本日は、花組『ポーの一族』大千秋楽でした。おめでとうございます(書く気はあるんですよちょっとイカry)。
そして雪組全国ツアー公演『誠の群像』『SUPER VOYAGER!』の梅芸千秋楽ですが、今更ながら『ひかりふる路』。
だいもん(望海風斗)ときーちゃん(真彩希帆)のお披露目公演でマクシミリアン・ロベスピエールを取り上げる意味を考えていた。ロベスピエールは、フランス革命を主導した革命家の一人であり、フランス国王ルイ16世の処刑を断行し、膨大な数の貴族、反革命派、対抗勢力などを粛正する恐怖政治を行い、史上初のテロリストと呼ばれた人物である。
宝塚歌劇のフランス革命を題材にした作品では、ロベスピエールが登場することが多いが、あくまで脇役であり、(史上初のテロリストは)主役には成り得ない、自分の中にそういう思い込みがあったらしく、演目が発表された時に衝撃を受けた。発表時は、星組『THE SCARLET PIMPERNEL』上演期間中で、かいちゃん(七海ひろき)の演じる冷酷なロベスピエールを見ていたせいもある。
__
舞台はタレーラン(夏美よう)と彼の愛人でジロンド派議員の女王と呼ばれるマノン・ロラン夫人(彩凪翔)の密談の場から始まる。囚われのルイ16世(叶ゆうり)の裁判の行方を懸念するロラン夫人に、タレーランはロベスピエールへの警戒を表す。ロベスピエールやサン=ジュスト(朝美絢)の意見によりルイ16世は処刑されるが、その代償としてイングランドを中心とした対仏連合国から宣戦布告を突きつけられ、戦争に突入する。
議会で開戦に反対するロベスピエールを見守るのは、酒場で出会った女性マリー・アンヌ(真彩希帆)であった。マリー・アンヌ。愛と憎しみを合わせ持ち、恐怖で人を戒める世界を拒否した女性。
戦争と徴兵、深刻な食料不足、内乱の勃発。ロベスピエール(望海風斗)はジロンド派と通じていたダントン(彩風咲奈)、彼を庇うデムーラン(沙央くらま)と仲違いをし、彼の理想の世界を信奉するサン=ジュスト(朝美絢)やル・バ(永久輝せあ)らと恐怖政治を断行していく。そんなロベスピエールをマリー・アンヌは拒否し、思い余って暗殺を試みるが、サン=ジュストに逮捕される。
そして1794年テルミドール9日の議会(第16場B熱月)。タレーランに扇動された議員達にロベスピエールは恐怖政治を糾弾され、逮捕される。騒然とする議会の中で望海にピンスポットが当たり、暗闇の中に一人で慟哭する姿は、彼が一人檀上で恐怖政治を宣言した時と重なって映った。
悄然と牢獄に連行されたロベスピエールは、そこでマリー・アンヌと再会し、愛を確認し合う。希望と喜びを取り戻して、ロベスピエールは自らの路へ向かう。望海のロベスピエールは、革命は正しく、革命は続いており、守らなければならないと信じ込もうとしていた。自分を決して許さない、高潔な革命家。
ちなみに新人公演で綾凰華が演じたロベスピエールは、革命は失敗し、潰れかけであり、その責任は自分にあると後悔を抱いて見えた。それは独裁と恐怖政治の緩和を要求したダントン、デムーラン達に親しい心理であろうと思う。辿り着く先は同じでもその辿り着き方の違いに驚いた。
初日間近の初見時は、だいもんの持ち歌が多く(しかも難曲ぞろい)、世界観が全体に馴染んでなくて、お芝居が楽曲と物語に引きずられて、勢いで押しまくっている。大作にありがちで大変だなぁという感想でしたが(ハッチさんとコマちゃんが上手くて、あーさが気炎を吐いていた)、その分、東宝千秋楽(ライブビューイング)は素晴らしい迫力でした。
これからのだいもんの演じる役は、『凱旋門』ボリス・モロゾフ、『ファントム』エリックまで決まっていますが、本格派ミュージカルから和物まで演じられる役者としての活躍を期待しております。
きーちゃんは、化粧も上達して、演技・歌唱力も公演毎に増していっていて、これからが楽しみです。東宝公演では喉を痛めちゃったみたいですが、だいもんとの歌い合いは本当に素晴らしいので、セイレーンのような歌声を大事にしてください。
咲ちゃん(彩風咲奈)は、だいもんと肩を並べる意気込みで、力を蓄えてください。お芝居は幅を広げられますように。ダントンは初見時はまだ弱っちかったです。
凪しょ(彩凪 翔)のお芝居は、だいもんの雪組の柱のひとつと思っているので、男役道を行ってください、と思っているけれど、ロラン夫人はとっても素敵でした。あとは歌かな。
お披露目公演おめでとうございました。全国ツアー、行ってらっしゃい!
__
本公演は、コマちゃん(沙央くらま)の退団公演でもありました。デムーランの歌う「友よ」には泣かされました。コマちゃんにしか出せない深みでした。ご卒業おめでとうございます。 第2の人生でも舞台で輝く姿を見せてくれることを願っています。→コマブロ
夢乃花舞ちゃんもご卒業おめでとうございます!!幸せと楽しさをありがとう。これからの人生にも幸多きことを。