[Zuka] 2013年雪組『ベルサイユのばら-フェルゼン編』

初日から約2週間すぎて、5月9日に、ようやく雪組『ベルサイユのばら-フェルゼン編』を観劇した。壮一帆・愛加あゆの雪組新トップコンビの大劇場お披露目公演である。

2,550人の観客の注視を最も浴びる宝塚大劇場の舞台センター。

満を持して、壮一帆はそこにいた。

たった1人で銀橋を渡る時も、雪組男役を従え、群舞で踊っている時も、我知らず目で追ってしまう、揺るぎないその姿。紛れもない宝塚歌劇団のトップスター(主演男役)である。

今回の観劇はオペラグラスを持参するのを忘れ、細かい表情までは見ることができなかったのだが、「どや顔」しているだろうな、壮さんと思ったら、やはり↓。

「私はまず、自分がどういう姿勢で舞台に立つ姿を見せるか。みんな、けいこが終わっても帰らない。私を穴が開くほど見ている。それは、心地いい緊張感。『どうだ! 見ろ!』って感じです(笑い)」

日刊スポーツ『フェルゼン凱旋/壮一帆

タカラヅカ版『ベルサイユのばら』の主要登場人物の中で、フェルゼンは最難関の役だと思う。【→参考:2006年星組ベルばら

フェルゼンは、セリフと筋だけ追っていくと、どうひいき目に見ても、「恋におぼれて周りのことを考えていないイタイ人」でしかない。それを 、「貴族としての本道を貫く騎士フェルゼン」にしてしまった、壮一帆の演技。これはもう惚れるしかないでしょう。観劇中、「壮さん、格好いい」とひたすら呟いていたあおきです。

マリー・アントワネット@愛加あゆは、出番が少なかったが、輪っかのドレス姿も美しく、最後の見せ場ではしっとりと気品あふれる悲劇の王妃を演じていた。本公演を2回くらいこなせば、トップ娘役の立場に慣れていくと思う。

男役は路線スター(トップ候補)の覚悟を持つように歩んできているが、娘役はそういう育てられ方をしていないので、「トップ娘」の覚悟が確固たるものになるには、半年(宝塚本公演+東京本公演)はかかるだろう。最近の歌劇やグラフ誌を見ていると、娘役も、路線スター的な扱いが出来つつあるようだ。宝塚歌劇団のスターシステムを盤石にしていくためには、それも良いことだと思う。

あとは、 貴族フェルゼンが主役なので、必然的にキャストのウェイトは貴族側に傾く。近衛隊長オスカル@早霧 せいなの出番は多くて当然なのだが、近衛隊員ジェローデル@夢乃 聖夏も大活躍であった。夢乃聖夏のジェローデルは芯が通った、凛々しい青年騎士で、夢乃 聖夏の新しい面を見たような気がした。

そして、早霧 せいなのオスカルと未涼 亜希のアンドレが、ばっちりはまって、文句なしのオスカルとアンドレ。早霧 せいなのオスカルは、ナチュラルで、「仕事だから軍服を着ているだけ」とでも言いそうな、率直なオスカルであった。未涼 亜希のアンドレは、しぶ格好いい。早霧オスカルは、ナチュラルな「女性」で、未涼 アンドレが、渋い男っぽさがあり、ちょうど良いバランスで、好みの一対になっておりました。

ベルナール@彩凪 翔とアラン@彩風 咲奈が、双子のようでどっちが、どっちか見分けが付かなかったよ。ロザリー@早花 まこは、オスカルとアンドレ編よりは、セリフも少なくやや目立たなくなっていた。だが、フェルゼン編のストーリー上のウェイトから考えれば当然の位置づけで、早花 まこが健闘していた。

専科から特出のメルシー伯@汝鳥 伶、ルイ16世@磯野千尋、ブイエ将軍@箙 かおるが、要所要所を引き締めた。磯野千尋はこの公演の後、退団予定で、渋いおじ様役が出来る人が、減るのは寂しい。

ストーリー展開は、相変わらずやや無理があった『ベルサイユのばら-フェルゼン編』だが、総合的に見て、見所の多い素敵な舞台に仕上がっていた。主要キャストを全て出して、2時間半の枠に収めるのは、何かが犠牲になるのは、ある程度は(←ここ重要)、仕方がないのかも。こんな華やかな舞台は宝塚歌劇団でしか観られないと思うから、それでも良いとするか。

■主演・・・壮 一帆、愛加あゆ

三井住友VISAカード シアター
宝塚グランドロマン『ベルサイユのばら』-フェルゼン編-
~池田理代子原作「ベルサイユのばら」より~
脚本・演出/植田紳爾 演出/鈴木圭
宝塚大劇場公演 公演期間:4月19日(金)~5月27日(月)