開幕2日目の4月30日(土)Aパターン、5月12日(火)Bパターンを観劇しました。
『ME AND MY GIRL』は、楽しいハッピー・ミュージカルですが、主要な役が少ないためか役替わりがデフォルトのようで、本公演は以下のようになっております。みりおさんは、月組時代の2008年公演でジャッキーとジェラルドを、真咲さんと役替わりで演じていますね。
主な配役 | 出演者 | |
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役替わりA | 役替わりB | |
ウイリアム・スナイブスン(ビル) | 明日海 りお | |
サリー・スミス | 花乃 まりあ | |
ジョン・トレメイン卿 | 芹香 斗亜 | 瀬戸 かずや |
ジャクリーン・カーストン(ジャッキー) | 柚香 光 | 鳳月 杏 |
ジェラルド・ボリングボーク | 水美 舞斗 | 芹香 斗亜 |
セドリック・パーチェスター | 鳳 真由 | 柚香 光 |
ディーン・マリア公爵夫人 | 桜咲 彩花 | 仙名 彩世 |
ランベス・キング | 瀬戸 かずや | 鳳 真由 |
ランベス・クイーン | 鳳月 杏 | 水美 舞斗 |
ジャスパー・トリング卿 | 夕霧 らい | |
チャールズ・ヘザーセット | 天真 みちる |
両パターンを見て、Aパターン、Bパターンのキャストはそれぞれテンションが馴染むように上手く、組んである気がした。ここでは是非や善し悪しを言っているのではなくて、AとBの個性の違いを言っている。
Aパターンでは、明日海ビルと花乃サリーが、ヘアフォード家関係者に馴染んでいるのに対し、Bパターンのほうは、Bパターンはランベスを巡る対立がくっきり際立っている気がする。
それは何故かというと、マリア公爵夫人とジョン卿の役替わりが大きいのかもしれない。夕霧 らいのジャスパー卿と天真 みちるのヘザーセットも、ビルとサリーがヘアフォード家に馴染むために重要な役割を果たしているが、役替わりで考えると、やはりビルの叔母上たるマリア公爵夫人(A:桜咲 彩花、B:仙名 彩世)の存在が大きい。
Aパターンの桜咲 彩花のマリア侯爵夫人は、「私は貴族として生まれ育って来たので、当主の監督役としての責務を果たせねばなりませんが、伸び伸び生きてきた人に厳しいことを言っているのも自分で判っているつもりです」という、ある意味、庶民に相通じる「気持ち」を感じた。本音ではランベス育ちのビルとサリーの境遇にも同情していて、二人はランベスで生きる方が幸せかも、と懊悩しているような。
個人的にべーちゃんは、スターダム、光源氏、For the people、そしてミーマイとめきめきと演技の幅が広がり、見ているのが楽しい娘役さんです。
そんな桜咲マリア侯爵夫人を見つめる芹香斗亜のジョン卿は、マリア侯爵夫人が肩肘を張っているのを感じつつ見守っていて、「何かあったら僕が助けるよ~」という鷹揚さの中に頼もしさがある。実はこれは私の芹香斗亜さんのイメージに近い。みりおさんが挨拶でキキちゃんに振るのを見ていると、「鷹揚さの中の頼もしさ」というのは、キキちゃんの持ち味なのかもしれない。ジョン卿がサリーに支援を申し出る所は、かっこ良くて真に頼りになる人は普段はヘタレでもいいんだ!と発見した気がした(笑)。
Bパターンの仙名 彩世のマリア侯爵夫人は、さすがに前作 『For the people —リンカーン 自由を求めた男—』 で理事相手にヒロインを務めただけあり、貴族としての誇りを持ち、気品があり、社会的な責任感も強いという侯爵夫人を演じきった。「育ちはどうあれ、貴族は貴族です」という誇りが、仙名マリア侯爵夫人を凜然と咲き誇らせる。
そして瀬戸かずやのジョン卿は髭がダンディでビシッとスーツが似合っていて押し出しが良く、有能そう。ジョン卿一人で立っていると、マリア公爵夫人にも勝てそうな気がしたけれど、これが仙名マリア侯爵夫人に対すると、侯爵夫人に一目置いて、その意思を尊重しているのだなという気がする。そしてマリア侯爵夫人に対抗していると見せかけて、裏での助力を惜しまないという大人の関係。
AもBもこのマリア侯爵夫人にして、このジョン卿あり、という組み合わせで、交換バージョンも見たくなったよ。
個人的に好きなキャラクターでは、パーチェスター(A:鳳 真由、B:柚香 光)が外せない。7月31日付けで退団するまゆPこと鳳 真由が演じるパーチェスターは、「一般人」くささというか、人間味があり、暖かみがあって一生懸命で、でも抜けちゃうというパーチェスターだった。「お屋敷の弁護士」を歌う声は力強く、カッコいい。
柚香光のパーチェスターは面白かった。超イケメン・スタイル良し有能そうなのに、どこか素っ頓狂で調子っぱずれ。パーティで、ビルが、頭飾りのブドウを食べちゃうのを隣で見ているパーチェスターの表情が面白くて、工夫されていた。この柚香光のパーチェスターに対応する、仙名マリア公爵夫人の態度が秀逸で、「あらあら、パーチェスターがまた調子っぱずれになっているわ」という余裕の女主人ぶりで、この時のゆきちゃんの演技が見事だった。さすが公爵夫人!