2月1日に宝塚大劇場で千秋楽を迎えた宙組『Shakespeare』の感想です。
宝塚歌劇団宙組公演「Shakespeare」 清廉でチャーミングな「劇聖」の夫婦愛 :日本経済新聞
元旦に幕開けした本公演ですが、初日には各所で爆笑が起こったとの噂で、コメディだったのかと思い、3日に観に行くと違った。ユーモラスな箇所はあるけれど、コメディじゃなかった。なのに笑いが巻き起こっていた。
そしてMy楽の30日には様変わりして、「ウィットに富むユーモア」が後半に現れるという舞台になっていた。脚本・演出の生田 大和氏の狙いがどっちなのか大劇場公演を観た限りでは判らず、東京公演でさらに進化・深化していくことを期待しております。
2015年11月15日付で退団したのが、99期生瑞希 めいさん、
2016年3月27日(宙組 東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団予定なのが、99期生咲翔 みなきさん。
キャストの皆様、スタッフの皆様、お疲れ様でした。東京公演に備えて鋭気を養ってくださいね。
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「シェイクスピア没後400年メモリアル」と銘打たれた本作品は、イギリス人劇作家ウィリアム・シェイクスピア(朝夏 まなと)の18歳から26歳までを描いたもの。
幕開け。ロンドンの雑踏の中心で、一人の女性(美風舞良)がペストで死んだ子どもを抱いて、悲しみを歌う。
見世物小屋に集まる見物客、荷車が行き交う、ごみごみとした猥雑な賑やかさ。
ウィリアム・シェイクスピアの生きた16世紀末のロンドンの風俗を一目で現す導入場面である。死と不安と怯えが巣くう街ロンドンが、劇作家ウィリアム・シェイクスピアが台頭する土壌としてあったのだ。この場面での美風舞良と市民達の嘆きの歌は、印象強い。
そのロンドンに到着したシェイクスピアの妻アン(実咲 凜音)とその子ハムネット(遥羽 らら)は、シェイクスピアの劇団に所属する役者のベン(星吹 彩翔)に案内され、新作がかけられる劇場に向かう。1年ぶりの再会である。
ウィリアム・シェイクスピアの新作「ロミオとジュリエット」初日の開演準備に追われる劇団員達は、慌ただしい昂揚に包まれている。英国女王エリザベス1世の天覧公演でもあり、客席は満員だ。ロンドン市街に溢れる不穏は、劇場の中に侵入する余地はない。
ウィリアム・シェイクスピアの作り出す舞台はロンドン市民を興奮させ、抑圧されていた感情を解放し、カタルシスをもたらす。その奇跡に、人々は熱狂する。「新しい時代を」「新しい旗を」。
開幕した「ロミオとジュリエット」を見ながら、ウィルとアンは故郷ストラットフォード・アポン・エイヴォンで二人が出会った6年前を思い出していた。ロミオ(沙央 くらま)とジュリエット(純矢 ちとせ)のモデルは、ウィルとアンの6年前の姿だ。
アンはウィルに出会って彼の言葉の女神になり、彼の言葉の源泉となった。
だが、婚約者パリス(澄輝 さやと)がいるアンと女王への侮辱罪に問われたウィルは、引き離されそうになる。そこを宮内大臣の子息であるジョージ・ケアリー(真風 涼帆)が助けに入り、二人の結婚は許された。ジョージは、ウィルの書いたセリフに目を留め、彼にロンドンの劇団で芝居を作ることを命じる。アンはストラットフォード・アポン・エイヴォンでウィルの成功を待つことになる。
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(ネタバレ)
その後のストーリーを粗々でまとめると、
①妻ベス(怜美うらら)に焚きつけられ野心に燃えるジョージは、ウィルを煽って芝居を作らせる。
②芝居が成功して多忙を極めるウィルは、アンが原動力だったことを、うっかり忘れてしまい、アンに仕事の邪魔をするなと辛くあたる。
③悲観したアンが故郷に戻ってしまってから、ウィルはアンが自分の言葉の女神であったことを思い出す。
④民衆を扇動した罪に問われたウィルとジョージ達は、エリザベス1世に「夫婦愛」をテーマにした芝居が成功したら許してやろうと言われるが、ウィルはアンがいないから書けないという。
⑤ウィルは役者のリチャードに活を入れられて、芝居を書き始める。リチャードとジョージはアンをロンドンに連れ戻そうとする。
⑥ウィルの書いた中途半端な結末に、アンが助け船を出し、大団円。
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ストーリーを分析すると笑いが入る場所はあまりない(作為的に仕掛けてある箇所はある)。笑いはエッセンスで良いんだと思う。ジョージ(真風 涼帆)を妻ベス(怜美うらら)が扇動する場面でなぜ笑いが起きるのか。あれは、まかぜさんが照れて笑いに走っていたからじゃないですか。そんな気がするんですけれど?