本当は中日間近に行こうと思っていたのですが、評判があまりにも良いので我慢できずに、2階B席チケットを購入して観劇してきました。ポスターがすごく良いできあがりで、楽しみにしていたのだ。ポスターが良いというのは、大事ですね。 来週また観劇するので、今回は全体感想のみをアップします。
■ミュージカル 『愛と革命の詩-アンドレア・シェニエ-』の全体感想
事前知識としては、蘭寿とむ念願の「大恋愛物!!!!!!」で、時代はフランス革命期。
蘭寿とむが、インタビューで「追いかけるのではなく、2人の思いが燃え上がるシーンがある」と答えていて、そういえば、花組トップになってからの大劇場公演では、『ファントム』、『復活』、『サン=テグジュペリ』、『オーシャンズ11』と、好きな女性を追いかける作品ばっかりだったね。
フランス革命期という時代背景は、宝塚歌劇では『ベルサイユのばら』を筆頭に良く使われている。植田景子氏が昨年手がけた『ジャン・ルイ・ファージョン -王妃の調香師-』(2012年星組) もフランス革命期だった。同じような題材で続けて作品を作るのは難しそうだが、本作はオペラの「アンドレア・シェニエ」を題材に、今までとは違った切り口で物語を紡ぎ上げ、同じ時代にあっても、それぞれの置かれた立場で、それぞれの道を生きていることが見えてくる。植田景子氏の手腕は手堅い。
『歌劇』8月号の座談会で、植田景子氏は、「光があれば闇があり、こう見えているけれどもその奥にはこんな気持ちがあるということを作品を通して描きたい」と述べていて、これに花組生が見事に応え完成度の高い舞台が創り上げられている。
主役級の3人-アンドレア・シェニエ@蘭寿とむ、マッダレーナ・ド・コワニー@蘭乃 はな、カルロ・ジェラール@明日海 りお-以外にも役が多く作ってあり、それなりに見せ場がある。その分、群像劇っぽくなった面は否めないが、花組生が自分の役を掘り下げて演じており、脇役でもキャラクターが確立され、味が出ている。
夏休み中でもあり、初観劇の人にも最適な作品!
- Angel White(白い天使)とAngel Black(黒い天使)
本作では、「光と影」、「善と悪」を象徴する役として、Angel White(白い天使)@冴月 瑠那、Angel Black(黒い天使)@柚香 光が登場する【→写真(デイリースポーツonline)】。『ロミオとジュリエット』の「愛」と「死」は、人の外部に存在し、「愛」や「死」に人を誘うイメージだったのだが、この白天使・黒天使は、人の心の中に潜む「光と影」、「善と悪」の象徴として現れる。
登場人物の内面の揺れを、白天使@冴月 瑠那と黒天使@柚香 光が代弁する形をとっているので、登場人物が感情を吐露するようなシーンは少なく、白天使と黒天使が、すべてダンスと表情で、感情を表現する。白天使は表情豊かに喜びや悲しみを表すのだが、黒天使は意地悪く、にやりとするのが効果的に決まっている。
白天使の右の片袖だけは黒く、全身黒の黒天使の左の片袖は白い。白天使と黒天使は絡み合い葛藤するが、片腕がお互いの色に染まっている限り、善と悪、光と影は争えども、分かちがたく、苦悩する。主役のアンドレア・シェニアが、わりあい超然としているので、白天使・黒天使に感情移入してしまう。白天使・黒天使の振り付けは、ハンブルクバレエ団のソリスト・振付家である大石裕香氏が担当。本作の見所のひとつである。
舞台美術は、『南太平洋』【→感想】を担当していた、松井るみ氏。天使の羽を象ったセットが効果的に使われ、舞台を盛り上げていた。
- ショー・オルケスタ『Mr. Swing!』
初っぱなから、真っ赤なソフト帽とスーツの蘭寿とむと、黒いソフト帽とスーツの花組男役がずらっと銀橋に一列に並び、歌い踊りまくるという…迫力に押されて、ショーはなんだか呆然としてあっという間に時間が経った。明日海りおが、ターバン姿になったりセーラー服になったり、バットを持って野球帽をかぶった蘭寿とむが、「俺はいま絶好調♪♪」と歌ったり。
そして春風弥里のみーちゃんが、ピンクスーツ、黒スーツ、黒燕尾に銀橋ソロ、という豪華版。お芝居はどうしても番手縛りになるけど、ショーは比較的自由にやって良い感じですね。蘭寿とむと瀬戸かずやのデュエットダンスは、肩幅ひろいなぁーと思って観ていましたw
■花組 宝塚大劇場公演
公演期間:8月16日(金)~9月23日(月)
■主演・・・蘭寿 とむ、蘭乃 はな
Musical 『愛と革命の詩(うた)-アンドレア・シェニエ-』
~オペラ「アンドレア・シェニエ」より~
脚本・演出/植田 景子
ショー・オルケスタ『Mr. Swing!』
作・演出/稲葉 太地