[Zuka] 2013年宙組『モンテ・クリスト伯』(1)

はめられた。石田昌也先生に…。

はまった。罠に。

ダンテスとメルセデスの葛藤の場面で涙してしまいました。

新生宙組は、『銀英伝@TAKARAZUKA』で船出して、次が『モンテ・クリスト伯』&『Amour de 99!!』か。航海は順調に進んでいるね。

石田作品は初体験なのだが、さすがベテラン。きっちり計算された舞台に仕上がっていた。

確かに現代のアメリカン・ハイスクールの演劇部員(蒼羽 りく・伶美 うらら・風馬 翔・桜木 みなとと演劇部顧問@美風 舞良が背景説明に出てくるのは、うざい。長大な原作を90分にまとめ上げるためと、春休み学割適用公演なので、若者向けに背景を説明する語り手は必要だと思うのだが、顧問と部員達の演技は、確信犯でコミカルにわざとらしい。『モンテ・クリスト伯』の世界に感情移入しようとしているのに、笑いに持って行っていかれてしまう。ここがちょっと困った。

だが、終わってみると、エドモン・ダンテス@凰稀かなめが、シャトー・ディフ牢獄に捕らわれている陰鬱な14年間を速やかに通過させ、後半のメルセデス@実咲 凜音との葛藤に最大の山場を持ってくるためには、前半のあの笑いが必要だったのかもと思えてくる。

死ぬか気が狂ったほうがマシと言われる暗黒のシャトー・ディフ牢獄で、憎しみと恨みだけを糧に生きているエドモン・ダンテスである。ファリア神父@寿つかさの教えは気を紛らわし、時間を潰す役には立つが、生きる目標にはなりはしない。この場面を強調して、観客を復讐に燃えるダンテスに共感させてしまうと、後半は復讐鬼の話になってしまう。

第7場の密輸船の場面以降は、ダンテスに家令のベルツッチオ@緒月遠麻がついて、説明は彼がやってくれるので、演劇部員は出てこなくなる(別の立場で出てくるけど)。

石田昌也の作る舞台は、緻密な計算がなされた脚本・演出に基づいている…ということで(多分)。

密輸船の場面での「忘レモン」(当時、長期の船旅では、壊血病予防のためにビタミンC補給用レモンが命綱だった)は、完全に単なる駄洒落だろうけど、Twitterで夜な夜な大喜利が流れてくるタイムラインを見ていると、駄洒落は中年男性にとっての必須要素なんじゃないかとも思ったりするので不問(←偉そうw)。

続きます。

■主演・・・凰稀かなめ、実咲凜音
ミュージカル・プレイ『モンテ・クリスト伯』
原作:アレクサンドル=デュマ・ペール
脚本・演出:石田 昌也

宝塚大劇場公演 公演期間:3月15日(金)~4月15日(月)
    • 主な配役
主な配役 出演者 新人公演
エドモン・ダンテス
(ファラオン号の一等航海士・後のモンテ・クリスト伯)
凰稀 かなめ 愛月 ひかる
メルセデス
(エドモンの婚約者)
実咲 凜音 花乃 まりあ
*~*~*
ファリア司祭(イタリアの神父・大学者)
モレル社長(モレル海運社長・メルセデスの父親)
寿 つかさ 星吹 彩翔
オービーヌ(ダングラールの母親) 鈴奈 沙也 実咲 凜音
ミス・メアリー(ハイスクールの演劇部顧問[アメリカ]) 美風 舞良 結乃 かなり
ダングラール(モレル海運の会計士) 悠未 ひろ 美月 悠
マドレーヌ(メルセデスの乳母) 大海 亜呼 夢涼 りあん
ベルツッチオ(密輸船の乗員・後にダンテスの家令) 緒月 遠麻 風馬 翔
フェルナン(貴族の御曹司) 朝夏 まなと 蒼羽 りく
ヴィルフォール(検事) 蓮水 ゆうや 桜木 みなと
エロイーズ(ヴィルフォールの後妻) 純矢 ちとせ 瀬音 リサ
エルミーヌ(ダングラールの妻) 愛花 ちさき 愛白 もあ
ルイジ・ヴァンパ(密輸船のボス) 七海 ひろき 和希 そら
ボーシャン(新聞記者) 澄輝 さやと 星月 梨旺
エデ姫(ギリシャの王女) すみれ乃 麗 伶美 うらら
ムハンマド(密輸船の乗員) 凛城 きら 実羚 淳
アルベール(フェルナンとメルセデスの息子) 愛月 ひかる 春瀬 央季
ケント(ハイスクールの演劇部員[アメリカ]) 蒼羽 りく 七生 眞希
ジェニファー(ハイスクールの演劇部員[アメリカ]) 伶美 うらら 瀬戸花 まり