[Zuka] 2016年花組 宝塚舞踊詩 『雪華抄』

2016年を締めくくる花組公演。トップ娘役の花乃まりあ、かのちゃんの退団公演となる 和物ショー宝塚舞踊詩『雪華抄』とトラジェディ・アラベスク『金色の砂漠』 の2本立て。

ショーの全体感想。『雪華抄』(作・演出/原田 諒)は、春夏秋冬と花鳥風月を組み合せ、伝統的な日本舞踊に現代的なアレンジを加えたきらびやかで美しいショーだった。場面と場面のつなぎが流れるように自然体で構成されていて美しく、原田先生の演出のセンスが冴え渡る。丸山敬太氏が衣装デザイン・監修をしたお着物の数々は色使いが鮮やかだが、原色の組み合わせが少ないので柔らかさもある。

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舞台の両脇には紅梅の描かれた屏風が配置され、舞台中では葛飾北斎の『富嶽三十六景-神奈川沖浪裏』のダイナミックな波の動きや尾形光琳の『紅白梅図屏風』の水の流れをモチーフとする背景が中央に使われ、建物のような建造物がなく、開放感と爽快感があふれ、海と山と空が広がる。

七夕を過ごす江戸の若者と町娘の場面や中詰めの民謡の歌い継ぎにはその土地で生きる市井の人々への共感と敬意があり、そして、どの場面も「恋」がテーマの一つになっていてストーリー性がある。季節とともに、自然とともに、恋の楽しさ、切なさ、苦しみと激しさ、そして美しさを歌い上げ、生を生きる姿を描く。原田氏が作品に込めた演じるキャストと舞踊と歌への素直で細やかな敬愛が、丁寧な構成と演出に現れている。

オーケストラを使う和物ショーは音楽の解説がもっと欲しいなぁ。(作曲:玉麻尚一、作詞:原田諒)

初春にきりりと匂やかに咲く白梅紅梅をテーマにしたチョンパからの総踊り、

白雪の残る椿をバックに、雪かみぞれか、積もるたもとの恋の闇と舞う、一人舞う松本 悠里氏

絶壁の山々で鷹と鷲の戦い、

夏の澄んだ夜空にきらめく星々もとで七夕を過ごす江戸の若者と町娘、

満点の星に囲まれた雲の上の天井界で出会う彦星と織り姫、

各地に伝わる、海とともあった生活の有様を刻んだ民謡を歌い継ぐ波の華、

秋に煌々と輝く鮮やかな満月からの安珍と清姫、

和海しょうが雪のちらつく銀橋を渡りながらx消え降っては消える小雪のために歌う。

そして、

ラストは満開の桜の盛りをボレロに乗せた総踊りで締めくくる。

花組のスター達が各場面に上手く配置され、全てが魅せるが、明日海りお花乃まりあの安珍と清姫がやはり注目どころ。修行の道か恋の道かに迷う安珍と恋に溺れ恋に狂い三千界を焼き尽くす蛇体となる清姫。そんな清姫を恐れ、それでも愛し、その激しい想いに戸惑いもありながら、敢然と受け入れる安珍。

美しく佇み、二つの道に懊悩する明日海りおに対し、花乃まりあは、安珍を失うことを恐れた清姫が周囲を煉獄の炎で真っ赤に焼き尽くす姿を見せる。

和物は着物の所作が難しいところをぶっ返りという、舞台上で衣装替えをする技に挑んでいる花乃まりあ。この場面はその緊張もあるのか、清姫の様変わりのせいなのか、やや表情が硬いのですが、それでも総髪の明日海りおとの並びは美しく、東京まで頑張って欲しいものです。

原田氏には 『雪華抄』を経た後に、また宝塚歌劇のお芝居を作って欲しい。 『雪華抄』で得たものが、どんな風に現れてくるのか楽しみである。

宝塚舞踊詩『雪華抄(せっかしょう)』
作・演出/原田 諒

花鳥風月──日本ならではの風雅な趣をテーマに、華麗に格調高く繰り広げる舞踊絵巻。華やかな初春の風情に始まり、夏のきらめく波濤、秋の月、そして雪の華が舞う白銀の世界から桜花夢幻の春の讃歌へと、絢爛豪華な場面が次々に展開されます。現代的なエッセンスを加え、宝塚風にアレンジした日本古来の伝説なども織り交ぜながら、四季の美しさと艶やかさを華やかに謳い上げた日本物レビューの意欲作。
国際的に活躍するファッションデザイナー丸山敬太氏が、衣装デザイン・監修を手掛けます。