[Zuka] 増幅する狂気 ルキーニ~花組『エリザベート』

まだまだ先だと思っていたのに、だいもん(望海 風斗)が、雪組『ルパン三世』の制作発表会に出ているのを見ると、月日の経つのは早い、としみじみ思う。来年のことを言うと、鬼が笑うというけれど、もう年賀状印刷の広告が出てますからね!(笑)。

だいもん茶に参加しましたが、壮さんから餞別(形見分け)があったとか。雪組新トップコンビのちぎみゆ(早霧せいな、咲妃みゆ)は宙+月、ともみん(夢乃 聖夏)は星で、『ルパン三世』は、ユニークな混成チームになるんじゃないでしょうか。楽しみです。

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SMAP×SMAPの花組特出SPを見た後に書き上げた。パンケーキの勝利←判る人には判るw

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ルイジ・ルキーニ(望海 風斗)、皇后エリザベート(蘭乃はな)を暗殺した罪により、煉獄の裁判所で裁判を受ける男。

裁判官(声:瀬戸かずや)は問う。なぜ、皇后エリザベート(蘭乃)を殺めたのか。

ルキーニ(望海)は応える。皇后本人が死を望んだのだ。

その答えを疑う裁判官に対してルキーニは、死した者達の魂とエリザベートを愛した黄泉の帝王トート(明日海りお)を呼び出し、エリザベートの愛を、エリザベートの死を、語らせる。

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ルイジ・ルキーニ、イタリア人の無政府主義者。育児放棄をされ、孤児として生き、イタリア軍で有能な兵士になるが、除隊してスイスに移住する。精神疾患を患い、アナーキズムに傾倒し、王侯貴族を激しく憎んでいたという。

タカラヅカ版『エリザベート』のルキーニは何者か。

エリザベートの死後100年が過ぎても、未だなお煉獄の裁判所で裁判を受けるルキーニは、昔話を巻き戻し、物語の狂言回しとして進行役を務める。

黄泉の王トートは、少女のシシィ(エリザベート)と出会い、心を奪われる。

ところがシシィは皇帝フランツ(北翔海莉)と結婚してしまう。

”物事は計画通りには運ばない”

愛するエリザベートを奪われたトートは、嘆きと怒りを持って、ハプスブルク家の黄昏を宣告する。上流階級を憎むルキーニには願ったり叶ったりの流れである。

シェーンブルン宮殿の中で自由を奪われ、孤立するシシィは、ハンガリーの統治に生きがいを見いだす。シシィを狂おしいまでに熱愛するトートは、ハプスブルク家を陥れるため、ハンガリー独立運動を扇動し、革命家達(瀬戸 かずや、鳳 真由、天真 みちる、役替:芹香 斗亜or柚香 光)に近づく。それを煽るようにウィーンの街でミルク売りとして登場し、民衆に貧しさを突きつけるルキーニ。

ルキーニの狂気と黄泉の帝王トートの狂気が共鳴し、響き合い、増幅する。

明日海トートと望海ルキーニがセンターに立ち、ずらりと花組子が銀橋に並んで歌うミルクの場面は、熱気があり、涙ものだった。新しい時代への意欲、花組の心意気ですね。

孤独にさいなまれ、若さと美貌だけが自分を守ると信じるシシィは、世界各国の美女の写真を集めよと命じる。ルキーニは歌う。キッチュ!美貌が衰えると権力が失せる!

共鳴する孤独、増幅する狂気。

皇帝フランツの浮気現場を写真に収めるルキーニ。

皇太子ルドルフに忍び寄り、死の影に誘い込むトート。

狂気は増幅し、絶望と虚無の世界に迷い込むエリザベート。

キッチュ!明日海トートからナイフを受け取り、蘭乃エリザベートを死に追い込む望海ルキーニは、トートの分身のようでもある。死を統べる者と死をもたらす者。

裁判官は問う。皇后エリザベートの愛は一体どこにあったのか?

 

かなり共犯な気がしますよ、裁判官殿。