン情報) (@kantei_vaccine) January 23, 2021
出典:新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に係る手引き
スケジュールのイメージ
スケジュールは、現在、各自治体で策定中で、あくまでイメージだそうです。ワクチンは2回接種が必要なので、一回りに年内いっぱい、来年前半くらいかかる気がします。
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出典:第2回新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業に関する自治体向け説明会 資料
新型コロナワクチンの種類、有効性と安全性
ワクチンは、いくつかのメーカーが製造していますが、政府が確保する予定なのは、ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社のものです。この三社のものは、すでに海外で接種が始まっています。いずれも新しい方法が使われたワクチンですが、想定以上に有効性が高く、副反応報告も重篤なものがない(1/27時点)。ワクチン接種による発症予防(ひいては感染予防)や重症化予防効果が見込めると専門家の期待が高まっています。
ワクチンについて詳しいことは忽那先生の記事を参照。
今回のワクチンでは、新型コロナで重症化リスクが高いとされている、高齢者、基礎疾患のある人で効果があるかどうかは非常に重要なポイントですが、ファイザー/ビオンテック社のワクチンは「65歳以上のワクチン有効率94.7%」、モデルナ社のワクチンは「重症化リスク群のワクチン有効率90.9%、65歳以上のワクチン有効率86.4%」と発表されており、重症化リスクの高い人でもぱねえ効果が期待できそうです。
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効果は? 安全性は? 新型コロナワクチンについて知っておきたいこと Q&Aで医師が解説 感染症専門医:忽那賢志先生 – Y!ニュース
それから”手を洗う救急医Takaこと木下喬弘先生のInstagram(@tk_emergency_med)での解説を載せておきます。Taka先生の主SNSはTwitter(@mph_for_doctors)です。
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国内で供給されるワクチンの種類
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出典:第1回新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業に関する自治体向け説明会(資料)
本日(1月22日)、新型コロナウイルス感染症対策本部が開催されました。
ワクチン供給については、米国モデルナ社ワクチン5000万回分、英国アストラゼネカ社ワクチン1億2000万回分、米国ファイザー社ワクチン1億4400万回分の合計3億1400万回分の供給を受けることについて、契約締結に至っています。(1/2)— 首相官邸(新型コロナワクチン情報) (@kantei_vaccine) January 22, 2021
ワクチンの種類は、ファイザー社製とモデルナ社製がmRNAワクチン(メッセンジャーRNAワクチン)、アストラゼネカ社製がウイルスベクターワクチンです。
ちなみに私はこの三社のワクチン接種の順番が回ってきたら、速攻受けます。
国内では塩野義製薬などが国産ワクチンを開発中ですが、まだ臨床試験中。
ロシア製の新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」や中国の科興控股生物技術(シノバック)の新型コロナウイルスワクチンは詳細不明。国内で接種する機会はほとんどないようです。
- 日経ビジュアルデータ【新型コロナウイルスの開発中のワクチンの動きと課題】
とりあえず「ワクチンについて調べてみました」ブログでした。以上