[Zuka] 星組『ロックオペラモーツァルト』(1)

フレンチ・ミュージカル
『ロックオペラ モーツァルト』

The Musical ≪Mozart, l’opera rock≫
Produced by WAM PRODUCTIONS
International Licensing & Booking, G.L.O, Guillaume Lagorce, info@glorganisation.com
潤色・演出/石田 昌也

礼真琴様、舞空瞳様。星組新トップコンビお披露目おめでとうございます!!

プレお披露目公演は、ドーヴ・アチア氏の脚本・作詞・作曲のフレンチ・ミュージカル『ロックオペラ モーツァルト』。宝塚版の潤色・演出は石田昌也先生。

この組み合わせは、珠城りょうのトップスター・プレお披露目公演『アーサー王伝説』(2016年、月組)と同じですね。

11月23日(土)16時30分公演と26日(火)16時30分公演(e+貸切)を観劇しました。『1789』好きとしてはアチア氏の作品を見れるのは嬉しい。

ロックオペラ モーツァルト@梅芸メインホール
ロックオペラ モーツァルト@梅芸メインホール

宝塚歌劇ではドーヴ・アチア氏の作品は、『太陽王~ル・ロワ・ソレイユ~』(2014年、星組)、『1789 -バスティーユの恋人たち-(2015年、月組)、『アーサー王伝説』(2016年、月組)の3本を上演しています。また『CASANOVA』(2019年、花組)はアチア氏の楽曲提供。大作揃いだなぁ。

主役は礼真琴演じるヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。天才音楽家として知られているモーツァルトですが、実は奇人変人と紙一重だったんだよと描いた映画『アマデウス』(1985)が国内でも大ヒットして、35歳10か月の短い人生も有名になりました。そしてミュージカル『モーツァルト!』(1999年ウィーン初演、2002年日本初演)の大成功。

『ロックオペラモーツァルト』は2009年9月にパリで初演され、日本では2013年に山本耕史・中川晃教の役替り(モーツァルト/サリエリ)で上演されたそうです。モーツァルト主役の作品としては後発ですが、観劇後に仏オリジナルを見て、今回のお披露目公演にはちょうどよかったんだろうなぁと思いました。

なるほど琴ちゃんに歌って歌って歌って踊って踊らせたいわけですね。Go Beyond the Limit!!

歌って踊る礼真琴のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトを見ていると、礼真琴とモーツァルトが重なっていくの感じました。35年の短い人生で900曲以上の作品を創作した楽聖モーツァルト。アマデウスが礼真琴であり、礼真琴のヴォルフであったというのは褒め言葉なんでしょうか。とにかく礼真琴、入魂のモーツァルトでした。

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星組版『ロックオペラモーツァルト』はストーリーが潤色され、演出とお衣装を変えて宝塚向けに馴染みやすくしてあります。ミュージカル『モーツァルト!』に寄せてあるところもあり、日本国内でミュージカルを見る人向けに仕上げてあるようです。いつもの石田節も健在で、ベテランの心遣いを感じます。

オリジナルとは異なる大きな改変は、1幕の冒頭の、アントニオ・サリエリ(凪七瑠海)とコンスタンツェ・ウェーバー(舞空瞳)、アロイジア・ウェーバー(小桜ほのか)によるプロローグその1の導入。

サリエリはモーツァルトに対立した権力者として映画「アマデウス」で描かれましたが、『モーツァルト!』には登場せず、オリジナルでは2幕にしか出てこない。星組版では、このプロローグを導入することによって、オーストリア皇帝の宮廷楽長・サリエリとモーツァルトの人生を彩ったウェーバー姉妹を強く印象づけます。

サリエリは2幕でモーツァルトの音楽の才に妬んで嫌がらせをし、L’Assasymphonie(殺人交響曲/殺しのシンフォニー)を歌う音楽家です。「殺人交響曲/殺しのシンフォニー」という和訳がサリエリがモーツァルトを殺すという連想を抱きます。歌詞の和訳をいくつか見てみると、「殺意」「憎しみ」「暗殺」「虐殺」という言葉が並ぶ。けれど全体的に見ると、この歌は、サリエリが自分の才能のなさを憎み、呪っている歌だとわかる。星組版の凪七瑠海のサリエリは、仏版とは異なり、長い黒髪にスタイリッシュな黒のお衣装の闇の貴公子っぽい役柄なので、カチャ(凪七)が宝塚版のサリエリを創造しなければならない。初見と2回目ではどんどん進化していました。東京は中継の予定なのですが、どうなっているでしょうか。

たぶん(2)がある。

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個人的には『のだめカンタービレ』15巻のモーツァルトのお手紙エピソードが好きなんですよ。「ぼくはお尻のそこからほんとうによろこんでいます」お尻のそこ?どこ?って思う。