[Zuka] 星組『ESTRELLAS~星たち~』(1)

スーパー・レビュー
『ESTRELLAS(エストレージャス) ~星たち~』 55分
作・演出/中村 暁

ESTRELLAS(エストレージャス)は、スペイン語で星々(STARS)を意味する。“誰もが星のように光を与えることができる”というテーマのショー。

星組は、2017年に宝塚の伝統的な名曲を集めたレビュー『Bouquet de TAKARAZUKA』→2018年にサイトー・ヒーロー・ショーの『Killer Rouge』と来て、今回のESTRELLASで、ショーの内容がバラエティに富んでいて、飽きないですね。楽しい。

ESTRELLAS幕

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三が日にBSプレミアムで公演中のショーを放送し始めて3年目。今年も1月3日にBSプレミアムで『ESTRELLAS』の放送がありました。おうちで公演中の演目がリピートできるのは助かるし、ありがたいです。

その放送を見て録画して見てなお、舞台は生で観るのがいいなぁって思いました。B席でも生がいい。臨場感が違う。客席降りの熱気や天井で回るミラーボール、2階で観たらよく見えるグリーンのレーザー光線の洪水、そういうものが映らない。けれどもBS放送で宝塚のショーが見れるのは魅力的。来年もやってほしいです、という気持ちも強く、ファンはわがままですみません。舞台でのショーのカメラワークはNHKよりスカステのほうが慣れている気がしますね。

私はやっぱり、生の舞台>映像なのですが、映画はもちろん、ライブビューイングはまた違う位置づけです。ライブビューイングで映るのはどうしてもメインキャスト中心になるけれど、表情の細やかさが判ったり、観客席から見えない角度からの撮影があったり、とても面白い。舞台の端にいる脇が映らないとか群舞の一部をオペラをズームアップしたいのに出来ないとかありますが、それは生の舞台で観る。ライブビューイングはライブビューイングなりの楽しみ方が出来ます。

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『ESTRELLAS~星たち~』

私は第2場『星メドレー』、第3場『星夢(スタム)』、第4章『Back!』から、中詰のORANGE RANGE『チャンピオーネ』に至る流れが大好きで、観るたびにワクワクします。

『星メドレー』。第2章Aは、礼真琴が優しい声の『スターライトパレード』(SEKAI NO OWARI)で歌う。琴ちゃんがこんなに優しい声で歌うのに驚きましたが(芝居だと役で歌うので)、表情の豊かなスターにどんどん進化している気がします。

第2場Bは、黄色のスーツの七海ひろきがセンターで『POP STAR』(平井堅)を有沙瞳と歌い踊り、紫藤りゅう天華えまが組んでサブ。その後、『僕はペガサス 君はポラリス』(MISIA)を瀬稀ゆりと華鳥礼良がデュエットし、七海がソロ『星に願いを』で銀橋を渡るという、七海ひろきサヨナラショーとあだ名を付けられているようですが、七海ひろきONSTAGE。

中村先生、ありがとうございます。中村暁先生といえば最近は『邪馬台国の風』(花組・<2017年)と『VIVA! FESTA!』(宙組・2017年)の印象が強かったですけれど、星組の中日劇場公演『うたかたの恋』(2018年)も演出をご担当でしたね。名古屋まで通いました。七海さんがキラキラとがんばってますから、七海ファンは喜んでいます。(自分なりに職権乱用にならないようにセーブしてきたつもりですが、退団だから許してという気分です。ややヤケ)。

第3場『星夢(スタム)』は、たばこを吸う紅ゆずるが登場し、『今夜はANGEL』(椎名恵)を歌い始める。それに乗せて、漣レイラのソロダンスを皮切りに、ひろ香祐が踊りでる。麻央侑希、天寿光希、如月蓮、大輝真琴と次々と登場し、踊り出す。上手で天寿光希夢妃杏瑠、下手で麻央侑希音咲いつきの歌手が歌い、金髪の長い髪に黒のベレー帽の綺咲愛里が登場する。暗闇に光る星々、黒を基調にしたスタイリッシュな衣装が一人ひとり違っていて、衣装とアクセを観るために一人ひとりを見つめてしまう。すてき。音波みのりの黒髪のカツラに帽子、黒のミニドレス、黒の網タイツ姿がゴスロリ調ですてきなのですが、それでまたイケイケに踊るのがカッコいい。はるこ様❤

コーラスがまた素晴らしい。下手に輝咲玲央、七星美妃、中央に万里柚美、美稀千種、白妙なつ、朱紫令真、上手に小桜ほのか、遥斗勇帆。彼女たちの奏でる美しいコーラスで踊る紅ゆずる綺咲愛里、星組子。総踊りではないのだけれど、ものすごく紅さんの星組スピリッツを感じる。

第4章『Back!』は、K-POP『INFINITE』(Back)を礼真琴を中心に瀬央ゆりあ、紫藤りゅう、朝水りょう、天希ほまれ、天路そら、蒼舞咲歩、極美慎、天飛華音の男役9人で踊る。各メンバーにソロがふられていて次世代の男役達を見てね、という場面ですが、もっぱら歌っているのは礼真琴ですね!そうだよ!という場面です。

からの第5章『アスタリスク・メドレー』ですが、中詰のORANGE RANGE『チャンピオーネ』が、紅ゆずるにすっごい似合っている。合うし、モノにしていく姿が楽しい。中村暁先生が宙組の朝夏まなと真風涼帆のために選んだのが『ソーラン宙組』なら、星組の紅ゆずるのために選んだのが『チャンピオーネ』なんだなと思いました。