[Zuka] 花組『ポーの一族』(1)

萩尾望都氏の傑作漫画『ポーの一族』。公式の公演解説(下に引用)にあるように、小池修一郎氏が舞台化の夢を30年かけて実現させた舞台が花組公演『ポーの一族』です。宝塚大劇場公演が元旦から始まり、東宝千秋楽は3月25日(日)でした。

ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』
原作/萩尾 望都「ポーの一族」(小学館フラワーコミックス)
脚本・演出/小池 修一郎

1972年に「別冊少女コミック」に第1作目を発表以来、少女まんがの枠を超えて幅広い読者を獲得してきた、漫画史上の傑作・萩尾望都の「ポーの一族」が宝塚歌劇に登場する。
永遠に年を取らず生き永らえていくバンパネラ“ポーの一族”。その一族に加わったエドガーが、アランやメリーベルを仲間に加え、哀しみをたたえつつ時空を超えて旅を続けるゴシック・ロマン。同作品をミュージカル化したいと夢見て宝塚歌劇団に入団した小池修一郎が、1985年に「いつか劇化させて欲しい」と申し出て以来30年余り、萩尾望都があらゆる上演希望を断り続けた幻の舞台が遂に実現する。

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今、上演中の宙組『天は赤い河のほとり』もそうですが、原作に力があり人気が高い作品を舞台化するのは難しい。私は原作と舞台化や映画化された作品は別の物だと思って観るようにしています。原作者が脚本を書いて、指揮を執るならまた違うでしょうけれど、原作者とは異なる人間が脚本を書いて、演出をした場合、どんなに原作の精神を尊重して原作に忠実だろうと、それは原作と異なる作品だというのが基本スタンスです。

「原作の精神を尊重する」というのは私の中での必須要件かなと書きながら思ったけれど、それでも脚本担当者の主観が入るし、それがまた一興でもある。そして脚本・演出が変わらなくても、キャストが変われば見え方も変わります。

『ポーの一族』舞台化については、小池先生が制作発表会のトークショーで「今の私たちにできる最善のものを目指して取り組んで」いると語り、舞台を観劇された原作者の萩尾先生がたいへん喜ばれて、いろんな方をアテンドして何度も足を運ばれたというのが、私が最も舞台化の成果を感じたニュースでした。

そして上演されている花組公演『ポーの一族』を見てどう感じるかというのは、百人百通りだと思うので、私の感想はあくまで個人の感想です。私が萩尾作品で好きなのを挙げろと言われると、『11人いる!』『東の地平・西の永遠』『百億の昼と千億の夜』『スター・レッド』『A-A’』辺りからになるので、『ポーの一族』『トーマの心臓』はカテゴリーが違う。違うからこそなのかな、冷静に花組の舞台がすごく好きになれました。