[Zuka] 星組『ロックオペラモーツァルト』(3)その男モーツアルト

星組新・トップコンビ、プレお披露目公演『ロックオペラモーツァルト』千秋楽おめでとうございます。

昨日のライブビューイングがMY楽でした。
梅田芸術劇場での初見から全体の進化が著しかったです。

礼真琴・舞空瞳コンビの星組には期待しかないのですが、トップスター礼真琴に望むことがあるとしたら、自らの課題と向き合いつつも、周りを見て組子を育てて包容力のあるトップスターになって欲しいということです。私の知っている星組の元トップスターは、柚希礼音も北翔海莉も紅ゆずるも、そうやって組を育てて、次世代に引き継いで卒業していきました。組替組も含め、他組のよさも取り入れた新星・星組を期待しています。

舞空ちゃんは主席入学の優等生で弱音を吐きにくい立場と思いますが、宝塚舞踊会でめちゃめちゃ緊張していて、あらって思ったこともあり、万里柚美組長始め、星組の上級生の娘役さん達に学んで、Go Beyond the Limit!!の礼真琴についていってください。

ひゅー!!新星星組も楽しみです!!

その男サリエリ

幕が上がって、コンスタンツェ・ウェーバー(舞空瞳)とアロイジア・ウェーバー(小桜ほのか)が左右に立ち、センターのアントニオ・サリエリ(凪七瑠海)が、その男モーツアルト ”Penser I’m possible” を歌い出す。

なぜ音楽の神は彼を選んだのか、なぜ私ではなかったのか。嫉妬や羨望よりも先に、こぼれ出る苦しみや悲しみ。音楽に人生をかけて来たのは私も同じはずなのに。

初見から最も進化が激しかったのがサリエリでした。

本作は潤色で、特にサリエリはオリジナルよりセリフや場面が増えてウェイトが大きくなり役どころが変化して石田流による人物像になっています。サリエリの性格や行動が繋ぎ合わせで人としての全体感が乏しいために、役作りが難しいんじゃと思ったのですが、凪七が細やかに丁寧に演じていて、深みのある重々しい歌声に涙がこぼれました。

※キャストに役の解釈を委ねるのが石田流で、Now On Stage等によると演出補の生田先生が解釈を手伝ってくれている模様ですね!!

生き急ぐアマデウス

劇中の時の流れがハイスピードに感じられるのは、礼真琴のモーツァルトが全力で踊り、休む間もなく声を響かせ、ハイスピードで生きているから、なのか。

生き急ぐ、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。

礼真琴のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、音楽に対して、野生の狼のように貪欲で、幼子のように純真で、己の欲するものに真摯だった。

神聖ローマ帝国のザルツブルクの宮廷音楽家レオポルト・モーツァルト(悠真倫)は、息子ヴォルフガングの音楽修業の旅のために、コロレド大司教(輝咲玲央)に休暇を願い出る。だが使用人の勝手気ままを好まないコロレド大司教は、宮廷音楽家にそんな休暇は不要と、ヴォルフガングにクビを言い渡す。

司祭杖を左手に持つコロレド大司教と、貴族の白髪巻毛のカツラを被った3人の大臣たち(天希ほまれ、湊璃飛、希沙薫)の前に、赤地に黒の文様の入ったロングジャケットと黒のベスト、黒のパンツで颯爽と登場したヴォルフガング。

彼は宮廷音楽家の座を歯牙にもかけず、道を開けろ僕が通る,”Place, je passe”と沸き立つ心を歌い、気炎を上げる。

新しい風景、新たな出会い、新しい音楽、自由。

それらを思うと、居ても立っても居られない。

礼真琴の声がフレンチロックのポップなサウンドに乗って響き渡る。

高揚する。期待感が高まる。

そして21歳のヴォルフガングは、父レオポルド(悠真倫)と姉ナンネール(桜庭舞)と別れ、母アンナ・マリア(万里柚美)を伴って音楽と出会いの旅に出た。

マンハイムに着いたヴォルフガングとアンナ・マリアは、安酒場で音楽修業中のフランツ・ジュースマイヤ(極美慎)やコンスタンツェ・ウェーバー(舞空瞳)と知り合う。

コンスタンツェの父フリードリン(漣レイラ)にウェーバー家に招かれた二人は、フリードリンと母セシリア(音波みのり)から次女のアロイジア(小桜ほのか)の歌の指導を乞われる。アロイジアはオランジュ皇妃(白妙なつ)の前で歌を披露することになっているのだ。

豪奢な星の散りばめられた髪飾りを付け青いドレスを着て、”Bim Bam Boum”と歌いながら、登場したアロイジア。

「私は月なの。自分では輝けない。誰か照らして。私を愛して」

歌詞がちょっと安直なわかりやすい石田節!

高名なマエストロであるモーツアルトを誘惑しにかかるアロイジア。

アロイジアの歌声に感動したヴォルフガングは、アロイジアに指導とアリアを作曲することを約束する。恋は駆け引き、損得勘定。オペラ座の歌姫になってウェーバー家の稼ぎ頭になる期待を負うアロイジアはソツなく計算高い、美しきしっかり者。

安酒場で助けてくれたヴォルフガングという一人の男性に恋したコンスタンツェは面白くないが、自分には音楽の才能はないと、場所を開けざるを得ない。

長女のヨーゼファー(音咲いつき)とゾフィー(星蘭ひとみ)が見守る中、アロイジアとコンスタンツェが、ヴォルフガングを争って睨み合う。

恋の勝者の笑みを浮かべるアロイジアと年若く駄々っ子的な顔をみせるコンスタンツェ。

この場面が、女同士の絶好の見せ場になっていて、見る側も楽しい。ほのかちゃんと舞空ちゃんが相談して楽しんで作ったんだろうと思います。アロイジアがコミカルの方ではなく、美しい方に行ってくれてよかったです。ほのかちゃんも演技派に育ちつつある。

オランジュ皇妃(白妙なつ)の前で、歌を献上したヴォルフガングとアロイジアはオペラ座監督と歌姫に推薦されることになる。しかし喜んだの束の間、ヴォルフガングは父レオポルドからの手紙で、マンハイムを去り、パリに向かう。

アロイジアに夢中で仕事探しがままならないヴォルフガングを母が心配し、父が怒ったのだ。

アロイジアとの別れ。

パリでの仕事探しはままならず、失意のうちに母アンナ・マリアが亡くなる。

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万里柚美のアンナ・マリアは上品でお美しく。黒髪のカツラに緑がかった髪が混ぜてあって、黒系のお衣装にとてもあっていました。センスの良さを感じる。

続くらしい。