アドリブ満載で、楽しかったよ、千秋楽!
イギリスの名門貴族ヘアフォード伯爵家の当主が亡くなった。跡継ぎがおらず、世間の関心を集める中、伯爵家の顧問弁護士パーチェスター@沙央くらまが、亡き当主に、昔、身分違いの女性に産ませた子どもがいることを探し出した。
「どんな人なの!?」と、期待高まるヘアフォード伯爵家の一同の前に登場した御落胤・ウィリアム(ビル)@龍 真咲は、「ロンドンの下町ランベス育ちの無教養な青年」だった!
登場時の龍ウィリアム(ビル)は、「ラリってる」のかと疑ってしまうくらい突拍子もない行動と落ち着きのない表情で、「ミーマイ」初心者であるあおきは、虚を突かれた。それはともかく、ウィリアム(ビル)@龍 真咲は、叔母のマリア公爵夫人@憧花ゆりののスパルタ教育を受け、「学ぶこと」の楽しさを知り、下町のチンピラ・ビルから、ヘアフォード伯爵ウィリアムという、チャーミングで闊達な紳士に変わって行く。
龍真咲のウィリアムは、権威に染まらず、自然体で、愛すべき「男性」だった。宝塚歌劇は、女性が男を演じるのが最大の特徴だが、「男役」の演じる「男性像」は、いやみがなく、チャーミングである。(だから「夢の世界」なんだけど、みんなそんなこと判ってみているので良いのだ。)
愛希れいかが、トップ娘役として著しい成長ぶりを示している。ビルの恋人の、勝ち気で快活な下町娘サリーが、ウィリアム(ビル)@龍 真咲の幸せのために身を引こうとする姿には情感が溢れ、しなやかに、たくましく生きる女性像を、みごとに描き出した。そして最後の場面では、「マイ・ファエ・レディ」ばりに、清楚で美しいドレス姿を披露。とても、よく似合っていた。ソプラノの伸びやかな歌声も素晴らしかった。
『ME AND MY GIRL』は、龍真咲と愛希れいかの月組トップコンビとしての代表作になるね。
副組長に就任したばかりの憧花ゆりのによる公爵夫人マリアは、知性と意志と責任感の女性である。憧花ゆりのは、脚色・演出の三木章雄から、「鉄の女(マーガレット・サッチャー)のように」と言われて役作りしたそうである。いきなり現れた甥ウィリアムを手厚く教育し、ヘアフォード伯爵家の行く末を憂え、家族を叱咤激励する、堂々たる鉄の公爵夫人ぶり。本公演の影の主役だと思った。
ヘアフォード伯爵家顧問弁護士パーチェスター役の沙央くらまは、とぼけた演技ぶりが群を抜いていて、出る度に何をやらかしてくれるのかワクワクする。千秋楽では、大サービスで同期(87期)の龍真咲と「祝!千秋楽」のたすきを掛けて、「家つきの弁護士」を踊ってくれた。
タカラヅカジェンヌの同期コンビの息の合い方って、尋常じゃない。三木章雄から、「小悪魔ちゃん」と呼ばれていたらしい美弥るりかのジャッキーと、凪七瑠海のジェラルドの89期コンビも大成功だと思う。
星条海斗の執事ヘザーセットは、渋くて素敵なおじ様なのだが、どこかお茶目で、憎めないという絶妙の味わいを出していた。星条海斗は、月組では貴重な大人キャラができる人なので、大事にして欲しい。>歌劇団様
バターズビー卿@紫門 ゆりやの青年貴族姿は気品があり、ビジュアルは、ばっちりなのだが、もう少しはっちゃけても良いんじゃないかと思ったり。元の性格が控え目なのかもしれない。次は、すこし突き抜けた役で見てみたいね。
『ME AND MY GIRL』は、素敵なハッピーナンバーばかりのロマンティックコメディ。2008年月組『ME AND MY GIRL』の特設サイトで、スタンダードナンバーが一部視聴できる。わたしは、サリー@愛希れいかの歌う、『♪顎で受けなさい 原題:Talk It On The Chin』が大好きなのだが、パンフレットには歌詞が載っていなかった。→You tube : 「顎で受けなさい サリー役:彩乃かなみ)」
2008年月組『ME AND MY GIRL』より
You tube : 「顎で受けなさい サリー役:彩乃かなみ)」ちょっとした知恵 悲しみ受け流す知恵
顎で受け止めて 苦い顔して、スマイル♪ スマイル♪
考えりゃ、みんな、くだらないことだ
がたがたしても、死ぬのを待つだけ
生きていれば、どんな目にあおうとも、顎で受けとめて、苦虫潰して、スマイル♪顎で受けとめて、ニヤリとしてから、スマイル♪ スマイル♪
結局、観劇はすべて役替わり【B】パターン。【A】パターンの凪七瑠海のジャッキーや星条海斗のパーチェスターも見たかった!
◆主な配役
ウィリアム・スナイブスン(ビル)・・・・・・・龍 真咲
サリー・スミス(ビルの恋人)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・愛希れいか
ジャクリーン・カーストン(ジャッキー)(ビルの従姉妹)・・・凪七瑠海、美弥るりか(役替わり)
ジェラルド・ボリングボーク(ビルの従兄弟・ジャッキーの婚約者)・・・・・・・・・・・美弥るりか、凪七瑠海(役替わり)
セドリック・パーチェスター(ヘアフォード家の顧問弁護士) ・・・・・・・・・・・星条海斗、沙央くらま(役替わり)
チャールズ・ヘザーセット(ヘアフォード家の執事)・・・・・・・・・・・・沙央くらま、星条海斗(役替わり)
ジョン・トレメイン卿(ヘアフォード家の後見人)・・・・・・・・・・・・・・・・・越乃リュウ
ディーン・マリア公爵夫人 (亡くなった当主の妹・ビルの叔母)・・・・・・・・・・・憧花ゆりの
◆役替わりする配役
【A】
ジャクリーン・カーストン(ジャッキー)= 凪七瑠海
ジェラルド・ボリングボーク = 美弥るりか
セドリック・パーチェスター = 星条海斗
チャールズ・ヘザーセット = 沙央くらま
【B】
ジャクリーン・カーストン(ジャッキー)= 美弥るりか
ジェラルド・ボリングボーク = 凪七瑠海
セドリック・パーチェスター = 沙央くらま
チャールズ・ヘザーセット = 星条海斗