[Zuka] 2013年雪組『Shall we ダンス?』 『CONGRATULATIONS 宝塚!!』

開演2日目の15時公演を見てきました。まったく「いい仕事してますねえ」(by中島誠之助氏)。脚本・演出の小柳 奈穂子氏が、映画『Shall we ダンス?』のツボを絶妙に押さえて小気味良いストーリーに仕立て上げ、雪組メンバーが気合いを入れて演じる上等な大人のコメディ。【→特設サイト

【11/11追記しました】

周防正行氏による監督・脚本で1996年に大ヒットした映画『Shall we ダンス?』を題材に、小柳 奈穂子氏がミュージカル化したタカラヅカ版『Shall we ダンス?』。宝塚歌劇の大劇場では珍しい現代劇である。 『CONGRATULATIONS 宝塚!!』は、宝塚歌劇100周年の前祝いと本祝いを兼ねたレビュー。年末年始公演で、東京宝塚劇場では100周年の皮切り公演となるだけに、宝塚歌劇団も力を入れている。

主役のヘイリー・ハーツ(壮一帆)は、窓から見かける女性(エラ・早霧 せいな)に憧れて、ついうっかりダンス教室に入会してしまった妻子ある地味系サラリーマン。宝塚歌劇のトップスターの役としては異色だが、だからこそ、壮一帆の演技の巧さが冴え渡って素晴らしかった。お衣装はつるしのダークカラー三つ揃いのスーツとか灰色のカーディガンに黒系のズボンとかで、派手な行動をとるわけではないのに、場を引っ張っていく存在感はさすがだ。

このヘイリー@壮の堅実さな人柄を際立たせるのがダンス仲間達である。ヘンリーの同僚でダンスを愛する男ドニー・カーティス@夢乃 聖夏、おどおど弱気なサラリーマンのジャン@鳳翔 大、チャラいホスト・レオン@彩風 咲奈。いずれも「その辺にいそう」*という日常性のある役柄を軽妙に、洒脱に演じていた。*でも絶対にいない!

ドニー・カーティスの夢乃 聖夏は、「竹中直人が憑依している」と思ったくらい一つ一つの動きを研究しており、ここまでやるかという、余人の追随を許さない入れ込みようだった。このまま行くと、ともみんは竹中直人張りの個性派男役を極めるかもしれない(ちょっと妄想した)。1週間くらい経つと更にオリジナリティが出てくるだろうな。ブゥラボォー(竹中直人調で)。

2番手男役である早霧 せいなが、女性ダンス教師のエラを演じているが、早霧のエラは、世俗の手垢がついていない、媚びのない美しさを発揮し、エラを、ボールルームダンスという競技に挑むアスリートとして演じていた。トップ娘役の愛加 あゆが演じるジョセリンは、ヘンリーを愛し、信頼している妻という役を好演していた。ヘンリーを励まして歌う「Still」は、柔らかな包容力が素敵だった。

未涼 亜希の休演がものすごく残念なのですが、代役の彩凪 翔は、華やかさがあり、立っているだけで人目をひく。歌いながら踊るダンスシーンや大リフト大会もあるので、たいへんな役だと思うけれど、なぎしょの個性を発揮したアルバートを期待している。個人的には、バーバラ@大湖せしるが倒れたときに、「僕の車を出します」と言うアルバートが、彩凪 翔らしい誠実さが出ていると思った。

『CONGRATULATIONS 宝塚!!』 は、お祭りでした。完全に「お祭り騒ぎ」というにふさわしい。壮さんと早霧が男役オーラ全開だった。雪組子が全力で楽しんでいて、さすが余興にも全力のタカラジェンヌ!目が目がいくつあっても足りないよ。

詳しい感想はまた後日。