[Zuka] 星組バウ『龍の宮物語』(1)

指田珠子氏のバウホール・デビュー作で、瀬央ゆりあ2度めの単独主演公演となった音楽奇譚『龍の宮物語』。夜叉ヶ池の伝説と浦島太郎伝説に着想を得た、幽玄の異世界譚。繊細に織り上げられた珠玉の物語を星組30名が舞台上に具現化。

ストーリーの流れ、感情の流れがシンプルで齟齬がなく、物語を創る設定と世界観ががっちり構築されているために、キャストが動きやすそうに見えます。舞台が開幕してすぐに、指田先生が傾倒する伝説に着想を得て世界観を丁寧に構築し、細部まで脚本を練られたのであろうと、判りました。

2度めの単独主演となる瀬央ゆりあと、ヒロイン有沙瞳の二人に、天寿光希、天華えまという新・星組の柱となるメンバーが頼もしかったです。一番、お上手だったのは美稀千種副組長でしたけれどね!

指田先生、宝塚バウホールデビュー、おめでとうございます。

第一幕の第一場序奏は伏線なので、見逃すなということで(2)に続こうかな。
12/3(火)14時30分公演観劇。

龍の宮物語ポスター

夜叉ケ池伝説は泉鏡花の戯曲でも取り上げられており、その泉鏡花の『夜叉ヶ池』を漫画化したのが波津彬子。→『波津彬子選集 1 鏡花夢幻』ソノラマプラス [公式ためし読み]

本作で、池の底に住む異形たちが、妙に明るくちぐはぐなテンションとふとしたきっかけで魔物の顔になるとこまで、波津彬子の描く異形たちのイメージに近しくて、指田先生GJ!と思いました。