[ZUKA] 2015年『舞音—MANON—』(2)

宙組が元旦から大劇場で公演を行っている中、1月3日に月組が東京公演初日を迎えましたおめでとうございます。(遅い!!)

観劇始めは1月2日のミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』 。初見でしたが、めちゃくちゃ楽しくて、すっごく開放されました。3日には宙組『Shakespeare 〜空に満つるは、尽きせぬ言の葉〜』『HOT EYES!!』でした。相変わらずいろいろ追いつかない生活です。

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月組の東京公演は、もう一人のシャルル(美弥るりか)の場面が増えたという噂で、創作者の植田景子氏がもう一人のシャルルを重要視していることが判ります。創作者が必要と思って配置している役に命を吹き込む、つまり存在感を持たせるのは、役者の役目だと思うが、もう一人のシャルルはとても難しい。

本公演では、美弥るりかの表現力を持ってして、シャルル(龍真咲)に寄り添い、邪魔にもならず、絶妙のバランスを保っていたということなんだな、と藪下氏の劇評を読んで想った次第。(英かおとくん、がんばれ!)

薮下哲司の宝塚歌劇支局プラス  月組ホープ朝美絢 最後の新公「舞音」

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舞音を観ていると、「マノンはシャルルを愛していたのか」と思うことがある。

高級娼婦であっても、いや、あるからこそ、マノンと過ごすには、兄クオン(珠城りょう)が間に入るという手続きがあるはずである。初めて来店した客が、店のトップの踊り子をいきなり誘わうという、無遠慮な行為であっても、マノンがクオンの介入を許さず、自分の意思でアバンチュールに走るという行為は、マノンがシャルルを気に入ったからという事なのだろう。

熱心に愛を語り、本名を知りたいと言うシャルルに、マノンは答える。

「じゃあ、このまま二人で旅をしましょうよ。お金がなくなるまで、ずっと。そうしたら、教えてあげる。ねえ」

女の目から見ると、あきらかな駆け引き、テストである。”あなたは本当に本気なの?”

シャルルはすげなく返す。「無理だ」。

微笑むマノン。シャルルはサイゴンの店に来るという。客として。

しかし、マノンは李氏の愛人として迎えられることになっている。それがなくても今度はクオンの介入を避けることは出来ないだろう。

クオンと一緒にクリストフ(凪七 瑠海)が、シャルルを迎えに来る。軍服に身を包んだフランス海軍将校を見つめるマノンとクオンの内心はいかばかりか。

参考『ル・サンク vol.170』

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とか考えていると、『舞音』の世界は奥深く緻密に構築されているなと感心するのです。