[Zuka] 花組『邪馬台国の風』『Santé!!』大千秋楽@東宝

8月27日(日)花組『邪馬台国の風』『Santé!!』東京宝塚劇場が大千秋楽を迎えました。明日海りおと仙名彩世の花組新トップコンビのお披露目公演でした。花組の皆様、スタッフの皆様、おめでとうございました。お疲れ様でした。

夕霧らい様、梅咲衣舞様、お二人ともご卒業おめでとうございます!!らいらいもイブ氏も花組公演を観劇すると探してしまう人でありました。おひげをつけたジャスパー・トリング卿を演じているときでさえ、ひそかに色気を隠し持つらいらいと、ちゃきちゃきと動き回る働き者のイブ氏。『Santé!!』で二人が豪奢なお衣装を着て銀橋を渡る場面は大いなる喜びでした。千秋楽にはお揃いの赤い花のコサージュをつけ、最後の銀橋に向かうらいらいとイブ氏の幸せそうな笑顔をライブビューイングで見ながら、内心で藤井大介先生にお礼を言いました。

幸せと楽しさをありがとう。これからの人生にも幸多きことを、お祈り申し上げます。

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さてと『邪馬台国の風』です。

宝塚大劇場初日からファンの間では賛否両論喧々諤々でセリフや演出にもたびたびの改変が加えられ、ラストシーンは大劇場千秋楽と東宝千秋楽ではやや異なる味わいとなっていました。東宝千秋楽での花組子の熱演は素晴らしく、主演の明日海りおの邪馬台国の戦士タケヒコと仙名彩世の演じる邪馬台国の女王ヒミコ(マナ)の情感豊かな演技には磨きがかかり、芹香斗亜の狗奴国の将クコチヒコは凄みが増して迫力でした。

『邪馬台国の風』は、「起きたことをそのまま描けば物語になるわけではない」という感を強くした作品でした。

『邪馬台国の風』の中で起きた出来事は、感情的に不快な思いをさせる意図や要素は何もなく、素朴で素直に起きた順番に描かれている。流れは勧善懲悪で善悪は明快。観る側としては感情的なわだかまりや齟齬は起こさない(その代わりカタルシスもない)。

キャラクター設定は宛て書きで描かれ、花組の豊富なスターそれぞれの見せ場があって、娘役にもきっちり出番があるので、観ていて楽しかった。ただ魅力的な人物像ばかりなのに、彼らが物語の中で有機的に繋がって動けておらず、伏線を帳消しにする。

ああ、モッタイナイ。

見終わって考える、『邪馬台国の風』で作者の中村 暁先生は何を言いたかったんだろう??

私が見たかった『邪馬台国の風』。それは邪馬台国と狗奴国の真正面からの争いの物語でありました。邪馬台連合の内輪もめを見たかったわけじゃないぜ。

明日海りお演じるタケヒコは、狗奴国の兵士には圧倒的に強くて、彼らとの戦いで危機に陥ったことがない。タケヒコが危機に陥るのは常に邪馬台連合の内輪もめ。

  • タケヒコの盟神探湯 ←内輪もめ
  • ヒミコの処刑騒動と日食 ←内輪もめ

これで狗奴国が勝つにはどうしたらいいのだ!!

(現実的に考えるとタケヒコ1人が狗奴国に負けても邪馬台国は倒れないと思いますが、そこは主人公ですから!)

私が観たかった構成を考えてみたら、ヒミコが即位した時に、星条海斗の狗奴王ヒミクコと瀬戸かずやの奴王ヨリヒクは手を組み、マギーさんがラスボスとなって、キキちゃんのクコチヒコが奴王ヨリヒクとアケヒ(花野 じゅりあ)の所に使者で来るくらいのスケールでした。そしたら盟神探湯だって、ヒミコの処刑騒動だってバックに狗奴国がついて内輪もめじゃなくなるのに!

そしたら狗奴国、勝利までもう一歩だったのに!惜しいくらいは言える(かも)。

(第16場でアケヒと侍女のカヌハが2人だけで狗奴王の元に行くのもヘンだし、カットしたい)。

物語とは人工的に作られるものなので、作為的に作り込まれたものが見たいわけです。全体の中でピースが有機的に繋がっていて、気がついたら全てが結末に集約されていく、そういう物語が美しく見応えがある。

まぁ、私は初見で、『邪馬台国の風』は、ゆきちゃん(仙名彩世)のトップ娘役お披露目のために描かれた物語だと思い、ゆきちゃん演じるヒミコ様が即位して「私は、邪馬台国の女王」と登場した場面で大感動できたので、かなり満足しました(新人公演でヒミコを演じた華優希ちゃんも可愛かったです)。べーちゃん(桜咲 彩花)のフルヒもいつもとメイクが違って、見違えたくらい新鮮だったし、楽しかったよ!