雪組『るろうに剣心』東京宝塚劇場公演、千秋楽おめでとうございます。今日はライブ・ビューイングもあり、盛り上がるんだろうなと思いながらも、連休中の5日に東京遠征してMY楽を済ませていたこともあり、グランドホテルの大阪公演大千秋楽の観劇に行ってしまいました。
雪組は、『ルパン三世』、『るろうに剣心』と超人気漫画の舞台化が毎年ありますが、その度に宝塚歌劇を初めて観劇するという観客を獲得している模様で、雨にも負けず風にも負けずプレッシャーにも負けず、すごい記録を創っている事に感銘を受けます。
そして、大湖 せしる様、蓮城 まこと様、央雅 光希様、妃桜 ほのり様、璃央 じゅん様。ご卒業おめでとうございます。幸せと楽しさをありがとう。これからの人生にも幸多きことを、お祈り申し上げます。
せしるもきんぐも、タジィさんも大好きだよ。ほのりちゃん、りおじゅん、お疲れ様でした。次回の雪組公演でもきっと幻を見るであろう。
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5日に観劇したとき、全体のボルテージが上がっていて、雪組は無心に役に没頭していて、ただひたすら丁寧に生きていた。舞台が熟成するってこういうことだなぁと、大劇場公演を経て、東宝で見る度に思う。大劇場公演での初見はキャラクターメインで楽しめれば良いね!と思っていたけれど、東宝ではストーリーもちゃんと出来ていた。
ストーリーは、ジェラール山下こと加納惣三郎(望海 風斗)が動かし、緋村剣心(早霧 せいな)と神谷 薫(咲妃 みゆ)は、突き動かされる感じで進んでいく。突き動かされながらも剣心は、揺らがない。
明るく、快活で影のない薫(咲妃みゆ)や向こうっ気が強く素直な弥彦(彩 みちる)、強さを求めるが感服した相手には着いていく相楽左之助(鳳翔 大)、勝ち気で知性に富み、阿片づくりに手を貸した事を悔い、なんとか被害を食い止めたいと願う高荷恵(大湖 せしる)。薫との出会いが新たな出会いを生み、剣心の孤独を癒やしている。
早霧 せいなの剣心は、比留間組(組長:美城 れん)を一人で打ちのめす一方、ご馳走に喜び、珍しいご招待には着いていく、楽しい事を楽しいと感じ、悲しいことを悲しいと感じられる余裕と強さがある。
そして加納に、もう一度攘夷を、仲間になれ、と迫られた時に、今の自分が守るべきものは大義ではなく、自分を支えてくれる、薫を始めとする身近な者達である事を手放さない強さがある。阿片の幻覚に侵されながらも、己を見失わないで立つその強さの土台にあるものは、つらく凄惨な過去であることを、観客は知っている。
観客は、桂小五郎(蓮城 まこと)や剣心の影(永久輝 せあ)と巴(星乃 あんり)らによって剣心の過去を知り、その過去ゆえに今の、余裕と強さがある剣心があり、その過去無くしては、剣心ではないことを理解する。
蓮城まことの桂小五郎は、年下の頼もしい剣客に大義を委ねたつもりであろう。その言葉にうそ偽りはなく、同志への信頼感があった。桂から与えられた信頼と責務の重みを、現在の剣心は理解している。あの時に夢見た世界が実現していなくとも、あの時は誰もが真剣にこの国を良くすることを考えていたのだ、と。それが故に、剣心は、不全感の伴う加納(望海)のように新たな攘夷を夢見ることもなく、攘夷後の世界を生きていけることを謳歌する。
とまぁ、千秋楽の夜につらつらと考えていたのでした。何が言いたいかというと、ちぎたさんの剣心像が素敵だったということですね、はい。