[OSK] 『レビュー春/夏のおどり』(1)

OSK日本歌劇団『レビュー春のおどり』『レビュー夏のおどり』。

今年は、トップスター高世麻央(たかせ まお)さんの退団公演でした。

【公演名】レビュー春のおどり
【場 所】大阪松竹座
【公演期間】5月19日(土)~27日(日)

【公演名】レビュー夏のおどり
【場 所】新橋演舞場
【公演期間】2018年7月5日(木) ~9日(月)

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『春のおどり』を大阪松竹座で観劇した(5/20)のですが、日程が星組公演遠征と調整できたので、『夏のおどり』も観劇することになり、七夕の7月7日(土)に新橋演舞場に行ってきました。新橋演舞場に行くのは初めてでしたが、東宝宝塚劇場の最寄り駅である日比谷駅から近くて、東京メトロ日比谷線に乗り、東銀座駅で降りて徒歩5分。星組11時公演(会総見)→『夏のおどり』16時半。

『春のおどり』は昨年も観劇した記憶(書いてない)があるのですが、OSK恒例になっている様子で、2019年も新橋演舞場(3月)・大阪松竹座(4月)で開催されることが決まっています。

新橋演舞場

高世麻央さんは1996年OSKに入団、2014年にトップスターに就任。2003年のOSK存続危機の際には「OSK存続の会」の一員として新生OSKの立ち上げに貢献された方。本公演はOSKでこれまで上演された名場面を中心に構成され、高世さんの在団22年の集大成であり、後進にOSKで得たものを伝えていきたいという思いのこもったものでした。

『夏のおどり』は『春のおどり』をブラッシュアップさせたもので構成は基本的には変わりません。新橋演舞場のほうが松竹座より舞台が広いので、花道が少なかったのかな。第一部は和ものを中心にしたショー、第二部は洋ものを中心にしたショーです。OSKレビューの出色は和物も洋物も見事な群舞だと思う。

<第一部>  桜ごよみ 夢草紙  (西川箕乃助 構成・演出・振付)
<第二部>  One Step to Tomorrow!  (名倉加代子 作・演出・振付)

満開の桜を背景に始まる第一部オープニング。音楽:松岳一輝、振付:山村友五郎。星組『ANOTHER WORLD』の第一場さくら夢幻も振付は山村友五郎先生で、春から夏まで桜を見続けている気分になっている(個人的事情(^_^;)。

平安の公達や女房達が勢揃いしてチョンパで始まる。「夢草紙」の歌詞がとても素敵だった。まさしく退団ソングなのだけれど、OSKの歴史を少しでも知ると感じるものがありますね。

辛くて泣いても いつも誰かが寄り添い支えてくれた。その絆 この縁 忘れはしない ありがとう
(作詞:西川箕乃助、りく.作曲:松岳一輝)

OSK公演を観ると、「歌劇」という芸道を追求する、宝塚とは違うストイックさを感じます。スターの皆さんも宝塚よりもちょっと古式ゆかしい(奥ゆかしさとか、芸に対する上品さ純心さとか)感じがするんですが、その良さがとても活かされた和物ショーでした。高世さんが楊貴妃や光源氏を演じるのが、鼻筋の通ったお顔立ちに良く似合う。ほかは歌舞伎の演目から「鏡の夢」「釣女」「蝶の道行」。民謡メドレー「浪速小唄」「金比羅船船」「佐渡おけさ」「ちゃっきり節」「お江戸日本橋」。

「鏡の夢」:音楽:中村昌、振付:山村友五郎

若衆S(高世麻央)の踊りを、三面鏡の中にいる若衆(楊 琳、真麻 里都、愛瀬 光)があたかも鏡に映っているかのように踊る、というもの。三面鏡を模したセットに、若衆が一面一人ずつ立っているのですが、本気で巨大鏡かと見まがわんばかりに若衆Sに同調して踊る。同調と言っても、鏡に映るのは左右対称だったり、背中合わせだったり、角度で映りも変わるので、完全に同調しているわけでもない。どうやって合わせるのか不思議なくらいで見応えありました。月組の『宝塚をどり』(2014年)でも同じような場面があったけれど、あれも好きだった。

「釣女」:音楽:松岳一輝、振付:西川箕乃助

能狂言由来の歌舞伎舞踊らしく、コミカルで楽しい演目です。大名(虹架 路万)は妻を得ようと太郎冠者(桐生麻耶)を伴って戎神社に参詣し、釣り竿を授かる。大名は美しい上﨟(朝香櫻子)が釣れたが、太郎冠者の糸には醜女(緋波亜紀)がかかって大慌て。 逃げる太郎冠者を追いかける醜女でありました。

桐生さんがべらぼうに上手い。粗忽者っぽい太郎冠者を滑稽に演じていました。大名の虹架さんは青天でしたが、美形は何を被っても美形。朝香櫻子さんも所作が美しい。醜女は白塗りに赤く丸く塗った頬、いわゆるお多福で特別専科の緋波亜紀さん。短い場面でしたが、演技力がいる。アクセントに挿入されている気がするけれど、構成全体がしまった気がしますね。

「蝶の道行」:音楽:麻 吉文、振付:西川箕乃助

これも歌舞伎舞踊からのひとつ。男(高世麻央)と女(舞美りら)と娘役8人による菜種の精の舞い。お家騒動に巻き込まれた恋人同士は主家の身代わりとなって死に、蝶となった2人の冥土の道行き。美しいけれど、狂乱というか物苦しい場面だなと思っていたら、後半は地獄の業火に焼かれる責め場だった(おう)。2列になった菜種の精達が扇子をお互いに投げ合うのも見せ場の一つ。

日舞ではお扇子技が大事!!ということらしい。

続く。

OSKもスターシステムを取っていますが、私はこれまでに数回しか観劇してないので、このポスターに載っているメンバーくらいしか判らないのですが、十分楽しめました。男役は高世麻央さん、桐生麻耶さん、楊 琳さん、真麻 里都さん。5番手?悠浦あやとさんが休演中で、虹架 路万さんと愛瀬 光さんでそのポジションを埋めていた。娘役は舞美りらさん、白藤麗華さん、朝香櫻子さん(特別専科)、城月れいさん[巴里のアメリカ人でリズ役だった]くらいしか判らないかな。

レビュー夏のおどり