柚希礼音・夢咲ねねの星組トップコンビの退団公演が始まりました。ミュージカル『黒豹の如く』の脚本は、柴田 侑宏氏の10年ぶりの新作で、 柚希礼音のために書き下ろされたとのこと。演出・振付はTSミュージカルファンデーションの謝 珠栄氏。
柴田氏は、さすが超ベテランの劇団専属作家で、ヅカファンの好む傾向をよくご存じです。
作り手がやりたいもの(演じさせたいもの)、演じ手にあうもの、ヅカファンがみたいもの、の3つが一致するのが好まれる作品になると思うのですが、トップスターの退団公演はヅカファンの「あの人でこれがみたいんだよ」パワーが高まっていて、ハードルが上がる気がします。そのハードルをちゃんと越えるけれど、超えすぎない、みたいな力加減が絶妙です。
ストーリーの核はシンプルだけれど、オールスターキャストで人物関係の詳細な関係性を描いて厚みを持たせ、事態を進めていく。組内での関係も彷彿させるように宛て書きし、ラストは明るい方向へ進めるような、ははむけを送る。
新作なので、舞台の流れや間合い、テンポはまだぎこちなさがありましたが、こなれるとスムーズになっていくと思う。山場を、第15場中の第14場とギリギリ最後に持ってきているので、初見では、そこまで緊張感を維持してストーリーを追っかけていくのが、ちょっと大変でしたね。合い言葉は「カディスのカルナバル」!
(あらすじ)1920年第一次世界大戦終結して2年、スペイン海軍大佐アントニオ(柚希 礼音)は、かつての恋人だったカテリーナ(夢咲 ねね)と再会を果たす。カテリーナは借金のカタに富豪ラミレスと結婚していたが、ラミレスは亡くなり、未亡人となっていた。アントニオとカテリーナの間に障害はなくなり、再び寄り添う二人だった。
そんな二人を利用しようと近づくのが、実業家のアラルコン公爵(紅 ゆずる)。アントニオとカテリーナに近づくアラルコンの目的は何か?アラルコンは、アントニオと同期であり、司令官を務める海軍大佐セバスチャン(十輝 いりす)とも頻繁に連絡を取り合っている様子だった…。
ポスターの「生まれ変わっても、きっと君を見つけ出す」のキャッチコピーから、輪廻転生ものとかファンタジー要素が入るかと思っていたら、完全な現代劇でした。アントニオは、姫君を助け出した伝説の海賊ソルの子孫という設定なんだそうです。
『Dear DIAMOND!!』は、すごく良かった!
いまの星組の総合力が遺憾なく発揮されて、豪奢に光り輝く感動的なショーでした。中詰の客席降りで、柚希が「2階に来たぜェェ!!!!」と、念願が叶ったといわんばかりに入ってきて(この日は2階S席)、歓迎の嵐を受けているのを見て、すっごく楽しかった。黒燕尾の男役群舞からの黒燕尾柚希と白いイブニングドレスの夢咲ねねのデュエットダンスも最高です。
__
公演期間:2月6日(金)~3月9日(月)
『黒豹(くろひょう)の如(ごと)く』
作/柴田 侑宏
演出・振付/謝 珠栄
[解 説]
柚希礼音のために書き下ろされたオリジナル・ミュージカル。
第一次大戦後のスペインを舞台に、かつての恋人が再会したことから、ある事件に巻き込まれ、思わぬ運命の渦に巻き込まれていく。
大戦中、「黒豹」の綽名を持つ硬派の海軍大佐アントニオ・デ・オダリス伯爵と、カテリーナは恋仲であった。しかし大戦後、バルセロナで再会した二人の境遇は変わっていた。カテリーナは父侯爵の窮地を救うためラミレス侯爵と結婚。その夫は大戦中に病死し未亡人となっている。一方、アントニオはスペイン艦隊参謀として忙しい勤務に追われていた。
大戦後の収まりきらないヨーロッパ情勢の中で、ある種の資本家たちが画策し、その達成のためにアントニオの戦闘力を味方に引き入れようとする……。
ダイナミック・ドリーム
『Dear DIAMOND!!』-101カラットの永遠の輝き-
作・演出/藤井 大介
[解 説]
宝石の中で最高級の輝きを放つ、宝石の王ダイヤモンド。柚希礼音自身をダイヤモンドに見立て、“DIAMOND”の頭文字Dに始まる、柚希を形容する言葉―Dance、Delicate、Dramatic、Dynamicなどをモチーフにした場面で構成した、華やかで美しく、愛と夢に溢れたショー。