[Zuka] 2015年星組『ガイズ&ドールズ』(3)

祝!星組大劇場公演『ガイズ&ドールズ』CD発売決定

  • 宝塚クリエイティブアーツでは、次の商品の発売を予定しております。

2015年11月12日発売

星組大劇場公演『ガイズ&ドールズ』(ライブCD)
TCAC-538~539    4,980円(税込)

8月27日にTAKARAZUKA SKY STAGEに以下のような返信を頂いて、心配していたのですが、CDはひとまず発売ができる運びとなったようです。株式会社宝塚クリエイティブアーツか歌劇団のどちらが著作権者様と交渉しているのか判りませんが、引き続き交渉をお願いしたいところです。

こちらはTAKARAZUKA SKY STAGEでございます。
いつも宝塚歌劇ならびに当チャンネルをご愛顧賜り誠にありがとうございます。

このたびはせっかくお問い合わせをお寄せくださったのですが、星組大劇場公演『ガイズ&ドールズ』-GUYS & DOLLS- については、現在のところ著作権者様からBlu-ray・DVD・CDの商品化の許諾をいただけておらず、発売の予定が立っていない状況でございます。
恐れ入りますが事情ご高察のうえ何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

今後ともTAKARAZUKA SKY STAGEをどうぞよろしくお願いいたします。

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TAKARAZUKA SKY STAGE  スカパー! ch.290
tel.0570-000-290 10:00~17:00(日曜定休)
ホームページ: http://www.skystage.net/
メールアドレス: skystage@hankyu-group.jp
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副主人公のネイサン・デトロイト(紅ゆずる)。スカイ(北翔海莉)にサラ(妃海 風)をハバナに連れて行くという賭けを仕掛けた張本人である。

紅ゆずるが、一皮も二皮も剥けた感じで生き生きと演じており、婚約者のアデレイド役の礼真琴との息もピッタリで、ナイトクラブ”ホット・ボックス”での掛け合いの場面や”Sue Me”のデュエットは絶妙な間合いと巧さが光る。紅ゆずる、覚醒す。

ネイサンはクラップ・シューターとして古株のギャンブラーだが、色男金と力はなかりけりという感じで、いつも持ち合わせに乏しくクラップ・ゲームの所場代を稼ぐのにてんてこ舞いしている。

そんなネイサンだが、紅ゆずるのネイサンの良さは、面倒見がよく、人望があって、お金がないのは、慕ってくる若いギャンブラー達の負けを立て替えてやったり、イカサマはしないというような律儀さにありそうと思わせるところだ。紅ゆずるはすごく機転が効き、状況によって対応を柔軟に変えるところが強い。

シカゴから来たギャングのビッグ・ジュール(十輝 いりす)と対決する時も若いギャンブラーを差し出したりせずに、自分でカタをつけようとする。なかなかイカした男なのである。(イカしたって死語のような気もするが^^;)

この紅ネイサンの造形は、ナイスリー(美城れん)達の3人組達との関係性からも作り出されている。

特に舎弟っぽい七海ひろきのベニー・サウスストリートは、ネイサンの影に隠れたり、ネイサンの使いっ走りをしたりしながら、ネイサンを支持し続ける。この七海ベニーが可愛くね!はしっこくてちょこまか動きながら、ギャンブルのネタを探し回るんだけれど、陽気で悪意がなく、心底ギャンブル好き。

ギャンブルオタクの七海ベニーに好かれる紅ネイサンは絶対に悪気のないギャンブル好きで、ギャンブルを全てに優先させちゃう人である。

このギャンブルオタクのベニーが、ネイサンとアデレイドを結婚させるきっかけを作るんだから不思議だ。

ネイサン(紅)の自慢は婚約者のアデレイド(礼 真琴)は婚約して14年になるにも関わらず、「あたしの可愛いネイサン」と呼ぶ。この礼アデレイドは、14年の長い歳月、結婚を待たされ、万年婚約者と自ら言いながらも、卑屈さやゆがみを感じさせない、浮き世離れした無邪気さをたたえ、紅ネイサンと不思議なカップルを形成している。

礼アデレイドの良さは、この「浮き世離れした無邪気さ」でもって14年の歳月を乗りこえ、結婚の場面でもひたすら一途に無邪気だったところだ。こんな礼アデレイドはファンタジーの具現化のような存在であったが、ホット・ボックスの踊り子としてワーキングウーマンでもあり、「ギャラが上がるから結婚できる」という現実感も備え、見ていて飽きない素晴らしさであった。

余談だが、「野郎どもと女達」にちょっぴりミソジニーが込められているとしたら、女達のプライドがこもっているのが、アデレイドとホット・ドールズの歌う「ミンクを持って帰る男」である。「彼、毛皮のコートを買ってくれたわ。帽子ネックレスハンドバッグ手袋……」だけど、取り返しに来た。「持ってけ、ミンク。あたしは娼婦じゃないのよ」という歌詞は、「愛がこもったプレゼントだと思ったから受け取ったのよ!という女たちの憤りをユーモアたっぷりに表している。

ガイズ&ドールズは年齢や経験で見る目が変わりそうで、私は終演の幕が降りると、これから野郎どもと女達の第二ラウンドが始まるんだなぁと思う。スカイは堅気にはなれてもスリル好きは変わらない気がするし、ネイサンは庭仕事しながらクラップしそうな予感がする。

愛し合ったり喧嘩したり、警戒しあったり仲直りしたりしながらも一緒に生きていく、愛すべき「野郎どもと女達」の物語なんだなと。

書き切れないけれど、十輝 いりすのビッグ・ジュールや壱城 あずさのハリー・ザ・ホース、如月 蓮の司会者、天寿 光希のアーヴァイドさん、十碧 れいやのジョーイとかめっちゃ良い味を出しているんですよ。何回観ても飽きないよ、ガイズ&ドールズ。