[Zuka] 宙組『TOP HAT』感想(3)

昨日の雨降りで、桜がだいぶ散るかなと思いきや、今日は快晴で週末のお花見日和となりました。宙組『NewWave!宙』も快調のようで、明日は宙組『TOP HAT』赤坂ACTシアター公演初日です。

4月1日にスカイステージで放送していた映画『TOP HAT』(1935年米国)を見ました。タカラヅカ版のベースになっているのは、9月から10月にかけて来日公演(→予告動画)を行うイギリスのミュージカル『TOP HAT』ですが、イギリス版のベースは映画版で、基本的なストーリーは全て映画版に収まっているんですね。映画は全体のバランスがとても良くて、そのセンスは時代を超えた魅力がありました。

【1935年って、世界恐慌の最中で第二次世界大戦の数年前ですよ。当時の国力の違いを感じずにはいられないって思っていたら、あったよ。→温故知新:1935 年の日本、日米戦争は論外であった コラム】。

宙組『TOP HAT』@梅芸の感想はこれで終わりです。五月雨式。

  • タカラヅカ版『TOP HAT』は、演出の齋藤吉正氏のお得意の映像を使ったスタッフロールで始まるが、モノクロの画面を走る馬車に時代を感じる。
  • 衣装やキャストの演技やセリフは現代的になっているが、馬車やタバコ、電話などの小道具で時代を感じた。現代のアメリカ合衆国では、”映画にタバコはいらない 2010年10月8日 |  ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト”という風潮らしいけれど、時代を現す小道具としては使う分には構わないと思う。
  • 『TOP HAT』の舞台はほとんどホテルなので、下級生はポーター、メイド、ウェイター等を一人で何役もやっていた。星吹 彩翔和希 そらは、あちこち出ていた。
  • それから遠目(3階)に見て、動きが洗練されていて目についたのは、天玲美音。ホテルの歌手の役?なのか、2幕はソロの場面もあった。それから美月悠。ウェイターとしてテーブルを拭いてお水を注ぐ動作やデイルが吸おうとしたタバコに火をつける動作もスマートだった。星月 梨旺はホテルの副支配人が落ち着いた動作で目立っていた。春瀬 央季七生 眞希は、やや大人しめに感じたが、演技力のある人達なので、もうちょっとかっこつけていこう。
  • 影の主役は、寿つかさ組長のベイツさんだと思う。

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梅芸『TOP HAT』千秋楽で、ホレスさんは、ジェリーさんの長い足にしがみついて、「ここが一番居心地が良い~」と叫んだらしい。溺れる者は藁をもつかむというけれど、ホレスさんは溺れていないし、まー様ジェリーの長いおみ足は藁じゃないよ(苦笑)。

妻マッジ(純矢 ちとせ)には金づるにされ、ベイツさんには無視される心配症なホレスさん(七海ひろき)。

だが、ラストのマッジとのデュエットが、彼の名誉回復に一役を買っている。マッジを敬遠しているようで、実はマッジに一目置き、お互いを大事に思っていることを確認し合い、力強さを取り戻していく。その様子を見て、プロデューサーとしては有能なんだろうなと思った次第。かといってマッジを軽視して、離れるときっと落ち目になる、そんな夫婦像がみえる。

「Outside of That, I Love You」ソングは楽しい歌だが、かなり難しいんじゃないかな。歌唱指導の島田歌穂さんのご指導の賜物でしょうか。

七海ひろきの演じる役の良さは、嫌みが無く湿度の低いキャラクターであることだが、短所としては、時折「こんな感じで(演じてて)大丈夫?」的な心配症の素顔が覗くことだ。今回は役のホレス自身が心配症なのだが、その分、素を強く感じた。

その不安定さというか、ゆらぎが彼女の演じる役の魅力になっている面もあるのだが、そろそろ決意して自覚する時期なのかなと思う。七海さんはもっと自分のセンスを信じればいいのに。

2番手格の公演も控えているし、星組で揉まれることかなー。赤坂ACTシアター公演も体調に気をつけてがんばって欲しいです。