23日(日)は七海茶でした。『白夜の誓い』の裏話として、細かなエピソードが入らなくて、たくさんカットされたようです。
合点がいきますね。やはりトップスターの退団公演を担当するというのは並々ならぬ気合いが入ると見え、『白夜の誓い』に限らず、『ラスト・タイクーン』や『前田慶次』も苦心の作に見えました。(台本の出来上がりが遅かったという辺りも共通する)。
『白夜の誓い』作・演出担当の原田 諒氏には、『ロバート・キャパ』を成功に導いたリカさん(凰稀 かなめ)と『ニジンスキー』で好演したキタさん(緒月 遠麻)の二人のラストステージということで、思い入れがあるのでしょう。『歌劇』11月号の座談会でもわかる作・演出担当の原田 諒氏の力の入りっぷりです。しかし、力や思いが入れれば入れるほど良いものが出来るという訳ではないのが、難しいんだろうなぁ。
お茶会のレポはまた後日。
【あらすじ】
北ヨーロッパの小さな半島に位置する小国スウェーデン。16世紀、グスタフ・ヴァーサは隣国のデンマークの長きにわたる支配から脱却し、ヴァーサ王朝を開いた。そして17世紀に獅子王と呼ばれたグスタフ2世アドルフに次いで、18世紀にスウェーデン中興の祖となるのがグスタフ3世である。
皇太子グスタフ(凰稀 かなめ)は、フランス・パリに遊学中に、美しく聡明なイザベル・ド・エグモント伯爵夫人(伶美 うらら)を愛するようになる。グスタフと兄弟のように育ち、今もなおグスタフに付き従うヤコブ・ヨハン・アンカーストレム(緒月 遠麻)は、身分違いを懸念するが、グスタフは、啓蒙思想を学び、旧態依然たる貴族のありように疑問を持つようになっていた。
そして父王アドルフ・フレドリクの崩御により、グスタフはスウェーデンに帰国することになる。スウェーデンにイザベルを連れて行こうとするルドルフだったが、イザベルはルドルフの立場を慮って固持する。
急ぎ帰国したルドルフの前に待っていたのは、大国ロシアの影の支配と、お膳立てされた政略結婚であった。かつてスウェーデン独立の前に立ちはだかっていたデンマーク王国から、王女ソフィア・マグダレーナ・ア・ダンマルク(実咲 凜音)を連れてきたのは、ロシア大使モルコフ(風羽 玲亜)と手を組んでいるクランツ大臣(寿 つかさ)をはじめとした大貴族達だった。
飾り物の王の立場を戴冠式で知ったグスタフⅢ世は、主導権を大貴族達から王の手に取り戻そうと考え始める。
そんなグスタフⅢ世の前に、フランスからの帰国途中で出会った農夫ニルス(七海ひろき)が現れる。(「(宮殿に)どうやって入ったのだ」と尋ねるグスタフ。ごもっとも(゚∇゚ ;))。ニルスはグスタフに、クランツ大臣がロシアと密通し、不当な税金の取り立てを行っていると告発する。(→国王への暗殺行為は大逆罪だと思いますよ、ニルスさん(・∀・;))
グスタフは、近衛仕官長リリホルン(朝夏 まなと)に指示し、大貴族達に対してクーデターを企てる。だがリリホルンは、クランツ大臣に、スパイを強要され、板挟みになっていた。クランツ大臣にクーデター計画がもれるが、グスタフはヴァーサ王の残した剣を手に、王党派のアルムフェルト(澄輝 さやと)達を率いて立ち上がるのだった。
ソフィア(実咲)は、ルドルフの苦境を理解したが、ただ見守ることしか出来ない。いつしかヴァーサ王朝の開祖ヴァーサ王に祈りを捧げるようになったソフィア(実咲)は、スウェーデン王妃としての立場を自覚し始める。
国内を平定したルドルフⅢ世に残された敵は、女帝エカテリーナⅡ世(純矢 ちとせ)が支配する大国ロシアであった。
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『白夜の誓い』は、スウェーデンの歴史上の流れに、ヤコブとの葛藤やソフィアとイザベルとのロマンスというグスタフ三世の個人的なエピソードを入れ込んである。宙組トップスター凰稀 かなめのお披露目公演の『銀河英雄伝説』を思い出させるような演出があって、ちょっとだけあの時の昂揚をが戻ってきた気がした。「凰稀 かなめ+緒月 遠麻」に主眼が置かれすぎなんだろうなぁ、きっと。