[Zuka] 星組『眠らない男』-その名はタレーラン

『眠らない男・ナポレオン ―愛と栄光の涯(はて)に― 』のキャストで最も妖しい人、

その名は、タレーラン@北翔 海莉

なんか凄いぞ、みっさまタレーラン。金茶のウェービーなロン毛、はらりと顔にかかる前髪、黒系を基調とした濃いアイメイク。

バラスの夜会でスタール夫人(万里 柚美)を伴って登場するタレーランは、「上から目線の冷笑癖の人」である。しかし、タレーランは、相手に何か感じ得るものがあると、すみやかに敬意を払っている。ジョゼフィーヌしかりナポレオンしかり。その潔さがカッコいい。今公演は全体的にシリアスなため、笑い上戸のみっさまも、笑ってもニヤリかフフンで、妖しい美形を貫き通している。みっさまがカッコいい役で嬉しい。がんばれ、みっさま!

タレーランって宮廷料理人アントナン・カレームの雇い主だったくらいしか知らなかったが、腕っこきの外交官だったらしく、「現在でも、欧米では交渉の場で卓越したものの代名詞として使われる」【→Wikipedia)】とか、愛人がたくさんいて画家のドラクロアの「本当の父親はタレーランだとする説が今日では有力」【→コトバンク】とか、只者ではない感がすごい人であります。

今公演は、私の中では専科さん祭りが開催されていて、みっさまのほかには、バラス/フランツI世のひろさん(一樹 千尋)、グランマルモンのじゅんこさん(英真 なおき)、ナポレオンの母レティツィアのけいこさん(美穂 圭子)とフーシェのみきちぐさん(美稀 千種)とシェイエス/メッテルニヒのさやかさん(美城 れん)も専科さん枠で見ておりました。

レティツィア母さんは、嫁(ジョゼフィーヌ)に「パリの社交界の女なんて娼婦と同じ」と言い放つ、きっつい女性ですが、ナポレオンがエルバ島に流されたら駆けつけ、資金援助したという、信心深いしっかりした御母堂だったようです。 圭子さんの歌唱力で「私は認めない」を歌われると、普通の嫁は泣きだすと思う。きついですすごいです。

ジョゼフ・フーシェは、物理科学の教員から秘密警察を駆使した謀略家としてナポレオン体制では警察大臣だった人です。みきちぐさん(美稀 千種)のフーシェは冷静沈着で何を考えているのか判らない感じがします。このフーシェとタレーラン、ナポレオンが揃ったというところに、歴史の巡り合わせを感じたりするのでした。

専科に異動が決まっているさやかさん(美城 れん)はユニークな役が多く、今回はシェイエス/メッテルニヒの二役。シェイエス役は頬に詰め物をして、胴巻きを巻いてハンプティ・ダンプティのようなビジュアルで登場し、プロ根性を感じました。でも、さやかさんは整った顔立ちで美声の持ち主なのに勿体ない気がずーっとしているんですよね(「あの子はあなたを愛している」(13年星組ロミジュリ)はヘビロテ曲)。専科に異動したら、あの美声を生かせる機会ができることを願っています。

みっさまと同期なさやかさん。みっさまタレーランが「♪メッテルニヒは親友だ♪」、「♪二人でヨーロッパを牛耳ろう♪」と歌うのが脳内で響いております。

↓キャトルでみっさまタレーランとまさこさん(十輝いりす)ナポ兄ジョゼフの舞台写真が並んでいたので買ってしまったのですが、二人とも目力すごいよ(減色してあります)。

タレーラン&ジョゼフ
みっさまタレーランとまさこさんジョゼフ