[OSK]『円卓の騎士』~剣と魔法の物語~

楊琳主演『円卓の騎士初日(12/21)14時30分公演を見てみました。『アーサー王伝説』を題材にした、荻田浩一オリジナル作品。おすすめです。

大阪公演は、12月27日(木)まで近鉄アート館にて。
東京公演は、2019年1月24日(木)~1月27日(日)まで銀座博品館劇場にて。

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OSK精鋭部隊とはいえ、13人(うち1人は特別専科の櫻子様)という少人数のためか、物語としてはコンパクトに「剣と魔法の物語」としてまとめてある。魔法使いや精霊、聖剣という概念が実在のものとして息づいていた時代の物語。

冒頭から森の精霊と風の精霊のダンスが始まり、ファンタジックな世界が展開されるのだが、楊琳のアーサーが聖剣を求める動機や聖剣を得てからの戦いへの苦悩が、リアリティを持って迫ってきて、引き込まれる。

魔術師マーリンはドルイドであるが、ドルイド・ドルイダスは祭祀であり、祖先の霊を祀るものである。マーリンが先祖伝来の土地を守り、魔法を信仰するブリトン人を結集し、異部族・異教徒の侵略者を駆逐して王国を作ろうと企むのが物語の始まりである。一族の最後のドルイドであるマーリンは見た目もよりも長く生きており、自分の生命が尽きる前に魔法の王国を作るという確固たる信念を持つ。マーリンが揺らぐと話が立ち行かなくなるのだが、演じる愛瀬光がブレない。

そのマーリンの指示のもとに動かされる人々は駒のように扱われ、揺れ動きながら、新たな王国を夢見て戦っている。

そこに現れたのが、キリスト教の精神を持って、異部族との和平と寛容を語り、平和を祈るグウィネヴィア(舞美りら)である。

キリスト教と古い神々、奇跡と魔法、和平と殲滅。

その間を探ろうとするアーサーとランスロット(翼和希)。

彼らを彩る、湖の乙女(ドルイダス)イグレイン(朝香櫻子と魔女(ドルイダス)モルガン・ル・フェイ(城月れい

そして生まれたもの・モードレッド(実花もも)。

登場人物たちのそれぞれの思考の流れが明瞭でわかりやすく、人間味が溢れた物語です。さすがオギー作。

歌で語り、踊りで語る、OSK精鋭部隊の技術力の高さには感嘆します。こんな良質な作品を積み重ねて行ってほしいです。

(あらすじ)

時は5世紀の末から6世紀初頭。

ローマ帝国は属州であったブリタニア(ブリテン島)を放棄する。ブリテン島は様々な民族がひしめきあい、群雄割拠の時代。少国家が林立し、混乱の中にあった。

ドゥムノニア国のアーサー王(楊琳)は先王の遺児だが世継ではなく、魔術師・マーリンによって育てられた。そのためアーサーは王としての証をもとめて森の奥深くに聖剣エクスカリバーを探しに入る。

森で出会ったのは聖剣エクスカリバーを守護する湖の乙女(朝香櫻子

アーサーは彼女に聖剣エクスカリバーを授けられ、石に刺さるエクスカリバーを抜いて持ち帰る。

これは魔術師マーリン(愛瀬光)の計画であった。マーリンはアーサー王に侵略者サクソン人を撃退させ、祖先から住まうブリテン島を守り、一族が復権することを悲願としていた。

湖の乙女は魔術師(ドルイド)マーリンの弟子、魔女(ドルイダス)イグレインであり、先王ウーゼルの妻でアーサーの母であった。イグレインは幼子のアーサーをマーリンに取り上げられ、ウーゼルの元を去って、森のなかの湖で暮らしていたのだ。

王位を継いたアーサーはマーリンに導かれるままに聖剣エクスカリバーを求め、サクソン人との激しい戦争を開始した。

マーリンは、アーサーと共に育てた魔女(ドルイダス)モルガン・ル・フェイ(城月れい)に、アーサーと結婚し、王子を生むように命じる。モルガンはマーリンに命じらるままにアーサーの居城キャメロットに出向くが、モルガンを姉と慕うアーサーは、彼女との婚姻を受け入れない。

そこに隣国コーンウォール王からの使者として現れたのが王女グウィネヴィア(舞美りら)である。拡大する戦争、血を血で洗う争いに苦悩を感じていたアーサーは、グウィネヴィアの勝ち気な明るさに惹かれる。

だが隣国コーンウォールは魔法を捨て、異教の神を受け入れた国であり、マーリンは強く警戒する。

グウィネヴィアは十字架をアーサーに見せ、クルスをよすがに平和を願うと話す。マーリンから侵略者を殲滅し、ブリトン人の王国を作る夢を託されていたアーサーに平和という言葉が響く。

アーサーは王妃としてグウィネヴィアを迎え、モルガン・ル・フェイは失望してキャメロットを去る。

マーリンに、湖の乙女が育てた若者、聖剣アーロンダイトを所持する騎士ランスロット(翼和希)に引き合わされたアーサーは、王妃グウィネヴィアの進言もあり、国を支え理想を語り合う場として円卓を据え、騎士たちを友として円卓の騎士を任じる。円卓の第一の騎士はランスロット。

アーサー王伝説の始まりである。

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【公演名】円卓の騎士

【主催】株式会社OSK日本歌劇団

【協賛】牛乳石鹼共進社株式会社
【後援】大阪市 大阪商工会議所 公益財団法人関西大阪二十一世紀協会
【作・演出】荻田浩一

【出演者】
アーサー王:楊 琳
王妃グウィネヴィア:舞美りら
ドルイド・マーリン:愛瀬光
騎士ランスロット:翼和希
ドルイダス・モルガン・ル・フェイ:城月れい
風の精・シルフィード:麗羅リコ
モードレッド:実花もも

壱弥ゆう・椿りょう・雅晴日・凜華あい・純果こころ

湖の乙女イグレイン:朝香櫻子(特別専科)

<大阪公演>近鉄アート館(あべのハルカス近鉄本店ウイング館8階)