[Zuka] 月組千秋楽『BADDY』(2)ヤツらの生態の謎

月組公演、千秋楽おめでとうございます。

月組の皆様、スタッフの皆様、おめでとうございました。お疲れ様でした。楽しい公演でした。東京公演までしばしの休養を。

まゆみさん(綾月 せり)
としちゃん(宇月 颯)
もっくん(貴澄 隼人)
わかばちゃん(早乙女 わかば)
ひかるくん(優 ひかる)
さつきちゃん(早桃 さつき)

ご卒業おめでとうございます。 幸せと楽しさをありがとう。これからの人生にも幸多きことを、お祈り申し上げます。みんな素敵な笑顔でした千秋楽。

_

[Zuka] 月組『BADDY-悪党は月からやって来る-』(1)

ずしゃん。足音を響かせて地球に降り立ったBADDY(珠城りょう)。サイズの合わない宇宙服をお召しです。未来のはずなのにクラシカルな宇宙服だな。

宇宙服の重さは、全部で約120kg。ぬーリアリティ。

宇宙服の歴史 デザインからみるNASA近代宇宙服の歴史と能力BIRD YARD

宇宙服に付いているヒモが引っ張られ(笑)、パカッと左右に開いた宇宙服の中からベルベット青紫スーツのBADDY登場。タバコが吸わないと酸欠になる勢いで、タバコを吸い出す!

「地球は全大陸禁煙です!!!!!!」
禁煙しなさい!!」
グッディ捜査官(愛希れいか)とポッキー捜査官(月城かなと)が声を張り上げる。ピーッピーッ

__

103年間は地球に帰ってきたことのないはずのBADDY達。いきなり帰還した25人(BADDYとスイートハート様、バッドボーイズとバッディーズを合わせて25人だった)。BADDYのお仲間はこれで全員?

月は彼ら以外の人達は住んでいるのだろうか。地球が住みづらい人達のコミュニティでもあるのだろうか。犯罪や悪というものは、秩序を破る、ルールを破る、法律を破る事で成立する。月にそんな社会的なものは成立しているのだろうか。

悪事を働くというのは、他人の財産や権利や名誉を侵害することだ。BADDY達だって我が身に悪事が降りかかるとか、同士討ちはしたくないだろうし、月で彼らはどう生きているんだろう。月はでかい悪事が出来る環境なのか。宇宙海賊で稼ぐとかそういう裏設定?それともBADDY達以外の悪党グループが存在して、対立構造があって決闘とかしてるのかな。

海辺のシーフード・レストラン”ブルーラグーン”でシャバを伸び伸びと満喫しているBADDYを見ていると少なくとも月には美味しいものや娯楽は少なさそうである(地球がシャバということは、やはり月は流刑地なのか)。

悪党達も案外、月では牧歌的に生きていたりするのかも。野菜を育てて人工タンパク質とか食べてんじゃないの。タバコだって、タバコの種から植えて育てて作ってるのかもよ。牧歌的で労働的な狭い暮らしに耐えられなくなって、忘れられたくなくて、100年に1回くらい、地球に来て暴れちゃうんじゃないの。

彼らにとってもピースフルプラネット”地球”は憧れの花園なんじゃないの。

BADDY生態への興味がつきない。
くーみんの頭脳の中には存在するんだと思う。

月で住むときに最大の問題になりそうなのはどのような点でしょうか? (月探査情報ステーション)

__

私はショーは素直に楽しんで、タカラジェンヌ達の身体能力や歌や表現に感嘆して、賛嘆の手拍子を打ちたい人なのかもしれない。『BADDY』でもそういう素直に感嘆している場面はあった。娘役の怒りのロケットや月での男役群舞だ。『BADDY』前半はかなり考察してしまった。それは私には芝居の思考パターンなのだ。

上田先生の初めてのショー作品『BADDY』。上田先生はレビューに憧れて宝塚歌劇の演出家を志したそうですが、初のショー作品には、やはり「芝居の上田久美子」という印象を強く持ちました。

本作はタカラヅカのショーの形式(プロローグ、中詰、ロケット、群舞、デュエットダンス、フィナーレ)にきちんと従っていて、上田先生の宝塚歌劇の座付き作家として積み上げられたショーの歴史への敬意を感じましたし、観客としてはタカラヅカのショーの定型の偉大さを感じました。

ショーだからこそ、磨ける表現があり、それを見て、ショーのすごさや素晴らしさを理解してきた、のが私です。芝居では役として踊るけれど、ショーでは個人としても役としても踊ることもできる。そんなフレキシブルさがショーの魅力。そしてダンス、歌、黒燕尾のスタイリッシュさ、ドレスの裾さばき、そろった群舞やロケットの優美さ、銀橋渡り、アクセサリーや帽子等の見せ方、決めポーズ、ウインクや目線もそれぞれが工夫を凝らしているところ。

『BADDY』は今の月組への当て書きで、キャストの多くが通し役で、設定があってストーリーがあり、セリフのある役を作らなければならない。芝居の表現力を磨くショー。そんな特徴的なショーだと思います。『BADDY』以後の上田ショー作品がどんな変化をしていくのか判りませんが、宝塚歌劇のレビュー91年の歴史に作られた数多のショーは多種多様であると思うし、その多様性はファンとして大事に思っているところです。大事にして頂きたいと思いました。

東京千秋楽まで進化を続けて行ってくれる事を願っています。