<タイトル> 真彩 希帆 1Day Special LIVE『La Voile』
<構成・演出> 藤井 大介
<振付>若央りさ
<出演者>(雪組)真彩 希帆 / 綾 凰華 / 眞ノ宮 るい / 一禾 あお/ 壮海 はるま
<演奏>宝塚ニューサウンズ
[Zuka] 雪組・真彩希帆 ”1Day Special LIVE”『La Voile』(1)天使の歌声
ジャズ・メドレーを大人っぽく🍷
きぃちゃんがお着替えの間にジャズ・メドレーが始まる。黒いタキシードを着こなした男役による「Night and Day」。カッコいい。踊れて歌える選抜メンバー。
黒いドレスの真彩希帆がしっとりとアダルトに歌う。”Diamonds are girls Best Friend” (Marilyn Monroe) ~”Material Girl ” (Madonna) ~”Dancing In The Dark” (Bruce Springsteen).
大きく肩を出し、体のラインにフィットする黒いロングドレスが似合う。長い髪もかわいい。
画面越しに真彩希帆がキメたウインクに被弾する。男役たちもキメキメ。真剣な面持ちに視聴しているこちらの背筋が伸びる。 正直に言うとここは、きぃちゃんも男役のみんなも伸びしろが潤沢にある部分ですね。きぃちゃんはセクシーにやらなきゃと意識してやる時より、歌に没頭している表情のほうが色香がかぐわしい。
ジャズ・メドレーのラストは、タキシードの泥棒紳士(綾)と白いドレスの令嬢(真彩)が踊りだす。
『メモアール・ド・パリ』(1986年・花組)から「パッツィの館」の場面である。ダンスの名手だった大浦みずきさんが、白いドレスのひびき美都さんと軽やかに優雅に踊るストーリー仕立てのダンスタイム。やはり藤井先生作・演出の『Amour de 99!!-99年の愛-』(2013年・宙組)では朝夏まなとと実咲凜音が踊った。
藤井先生が、こんなロマンティックな場面に出てみたいというきぃちゃんの夢を叶えてくれたそう。
ふんわりとしたショートボブに大きく背中が開いた白いドレスの真彩希帆が、”This heart of mine (Fred Astaire)”を美しいソプラノで歌い出す。
あなたの全てが ”This heart of mine”
カメラに背を向けた令嬢の肩越しに泥棒紳士がカメラを鋭い目で見る。泥棒紳士が令嬢のブレスレットをするりと抜き取る。
踊り終えた泥棒紳士に令嬢は指輪を外して押し付ける。驚く泥棒紳士と去る令嬢。なんともいえない余韻を残す。
オリジナルの「パッツィの館」では、泥棒紳士が ”This heart of mine” を歌う。泥棒は令嬢と踊りながら、口説いて夢中にさせ、その隙に高価なものを盗んでいく、はずだった。
今回は恋に落ちた令嬢が、”This heart of mine”を歌い、そして泥棒紳士に渡すのがネックレスではなくて指輪という。
この流れがエモーショナルでした。これが今のタカラヅカか!
