[stage] 大空祐飛『La Vie -彼女が描く、絵の世界』

遅まきながら、『La Vie – 彼女が描く、絵の世界』【→公式】の東京公演8月1日に遠征した感想を残しておきます(大阪公演も24日に観劇予定)。

  • 東京公演7月31日~8月3日
  • 大阪公演8月22日~24日
銀河劇場(天王洲アイル)
銀河劇場(天王洲アイル)

__

大空祐飛が自身で企画・プロデュースを手がける〝Théâtre de Yûhi(テアトル・ド・祐飛)〟

『La Vie – 彼女が描く、絵の世界』【→公式】はその第一弾である。

1920年代に、欧米で一世を風靡したアール・デコの女流画家タマラ・ド・レンピッカの生き様にインスパイアされた大空祐飛がプロデュースして作った作品。タマラ・ド・レンピッカの5つの作品にまつわる5つのエピソードを取り上げ、ゴールデンエイジを奔放に生きたタマラの生きた軌跡を追う。

観劇して、大空祐飛が自分自身に課していた枷が外れたな、と思った。

タカラヅカ時代の祐飛さんは、常に「第三者からどう見られているか」を意識していたような気がしている。「男役として、立派な、格好いい、”男”に見えているか」、「演出家の意図やファンの期待・イメージを裏切っていないか」と、強い責任感で自らに枷を課していた…(ファン歴の短い私が勝手に思っていることだけど)。

その枷は、『唐版・滝の白糸』でも『新・天守物語』でも変わらず、彼女は常に強い緊迫感を帯びて、舞台に立っていた(※)。

それが…

彼女はひたすらタマラを演じることを楽しんでいた。

今回、共演者は8人いるが、歌もセリフも発するのは大空祐飛だけだった。彼女は一人で、10曲以上歌い、大量の言葉を紡ぎ出す。彼女は生き生きと心底、楽しそうに、舞台に立っていた。

彼女にとって、歌うことも踊ることも演じることもすべて、「タマラの生き様を”表現する”」ためのものだ。マイム俳優のいいむろなおきとの共演によって、歌もセリフもないマイムでの表現も取り入れられていた。表現方法に制約はなかった。

歌がなくても、言葉がなくても、身振り手振りで「表現」は出来るんだよ!「表現すること」に決まりはないんだよ!

この舞台のヒロインは、タマラ・ド・レンピッカであって、タマラ・ド・レンピッカではない。『La Vie – 彼女が描く、絵の世界』は「大空祐飛が描く、大空祐飛の世界」であった。

「女優」という狭いくくりは、大空祐飛には似合わない。今後、必要さえあれば彼女は老若男女を演じるだろう(さすがに子役はちょっと無理だと思うけど?)。

〝Théâtre de Yûhi(テアトル・ド・祐飛)〟の第一作目は、大空祐飛の「表現」に対する宣言だ。「自分がやりたいもの、自分が感じたものを、具現化するための、Théâtre de Yûhi。これが大空祐飛だ、と。

※『唐版・滝の白糸』『新・天守物語』は、私の中では殿堂入りしています。『新・天守物語』がもう一度みたーいい!!!

__

『La Vie – 彼女が描く、絵の世界』 大空祐飛インタビュー – 宝塚ジャーナル
http://blog.livedoor.jp/enbublog-journal/archives/1812790.html

タマラに同化した大空祐飛の世界!『La Vie – 彼女が描く、絵の世界』 – 宝塚ジャーナル http://blog.livedoor.jp/enbublog-journal/archives/1813987.html

出演: 大空祐飛
【パントマイム】いいむろなおき
【ダンサー】珠洲春希、月央和沙、那須幸蔵、岡崎大樹
【コーラス】池谷京子、真瀬はるか、新良エツ子
【バンド】白井アキト(ピアノ)、岩永真奈(ベース)、坂本暁良(ドラム)、伊藤友馬(バイオリン)、江畑コーヘー(ギター)、菅家隆介(トランペット)