[Zuka] 宙組『FLYING SAPA -フライング サパ-』(1)ガチSFだったよ。

公演関係者に体調不良のひとが出たため、8月2日、8月3日~4日までの花組宝塚大劇場公演についても、8月4日の新人公演※を含め、全て中止となるそうです。この期間に観劇予定がある方はご注意ください。

※8月4日の新人公演は、代替公演の実施を検討中とのことで、ホッとしました。



宙組公演初日を観劇してきました。5か月ぶりの梅田芸術劇場でした。

上田久美子先生によるガチSFでした。

びっくりした。梅田芸術劇場メインホールで、思考実験の投入されたガチSFを見た!

『FLYING SAPA』は、今回の新型コロナウイルス感染拡大防止に伴うスケジュール見直しで、梅芸メインホールと日生劇場で上演されることになりましたが、元はTBS赤坂ACTシアター公演(2020年3月30日~4月15日)だったですよね。

梅田芸術劇場メインホールと日生劇場は枠組みのかっちした大作や伝統的な作品を手堅く上演しているイメージがあるのですが、気鋭の演出家・上田久美子の意欲作ということで、オリジナル完全新作SFを梅芸と日生劇場でかけることにしたのかな。席数が半分になっているのでキャパ的には梅芸と日生劇場で正解なんでしょう。



上田久美子氏は、制作記者会見で「登場人物の正体や謎を徐々に解明していくことを楽しむタイプの叙事的な作品ですので、詳細な説明は極力控えさせてください(笑)」と話していて、あらすじが書きにくいタイプの作品です。始まったばかりなのでボチボチ書きます。

宝塚歌劇のガチSFの世界観作品というと私の知っている範囲では、『シャングリラ -水之城-』(2010年・宙組・作・演出/小柳奈穂子)や『CAPTAIN NEMO』(2017年・雪組・脚本・演出/谷 正純)があります。

『FLYING SAPA 』は、それらよりサイバーパンクっぽいかな。上田氏はフランスのバンド・デシネ作家・映画監督エンキ・ビラルの漫画や監督作品に影響を受けたと話しています(歌劇2020年3月号『FLYING SAPA 』座談会)。

👉サイバーパンク【cyberpunk】 の解説  出典:デジタル大辞泉(小学館)(goo辞書)
《cybernetics(サイバネティックス)+punk(過激なロック音楽)から》コンピューターネットワークによって管理された、暴力的で退廃した未来社会を描くSF小説の潮流。1980年代にブームとなった。代表的な作家は米国のウィリアム=ギブスンやブルース=スターリングなど。

《あらすじ》

遠い未来、太陽の活動が弱まり、世界各地で争いが起き、人類の一部は水星に移住した。

水星に到着した人々は、星をポルンカと呼んだ。人々は生きていくために「へその緒」と呼ぶ生命維持デバイスを装着し、総統01の指導の元に精神活動まで政府のデーターベース「ミンナ」に管理される。

そんな社会で兵士として生きている男がいた。4年分の記憶しか持たないオバク(真風涼帆)である。

三宅純氏による、サウンドトラック(Mémoires du Sapa)は不安と緊張をかきたて、上田大樹氏のシャープな映像が目まぐるしく点滅し、無機質な謎めく世界を構築していく。

宝塚歌劇でこの世界観をやっちゃうか…と思いながら見てましたが、結末はですね、え、上田久美子作品なのにぴーっとぴーっだ!宝塚歌劇のセオリーにちゃんと乗ってぴーっぴーっ。え、トラジェディはいずこ。びっくりしました。はい。


初日は舞台上の真風涼帆はじめ宙組子に、まだ手探り感があり、ひたすら演じることに没頭しようとしているのが感じられましたね。4ヶ月前に舞台稽古までして中止になった公演です。上演にこぎつけたことは、きっと思い出しては振り返る出来事になるでしょう。

梅芸抽選の5列目だったので、最後の挨拶で目の前にいた芹香斗亜さんがボロ泣きしてるのがよく見え、真風さんも釣られて涙をこぼし、星風まどかちゃんまで泣いちゃったという貴重な初日でした。

真風さんは出身県である熊本の豪雨災害も気になるところだったと思います。トップスターとして里帰りできますように。お見舞い申し上げます。