綾の緊張感のある鋭さと真彩のたおやかさの取り合わせが良かったです。
MCタイム
MCタイムで印象に残ってること。
下級生の話を聞いて、「ありがとう、ありがと」というきぃちゃんの声音が優しい姉モード。さすが5人姉妹の次女。お茶会で話している地声とはまた違う。ソフトボイスにコントロールしているのがすごい。
いちくん(一禾)が、きぃちゃんがホラー好きじゃない!っていうエピソードを語ってるのを、あやな(綾凰華)が「私は同期でーす、 知ってまーす」っていう笑顔で、「(見てるときの声が)うるさいよね」って相槌を打ってる姿。同期は強い。
- 102期生の初舞台公演(こうもり/ THE ENTERTAINER!)の時に、歌のお姉さんみたいに、「できる大丈夫だよ!」って優しい笑顔で言ってくれた真彩さん。「歌のお姉さん」というパワーワード。
- お出かけの時にてるてる坊主を作って写真で送ってくれる真彩さん
- 今回のお稽古で、全員分のフェイスシールドにキラキラをつけてくれた真彩さん
- 男役がお稽古している時に炭酸飲料を抱えてきてくれた真彩さん
- ごめんね、こんなんでという真彩さん
ひたすら、それがきぃちゃんなんだっていう、かわいいエピソードが詰まってました。ごちそうさまです。
真彩希帆&男役とのデュエット
男役とのデュエットの時に、私は真彩希帆の娘役力のすごさというのを感じた。彼女は歌詞の背後にある物語を踏まえて、芝居歌として歌っている。相手役に、歌声のトーン、声のボリューム、笑顔や仕草を揃えていく。「歌がうまい」というのは音程があってるとかリズムが取れているということだけではない。歌で世界を描ける雪組トップコンビ望海風斗と真彩希帆。ふたりが歌うのを見ているとわかってくる。そして真彩希帆がソロで歌うと如実に出てくる。
男役はみんなうまく歌っていたけれど、表現力は真彩希帆一人勝ち独走だった。
- 真彩希帆&壮海 はるま「二人の時間(とき)の時間」(『華やかなりし日々』2012年・宙組)⇒ひとつひとつ丁寧に歌う、壮海くん。まだぎこちないですが、これから楽しみな歌声でした。
- 真彩希帆&一禾あお「ME AND MY GIRL」(『ME AND MY GIRL』2016年・花組)⇒がらっぱちビルと躍動感あふれるサリー。いちくんはまだ男役の声が確立出来てない感じですが元気に歌ってくれてました。
- 真彩希帆ソロ「顎で受けなさい」(『ME AND MY GIRL』2016年・花組)⇒サリーのこの歌が私は大好きなんですよ。好きな歌ばっかり歌ってくれて嬉しい。
- 真彩希帆&眞ノ宮るい「愛していれば分かり合える」(『モーツァルト!』)⇒張り切って刈り上げてきた、はいちゃん(眞ノ宮)。歌詞を考えてアクセントをつけながら、思いをこめて歌ってくれました。
- 真彩希帆ソロ「ダンスはやめられない」(『モーツァルト!』)⇒圧巻のコンスタンチェ。『M!』を見てもコンスを悪女とは思えない私ですが、きぃちゃんのコンスも見てみたい。
- 綾凰華ソロ「ひとかけらの勇気」(『THE SCARLET PIMPERNEL』2017年・星組)⇒力強く、熱く、歌ってくれたのですが、あやなちゃんがこの歌に何を感じているのか、それをまだ表現しきれていない気がしました。がんばれ!ボイトレしてね。
- 真彩希帆ソロ「いのちの歌」(竹内まりや)⇒黄色のコサージュ、黄色のドレス。優しくしっとり歌い上げる。このご時世にね、ものすごく染みた。
含み笑いで、アンコールが聞こえるぞと言って、アンコールの用意がある教えてくれた。
🌻アンコール🌻
My ever lasting dream~私の永遠に続く夢
青木朝子先生が作曲し、藤井先生の声掛けできぃちゃんが作詞したそうです。
歌が好きで歌うことが好きな夢見る少女が、歌劇団に入って注目を浴びて、組を渡り歩いて、抜擢されて、トップ娘役という重責を負うことになって3年。万感の思いがこもってました。歌い終わって、みんなーって呼ぶのが可愛い。
真彩希帆は、望海風斗とともに、2021年4月11日(雪組 東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団が決まっている。
今回は、❄雪組❄で歌った歌を2曲しか歌ってなかった。緑のドレスも着てないんですよ。どうなっちゃうのかな。卒業まで、あと約7か月。まだまだ進化するよね。
出会えた奇跡にありがとう。素敵でした。