[diary] [Stage] COVID-19パンデミック雑記(21)劇場の舞台クラスター【4】終

8月4日東京宝塚劇場 「Love Ray ズン」420円(税込み)も頂きましたよ。

宙組梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演『壮麗帝』千秋楽おめでとうございます。5日間8公演と当初より回数減の公演でしたが、それでも完走することの困難さを感じる今日この頃です。桜木みなと様、DC公演初主演おめでとうございました!!

それから星組。

  • 星組東京宝塚劇場公演公演再開について | 宝塚歌劇公式ホームページ https://kageki.hankyu.co.jp/news/20200806_1.html
  • 保健所の調査に協力し、ご指導を仰ぎながら、必要な措置を実施の上、公演再開の準備が整いましたので、8月21日(金)より、公演を再開いたします。

公園再開決定おめでとうございます。どうか9月20日(日)の千秋楽まで大過なく完走できますよう。毎日暑いので水分と塩分補給をして熱中症に気をつけて、前に進んでくださいね。


新宿の劇場で発生したクラスターの事実経緯報告書

新宿シアターモリエールにて上演されていた舞台『THE★JINRO ―イケメン人狼アイドルは誰だ!!』において新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の集団感染(クラスター)が発生した件(7月)について、7月27日に主催の株式会社ライズコミュニケーションから、事実経緯報告書が公開されました。

続いて8月3日に公益社団法人 全国公立文化施設協会事務局より「東京都新宿区の民間劇場における新型コロナウィルスクラスターの発生に関する見解について」が公表されています。 


雑感1

現在、公演中の劇場においてはどこも厳重な感染拡大対策をしています(過剰と思える部分もありますが)。入り口で体温測定と手指消毒、靴底消毒があるところもあります。施設内の清掃と消毒、係員はマスクとフェイスシールド装備、観客もマスク着用です。物販を縮小し、通販を推奨。電子チケット推奨。紙チケットはセルフでもぎる。舞台と客席は2mの距離を取る、最前列はフェースシールド着用、座席は千鳥格子で1席空け、換気の増強、観客の緊急連絡先の登録、ブランケットやオペラグラスの貸し出し中止、間隔を開けての規制退場、差し入れ・入出待ちの禁止などなど。

これらは劇場にウイルスを持ち込ませないための対応であり、観客の感染リスクを低減する取り組みです。

事実経緯報告書を読んでいて記載がなかったのは、観覧者で陽性報告があった方達の、座席位置(前方席か否か)、観劇回数、物販を利用したか、禁止されている出待ちをしたか、などの情報です。陽性反応があった方達の観劇時の行動の重なりをチェックしていくと、発生のハイリスク要因が浮き上がると考えますが、保健所が調査されているのでしょう。

公文協事務局の見解(PDF)を読むと、発生要因とされている複数事項の詳細は把握できます。「飛沫感染対策に万全を期すことがより一層求められる」ということで結論づけられています。

閉鎖された空間で出演者が大声を出し歌うという状況では、まずビル管理法基準の必要換気量(一人あたり毎時30m3)が確保されているか。感染者が出演者に複数いる場合は、ビル管理法基準の必要換気量(一人あたり毎時30m3)が確保されていても、換気が追いつかず、マイクロ飛沫(エアロゾル)からの感染が起きるということがあるかもしれない。このあたりは判らないことだらけですが、換気設備を整備することは推奨されます。それから、とにかく出演者とスタッフ関係者のリスク管理、健康管理が大事ですね。

下北沢の本多劇場でのDISTANCE感染対策と感染症の専門医によるアドバイスも参考に。

 


雑感2

劇場では、舞台上の出演者とスタッフ関係者の健康管理が重要だと思っています。出演者とスタッフ関係者内部で感染が拡大すれば、観客席に漏れます。観客は体調不良時は観劇を避ける。

出演者とスタッフ関係者諸氏は、感染ハイリスク行動を制限する、常日頃の健康状態を自己チェックし、体調不良の場合は休養して様子を見るという対応が重要になってくるでしょう。これはCOVID-19以外の病気でも大事なことです。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の潜伏期間は最長14日。感染性があるのが潜伏期間から発症日の2日前くらいからピーク、発症後10日間というのが、現在の知見です。退院基準も「発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快から72時間経過した場合に退院可能」となっています。

PCR検査はウイルスの遺伝子を調べる検査ですが、残骸にも反応するため、陽性という結果でも感染性があるとは限らないのです。SNSでは、保健所から症状があれば検査しますと言われたというツイートをみかけますが、偽陽性(陰性なのに間違って陽性と判定される)を可能な限り減らすため、症状のある人のほうが検査の優先順位は高くなります。

検査については、分科会による検査体制の基本的な考え・戦略を提言(7/16)の方向性がいいと思っているのですが、感染が拡大しているフェーズでは、「無症状者であっても、濃厚接触者には検査を実施する」という部分の「濃厚接触者」の範囲を広げざるを得ないかなと思ってますね。具体的には、接触通知アプリCOCOAから「陽性者との接触」を通知された場合は濃厚接触者として検査と自宅待機の対象になる、というふうに。

話がずれた。公演前やお稽古入りの前に出演者等がPCR検査を受検するという流れがありますが、まず日常の感染予防を実行する。それから健康管理。業務の一環としてPCR検査が求められているとしたら、感染が拡大しているフェーズではやむを得ない処置なのかもしれません。ただしPCR検査の結果は検査当日の状態です。検査翌日に感染することもあるし、結果が間違っている場合もあるという前提です。


 

神奈川県の「新型コロナウイルス感染症 ⾃宅・宿泊療養のしおり(2020/06/15第6版)」の図が判りやすかったのでお借りしました。15ページ
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/60973/leafret.pdf

抗体検査は過去の感染を調べる検査

公文協事務局の見解に記載されていないのが、「抗体検査」についてです。今、感染しているか、感染性がある(他人にうつす)かを調べるのは、PCR検査と抗原検査です。

本事例では、7月4日に出演者の1人から発熱の報告があったが、「抗体検査の実施の結果、陰性であったこと」と「検温の結果が36.7度であり、ガイドラインの規定(37.5度)の範囲内であった」ことから、7月5日に出演したとされています。

この「抗体検査の実施の結果、陰性」という件はNHKニュースや民法のワイドショーでも取り上げられ、「検査時点で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染しているか、他人にうつす(伝播させる)おそれがある状態かを調べる検査はPCR検査または抗原検査であり、抗体検査は過去に感染していたかを調べる」と臨床医の方々が指摘されていました。

文化庁の「文化芸術活動の継続支援事業」で公演等を行う際に出演者等に行う検査経費として、PCR検査とともに抗体検査も対象になっていたということですが、2020年(令和2年)7月15日に、募集案内が訂正されています。

「この点,「PCR検査・抗体検査費」の記載については,抗体検査があたかもPCR検査と同様,現在の感染の有無を診断できる検査であるという誤認を与えるおそれがありましたことから,その点お詫び申し上げるとともに,…」

抗体検査の誤解相次ぐ:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62149550R30C20A7TJM000/