[dairy] ゲンロン利賀セミナー2016(2)

ゲンロン利賀セミナー2016(1)

ゲンロン利賀セミナーの2日目は、劇団SCOTの制作を担当する重政良恵さんの案内で、芸術公園内を散策しました。写真をアップします。

利賀村は、世界遺産に登録されている白川郷・五箇山の合掌造り集落(富山県・岐阜県)のうち、五箇山(ごかやま)の地域である富山県南砺市に含まれ、芸術公園にも合掌造りの建物が点在する。芸術公演には7つの劇場があるが、そのうちの「利賀山房」「新利賀山房」は、合掌造りの建物を改築して、内部を劇場化している。

利賀村 合掌造り
利賀村 合掌造りの建物

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磯崎新氏設計の利賀山房

新利賀山房
利賀山房

利賀山房の建材は、黒に塗り込められたものを使用しているため、舞台は闇が落ち、照明が冴える。下の写真は講演用にスクリーンとプロジェクターが持ち込まれている。

利賀山房 舞台
利賀山房 舞台
新利賀山房
新利賀山房

この日は、新利賀山房の舞台は『カチカチ山』の舞台稽古に使用されていた。右は案内してくださった、劇団SCOT制作の重政さん。収容人員250

新利賀山房 舞台
新利賀山房 舞台

能舞台のように三方から見えるつくりになっている。古色蒼然としたつくりに見えるが、床暖房が導入されているなど設備は最新のものが設置されている。

新利賀山房 舞台
新利賀山房 舞台2

新利賀山房も内部が黒く彩られており、趣のある空間になっている。

新利賀山房 天井部分
新利賀山房 天井部分

磯崎新氏設計の野外劇場

野外劇場の池
野外劇場の池

客席は古代ギリシャの劇場の原型を模したという。長時間座っているとつらそう。。

野外劇場客席側
野外劇場客席側

鈴木忠志氏の作品で、「世界の果てからこんにちは」は舞台で花火を豪快に打ち上げるため、他の舞台に持っていけない、ここでしか上演されない作品だという。

野外劇場舞台
野外劇場 舞台

野外劇場その2の岩舞台。後ろの合掌造りは、新利賀山房。野外劇場では自然が舞台設備となる。

岩舞台
岩舞台

岩舞台では村で使われなくなった火の見櫓を照明塔にしている。鈴木さんのアイディア。

やぐらに取り付けられた照明
やぐらに取り付けられた照明

かえるがいた。

かえる君が岩舞台を覗いていた
岩舞台を覗くかえる
かえる目線
かえる目線

やってきました利賀大山房。芸術公園から少し離れたところにある。

利賀大山房の正式名称は南砺市利賀中村体育館。高齢化・過疎化で使用頻度が落ちていた体育館の内部を劇場として富山県が改修し、利賀大山房の名で使用している。収容人数450人。

利賀大山房
利賀大山房入り口

改修費は2億円くらいらしい。改修前は一般的な体育館でバスケットのコートが2面くらいとれる広さがあったそう。今も届出は体育館のままらしいですが、これで出来るスポーツって限られるような(苦笑)。そして利賀大山房の昨年の稼働日数は4日だったとか。

ここも内部は黒。

利賀大山房 舞台
利賀大山房 舞台
利賀大山房 舞台
利賀大山房 舞台2

そうか、宝くじか。

この新利賀山房
この新利賀山房の奥舞台及び岩舞台は宝くじの普及宣伝事業として整備されたものです。平成21年7月 富山県

劇団SCOTが活用している芸術公園に関連する施設は自治体が管理する公共施設であった。利賀村は、2004年に市町村合併で南砺市になったが、高齢化・過疎化の進む地域で、現在の人口は400人程度らしい。そのため、利賀村では公共施設が、通常の「自治体の有する公共施設は住民サービスのためにある」という概念とは異なる活用の仕方がなされている。

批評誌『ゲンロン1 (Amazon) 』には、公共性の話題も出ている。

本当の芸術活動や文化活動を考えるなら、成果を納税者に還元するという考え方そのものがだめです。予算を納税者以外のひとのためにも使うのが、本当の公共性というものです。(ゲンロン1 p.012)

なんというか見学してみて、利賀村は鈴木忠志氏の主宰する劇団SCOTの演劇という芸術作品に捧げられた「公共的な地域」である、という印象が強かった。しかし、高齢化・過疎化が進んだ、この先はどうなるのか。一見さんの身ながら、不安を感じた。(是非や賛否ではなく個人的な印象である)。