[Zuka] 星組『ロックオペラモーツァルト』(2)石田流とは

フレンチ・ミュージカル
『ロックオペラ モーツァルト』

The Musical ≪Mozart, l’opera rock≫
Produced by WAM PRODUCTIONS
International Licensing & Booking, G.L.O, Guillaume Lagorce, info@glorganisation.com
潤色・演出/石田 昌也

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星組版『ロックオペラモーツァルト』に見る石田流

フランス語は全くわからないのですが、仏オリジナル版(2010)の映像や音楽を聞いています。仏オリジナル版は歌とダンスをメインにストーリーを進めていき、物語を創り上げるほどのエピソードはない。そのため星組版は説明係が設けられ、セリフが増え芝居場面が増えました。

石田先生の作品でおなじみの説明係とは、大劇場なら銀橋を渡りながら、状況や人間関係の説明をする役割の人たちです。本作ではジュースマイヤ(極美慎)とパブの店員女1(華雪りら)、パブの店員2(桜里まお)、パブの店員3(二條華)のことですね。私は説明係を見ると「あ、石田節(石田流でも可)」って思うんですが、説明係は自然さを出すのが難しい。今回も説明係の説明調のセリフをキワミシンやりらちゃん・まおちゃん・はなちゃんが噂話に興じるさりげなさを出そうと苦心していました(カワイコちゃん揃いなのでキワミシンが嬉しそうなのが何よりです)。

サリエリの弟子で、モーツアルトとも親しかった音楽家ジュースマイヤは、他の場面でもウィーン国立劇場支配人のローゼンベルグ(紫藤りゅう)や脚本家のダ・ポンテ(彩葉玲央)と一緒に、説明係をやっていますが、ジュースマイヤは仏オリジナル版では登場していないので、星組版で芝居要員として増やされたのでしょう。モーツァルトとサリエリの双方と親交を持つジュースマイヤが狂言回し的な役目かと思うと、そこまでには至らず、キワミシンのスター性で見せる説明係で終わってしまうのが残念なところです。キワミシンは自信を持ってジュースマイヤとして舞台にいてくださいね。

ウィーン国立劇場支配人のローゼンベルグ(紫藤りゅう)や脚本家のダ・ポンテ(彩葉玲央)はオリジナル版より出番が増え、ビジュアルも性格付けも変わってます。2019年12月23日付で宙組へ組替え予定の紫藤りゅうが演技巧者ぶりを発揮。狂言回し的役割を担い、コミカルに政治臭が強く権威に弱い劇場支配人役を演じています。オリジナル版だとただ笑い者にされるだけの役を儲け役にしちゃったね。宙組でもキラッとスマイル紫藤りゅう、輝いてください。

オペラ『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ(ドン・ジュアン)』『コジ・ファン・トゥッテ』を書いた脚本家のダ・ポンテ(彩葉玲央)もセリフが増えて登場場面が増え、音楽家と組む脚本家の誇りや権力者に対するスタンスを示してほしい役になっています。