『TOP HAT』梅田芸術劇場メインホール公演千秋楽おめでとうございます。お疲れ様でした。赤坂ACTシアター公演まで間がないですが、休養を取れますように。
しみじみ良い舞台でした。何が良かったかというと、メインキャストはもちろん、すべてのキャストが表情豊かで、作品中に息づいていいたこと。
ストーリーがシンプルで、時間的にも脚色する余裕がかなりあったとみえ、随所に演出の斉藤吉正流の遊び心がふんだんに盛られていて、台詞の少ないキャストたちも仕草や表情で魅せてくれた。楽しかった。
七海さんの宙組生としての舞台は梅芸で見納めでした。東京公演千秋楽まで全力で楽しんでくださいね。
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イタリア人デザイナーのアルベルト・べディーニ(愛月 ひかる)と専属契約を結んでいるファッションモデルのデイル(実咲 凜音)は、夜中に、宿泊するホテルの真上の部屋から聞こえるタップダンスの音で眠れなくなってしまう。デイル(実咲)はクレームをつけに階上の部屋へ行き、ブロードウェイの人気ダンサーであるジェリー(朝夏 まなとは)に一目ぼれされる。崇拝する男性に事欠かないデイル(実咲)は、最初こそジェリー(朝夏)を警戒したものの、一途で裏のない態度のジェリー(朝夏)に心を許しかける。
ところが、ジェリーのことを親友マッジ(純矢 ちとせ)の夫ホレス・ハードウィック(七海ひろき)だと勘違いしたデイル(実咲)は騙されたと怒り心頭で、べディーニ(愛月)の求婚を受け入れる。
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朝夏 まなとは、シリアスな役もうまいのだが、今回は主役のジェリー・トラバースを屈託なく快活に演じて、とてもはまっていた。
ジェリー(朝夏)で印象的だったのは、花屋の場面。
ジェリー(朝夏)がデイル(実咲)に花を贈るため、ホテルの中の花屋で、店にある花を全て買い占める。朝から品物が売り切れという事態にあわてる花屋のシンプソン店長(和希 そら)に、ジェリーはご機嫌で言い放つ。
「農家にもっと栽培させるんだね♪」
いや、それ理屈が違うから!と思っても、ジェリー(朝夏)の満面の笑みに太刀打ちできる者はいない。そこには相手が名前も素性も知らない女性である、ということに対する不安や疑問は微塵もなく、やっと出会えた!という喜びが溢れ、何の迷いもない。
困惑する店長(和希)に「君にも僕のHappyを分けてあげよう♪」とばかりに、笑顔を振りまくジェリー(朝夏)。
この大らかさ。観客としては、「あなたが幸せならファンもHappyさ」という気分だった。
そして、ヒロインのデイル・トレモントを演じる実咲 凜音が歌に踊りに大活躍で、朝夏まなととのデュエットのほかに、実咲主導で歌い踊るナンバーもあって、みりおん(実咲)の魅力を存分に引き出していた。ホテルの部屋で、恋に落ちた女性のわくわく感を全面に出して、ポーター役の星吹彩翔と和希そらを従えて、歌って踊る”You’re So Easy to Dance With”.ポーターの二人も可愛くて、印象に残る。
デイルが、べディーニ(愛月)に、「あの人に出会ったの!!」と叫ぶ場面では全身にLOVEエネルギーが充填されていて、さしものラテン男のべディーニ様も気おされていたが、その反動で、ジェリー(朝夏)を既婚のホレス(七海)だと勘違いしたときの、怒りエネルギーもすごかった。
→【誤解したデイル(実咲)が、ジェリー(朝夏)を懲らしめようとして部屋に乗り込んだときには、『ME and MY Girl』のジャッキーばりに、ナイトドレスのスリットから太ももをチラ見せしながら、熱演するデイルの姿に、これが大劇場公演なら、男役がやる役になっちゃったのかも」とか余計なことを考えた。】
しかしジェリーは、デイルに二度も頬を引っぱたかれたのに、怒りもせず落ち込みもせず、よりイケイケになってデイルを追っかける。その自信にあふれた屈託のなさは、周り中を味方につけて、デイルの怒りエネルギーも逸らして恋の勝利を得る。
二人のデュエットダンスで、好きなのはバンドスタンド(公園)の場面。デイルが乗馬服なので、ジェリーとのタップダンスが軽快で、身体の動きもきれいに揃って、眼福であった。素敵な演目に恵まれて良かった。まーさま、トップお披露目公演おめでとう!みりおん、トップコンビおめでとう!
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七海ひろきのホレスとその他キャストに触れようと思ったけれど、長くなったので次に。
舞台で、あっきーと組んでいるところをもう一度、観たかったなと今更ながら。
“[Zuka] 2015年宙組『TOP HAT』@梅芸 千秋楽” への1件の返信
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